SYNODOSの記事一覧

クーポン券と消費増税――お金に色はつけられるか? - 中里透 / マクロ経済学・財政運営

子ども向けの給付金についてはようやく方針転換がなされ、実質的な意味のないクーポン券での支給が回避される見通しとなった。967億円もの経費をかけて給付金の支給方法に関する社会実験を行うのは割の合わない(費用対効果の低い)試みだから、この方針転換は素直に評価されるべきだろう(967億円というのは、小さな子どもからお年寄りまで全員が1人当たり800円の税負担をするという計算になる)。もっとも、世の中の批...

2021年12月14日 16:26

「真珠湾」攻撃80周年をフィリピン日系人の視点から再考する - 北田依利 / 歴史学

2021年12月8日で、日本軍の「真珠湾」攻撃から80周年になる。日本軍が攻撃した米軍の海軍基地は、19世紀末に米国が武力を行使して併合したハワイに存在していた。「真珠湾」をハワイの先住民・カナカマオ...

2021年12月08日 13:31

現金給付の正しい届け方――各自治体の工夫で問題点は解消できる - 中里透 / マクロ経済学・財政運営

18歳以下の子どものいる世帯に対して10万円相当の給付金(クーポン券による給付を含む)を支給する現金給付の案をめぐって、活発な議論が続いている。政府案の閣議決定に至る過程で自民党内から「大変不公平な状...

2021年12月02日 17:23

シングルマザーの貧困を労働から考える - 中囿桐代 / 社会保障論、ジェンダー論

シングルマザーの貧困はなぜ解消されないのか 「働いても貧困」の現実と支援の課題 中囿桐代 Amazon紀伊国屋書店Yahooショッピング はじめにコロナ禍において女性、シングルマザーの貧困...

2021年11月19日 16:45

ここがヘンだよ現金給付――社会政策における「標準世帯」モデルの終焉 - 中里透(マクロ経済学・財政運営)

このところ、18歳以下の子どものいる家庭に対する現金給付のことが大きな話題となっている。この給付措置を「バラマキ」として即座に非難することについては十分な慎重さをもって対応しなくてはならないが(何をも...

2021年11月16日 17:36

ゲーム障害は臨床的に必要な概念なのか?――病理化、スクリーニング、モラルパニック - 山根信二/ゲーム学・デジタルゲーム研究 × 井出草平/井出草平

井出 先日、国立病院機構久里浜医療センター院長の樋口進氏が、ゲーム障害(原語はgaming disorder)を推定する学術論文を発表しました(以下、樋口2021年論文)【注1】。そこでは、日本の一般...

2021年10月29日 14:42

「バラマキ」はなくせるか?――「増税なき財政再建」と「財政再建なき増税」のあいだ - 中里透 / マクロ経済学・財政運営

東京スカイツリーの開業前イベント、山口県のゆるきゃら「ちょるる」の広報活動、南極海の調査捕鯨。これらはいずれも東日本大震災の復興予算を利用して「適正に」実施された事業だ。私たちが払っている所得税には、...

2021年10月21日 16:41

金融所得課税で経済成長?――アベノミクスと「キシダノミクス」のあいだ - 中里透 / マクロ経済学・財政運営

「寛容と忍耐」を掲げて池田内閣が発足した時、強権的な手法の岸総理とは異なる新しい政治が始まることを多くの人が期待した。「田中金脈問題」で田中総理が辞任し、椎名裁定を経て三木内閣が誕生した時、「クリーン...

2021年10月09日 13:22

動物を殺す社会と殺さない社会、あなたはどちらがいいですか?――『ベジタリアン哲学者の動物倫理入門』(ナカニシヤ出版) - 浅野幸治 / 社会哲学・動物倫理

ベジタリアン哲学者の動物倫理入門著者:浅野幸治出版社:ナカニシヤ出版 皆さんは、「殺処分ゼロ」って聞いたことがありますか? もう少し正確に言うと「殺処分数ゼロ」になります。「殺処分数ゼロ...

