河野真樹の記事一覧

弁護士増員イデオロギーの欠落した視点

1990年代後半から2000年代初頭にかけての、司法改革論議の中で、弁護士の不足はさながら問題の元凶のように扱われ、そのため激増政策はそのすべての解決への要のように位置付けられました。「改革」の問題性について鋭く指摘して来た森山文昭弁護士は著書(「変貌する法科大学院と弁護士過剰社会」)で、法曹人口第増員論は、「一つのイデオロギーを形成し、その後も連綿と続く一大潮流に育っていく」ことになったと表現し...

2021年05月30日 13:59

新法曹養成制度の「恩恵」と「障壁」

以前から、司法改革によってもたらされた、新法曹養成制度や法曹人口増員政策を擁護する側が、「改革」後にこの世界に来た法曹に対して持ち出す「恩恵論」ともいうべきものがあります。要するに、増員政策と新法曹養...

2021年05月22日 17:23

弁護士の「低処遇」を正当化する発想と論法

志望者の目線で考えた時、少なくとも「改革」によって離れていった彼らを取り戻すために提示すべき尺度は、業界内外で良く聞かれてきた「食えるか食えないか」でも「就職できるかできないか」でもなく、「より処遇さ...

2021年05月11日 21:32

弁護士会「強制加入」と会員意見の落とし所

弁護士がメディアに頻繁に露出するのが当たり前になって久しいですが、今やその弁護士たちが、大衆に向けて、堂々と日弁連・弁護士会を批判するのを目にする時代になっています。コメント欄でも紹介されていましたが...

2021年04月21日 14:52

法科大学院制度成功への「自信」の正体

法科大学院制度の「自信」の源泉とは、一体どこにあるのか――。このことをこれまでも度々、考えさせられてきました。もっともここでいう「自信」とは、制度擁護者が唱えてきた制度理念の正しさに対するものというよ...

2021年04月10日 16:14

「改革」の失敗から見る弁護士「就職難」解消説

弁護士の就職に関して、潮目が変わったというようなことを、よく耳にするようになりました。一時深刻に言われていた就職難は、既にほぼ解消し、地方では採用難もあるということまで言われています。どこまでが就職難...

2021年03月30日 17:46

懲戒「品位」規定の不安定感

弁護士法56条1項が、職務の内外を問わずに懲戒事由として掲げている「品位を失うべき非行」をめぐる疑問は、弁護士の中に根深く、また、その解消という意味では、ほとんど進展のないテーマとして存在してきたとい...

2021年03月10日 17:18

増員と需要をめぐる「改革」の足踏み的思考

語弊があることを承知で言えば、傍目に見て、司法改革の法曹人口増員政策によって、弁護士という資格業は、経済的価値を下落させるという手酷い仕打ちを受けることになったといえます。もっとも、傍目とあえて断って...

2021年02月27日 14:35

「改革」の失敗からとらえない無理

政府の最低死守ラインとされた1500人を、遂に割ることになった、2020年の司法試験合格者数1450人という結果を受け、即日、発表された荒中・日弁連会長の談話には、次のような下りがあります。 「当連合...

2021年01月31日 12:20

「適切な」弁護士人口というテーマ

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。 弁護士ドットコムタイムズが昨年12月に行った法曹養成に関して行った弁護士アンケート(回答者490人)の結果が、新年早々、ネット界隈の弁護...

2021年01月11日 16:12

副会長人事をめぐる「疑惑」と日弁連の姿勢

疑惑をかけられている側が、中身のある弁明しない――。前政権以来、そうした政治家や官僚の姿を見せつけられてきました。現首相も、「差し控える」の濫発です。法的な手続や人事関連など、その都度、お決まりのとっ...

2020年12月20日 16:31

「無償」ニーズという根本課題

司法改革の弁護士増員政策の中で、最もあいまいで、かつ、そのことが同政策失敗に直結したといっていいのは、いうまでもなく、弁護士の需要についての捉え方です。正確にいえば、その需要をどこまで踏み込んでとらえ...

2020年12月11日 18:58

「改革」を擁護する冷淡さの正体

大学関係者をはじめとする法科大学院制度擁護派が、弁護士の経済的事情に対し、無関心もしくは冷淡であるといったことが、弁護士界内でずっと言われてきました。「改革」が招いた法曹志望者の減少という事態に対し、...

2020年10月22日 18:37

「手弁当」の受け皿というテーマ

弁護士増員政策が、この「改革」の既定方針となり、弁護士界内は弁護士の潜在需要の顕在化が、界外からはそれよりも(その如何にかかわらず)競争や淘汰の効用が期待されていたころ、しばしば頭を過ったのは、「手弁...

2020年09月21日 09:44

軽視され続ける問題の根源としての「経済的条件」

最高裁判事も務め、法曹界の論客としても知られた、故・大野正男弁護士は、かつてその著書の中で、「弁護士の本質的特質」として、次の4点を挙げました。①職業としての独立性②専門的知識による社会的有用性の保持...

2020年09月12日 14:02

「