2021年10月07日 17:46

ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり - 井出草平 / 社会学

エグゼクティブ・サマリ久里浜医療センターの樋口進氏らのグループが発表した論文から、ゲーム障害を過剰診断していく方針が読み取れる。この論文は厚労省・文科省の政策にも影響があると考えられ、ゲーム好きの健康...

2021年08月30日 10:14

新型コロナの(インフルエンザ並みへの)分類変更は検討に値するのか? - 田中辰雄/計量経済学

(1)分類枠の問題新型コロナ対策に行き詰まり感があるなか、対策の一つとして、コロナの分類を2類から5類に変更するという案がある。【注1】感染症は5段階に分類されており、2類というのはSARS、MERS...

2021年08月18日 14:28

大規模調査から見えてきた「部活動」の課題と未来/『部活動の社会学』編者、内田良氏インタビュー

部活動研究の第一人者として研究・情報発信の両面で活躍する、内田良氏の編著『部活動の社会学――学校の文化・教師の働き方』(岩波書店)が刊行された。部活動の過熱や生徒・教師の負担という問題の認識が広がり、...

2021年08月09日 16:12

異論あり、ファスト映画考――逮捕は悪手である - 田中辰雄 / 計量経済学

1.問題の所在:ファスト映画とは2021年6月23日、ファスト映画をアップしていた3人が逮捕された。【注1】ファスト映画とは映画を10分程度に短縮し、解説をつけたものである。映画の一部を切り取ってダイ...

2021年07月01日 10:14

「家族」を擁護する――『事実婚と夫婦別姓の社会学』 - 阪井裕一郎

本書は、事実婚と夫婦別姓をめぐる諸問題を、社会学の視点から検討したものである。大学院時代の私は、「家族の多様化」をめぐる研究関心から、日本における事実婚カップルの実態を明らかにしようと、いわば「見切り...

2021年06月21日 22:27

『ラプソディ オブ colors』——障害と健常への眼差し - 佐藤隆之監督×富田宇宙

2021年5月29日よりポレポレ東中野から全国公開がはじまった映画『ラプソディ オブ colors』。「障害者を描く上で普段切りとられがちな枝葉が集まっていた」——パラリンピック競泳選手・富田宇宙さん...

2021年06月18日 13:14

インバウンド需要は、なぜ日本の対中脆弱性を高めるのか――安倍政権の安保政策を振り返る(4)- 山﨑周 / 国際政治学、中国の外交・安全保障政策

はじめに中国がらみの安全保障問題というと、日中関係の文脈では尖閣諸島の話がすぐに思い浮かぶ。しかし、じつは経済的な問題、とくにインバウンド需要も、日本の対中脆弱性を著しく高める安全保障上の課題だ。外国...

2021年06月14日 11:15

漫画村異聞――海賊版の前向きの解決 - 田中辰雄 / 計量経済学

海賊版サイトであった漫画村事件に2021年6月判決が下り、運営者は懲役3年の刑が言い渡された。判決文は「著作物の収益構造を根底から破壊し、文化の発展を阻害する危険性をはらんでおり」と厳しい口調で述べて...

2021年06月10日 15:50

脳が明かす人を変える力――『事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学』(白揚社) - 白揚社編集部

本書は、Tali Sharot, The Influential Mind(Little Brown, 2017)の全訳です。著者が拠点を置くイギリスとアメリカでは、刊行直後から好評をもって迎えられ、...

2021年05月27日 11:18

「リベラルな国際秩序」を超えて――アメリカに生まれる新しい国際協調主義 - 三牧聖子 / 国際政治学

軍事覇権を求めなくなったアメリカ国民2021年4月14日、ジョー・バイデン大統領は、20年にわたる「テロとの戦い」において、1つの画期となる決断を表明した。この日、バイデンは、2001年10月、ジョー...

2021年05月21日 15:20

社会問題の構築主義2.0へ――『社会問題とは何か なぜ、どのように生じ、なくなるのか?』(筑摩書房) - 赤川学(訳者)

「社会問題」という言葉を見て、何を思い浮かべるだろうか。コロナ禍、失業、不景気、貧困、差別、格差、環境破壊、気候変動、少子高齢化、いじめ、犯罪、虐待、テロリズム、戦争…。人により、思いつく「社会問題」...

2021年05月18日 22:44

政策介入と自律的調整――新型コロナの政策対応について考える - 中里透 / マクロ経済学・財政運営

4月25日に発出された3回目の緊急事態宣言については、その効果を疑問視する見方がある。「コロナ慣れ」や「自粛疲れ」のために人出が思うように減らないということが、その根拠とされる。昨年春(1回目)の緊急...

2021年05月06日 21:47

原発処理水の海洋放出における5つの論点 - 藤沢烈 / RCF復興支援チーム代表理事

福島第一原発から排出される処理水を、二年後を目処に海に流し始める方針を、政府は昨日(4月13日)決定しました。多くの方が様々な想いを発信しています。福島復興にかかわる私としても、多くの論点をどのように...

2021年04月17日 14:24

ドイツのネットワーク執行法で変わったことと変わらないこと――違法なコンテンツの排除はネット上の発言をどう変えたか - 穂鷹知美 / 異文化間コミュニケーション

運用から3年たった今ドイツでは、ソーシャルネットワーク(以下SNSと表記)上のヘイトスピーチや偽情報の急増を背景に、「ソーシャルネットワークにおける法執行を改善するための法律」が2017年に制定されま...

2021年04月12日 14:10

子どもが発達障害です。――『大学教授、発達障害の子を育てる』(光文社)- 岡嶋裕史(著者)

子どもが発達障害です。それを知ったとき、「困ったな」と思いました。いや、誰だって「お子さんが障害ですよ」と言われたら、たいていは困ると思うのですが、ぼくの場合はそもそもことの初めから困っていたのです。...

2021年04月09日 22:15

ルワンダという国の主役たち。彼らは世界とどこへ向かうのか――『ルワンダでタイ料理屋をひらく』(左右社) - 唐渡千紗(著者)

ルワンダと聞いて、多くの日本人にとっては「アフリカのどこか」でしかないだろう。知っているとすれば94年のルワンダ大虐殺のこと、または近年もてはやされているICT立国という両極端なイメージであることが多...

2021年04月06日 14:27

不可視の被ばく者たち アメリカ国内の核被害と「語り」の抑圧――『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(岩波書店) - 宮本ゆき(著者)

2021年1月22日、国連の核兵器禁止条約が発効されました。この条約は、核実験はもちろんのこと、核兵器使用の威嚇を含め禁止したもので、核により様々な被害を被った人々や環境回復への支援をも念頭においた、...

2021年03月30日 17:13

原子力事故後の甲状腺「モニタリングプログラム」とは?――福島の甲状腺検査との違い

2021年3月に、「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)が、東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下福島第一原発事故)後の放射線の影響について、報告書を公開しました。(参考リンク...

2021年03月26日 17:08

リベラルな日米同盟と「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の意義――安倍政権の安保政策を振り返る(3) - 松岡美里 / 国際関係理論、安全保障研究

はじめに2021年3月3日、米国のバイデン政権が、その外交・安全保障政策の基本方針となる「国家安全保障戦略(暫定版)」を発表した。同戦略は、中国に対する警戒感を明確にする一方、これに対処するため、米軍...

2021年03月24日 13:45

動物のもつ倫理的な重み - 久保田さゆり×吉永明弘

シリーズ「環境倫理学のフロンティア」では、環境倫理学の隣接分野の研究者との対話を行います。今回は「環境倫理×動物倫理」として、若手の動物倫理の研究者である久保田さゆりさんと対話を行います。久保田さんは...

2021年03月23日 15:43

朝鮮半島有事と在韓邦人保護問題――日本政府は自国民を救えるのか - 松浦正伸 / 朝鮮半島の外交・安全保障論

1.朝鮮半島有事における日本人保護問題短期訪問や長期滞在を含めると、韓国には、常時8万人を超す邦人がいる。だが、ひとたび朝鮮半島で有事が起これば、そこにいる大半の在韓邦人は、戦火にさらされ、見捨てられ...

2021年03月22日 15:10

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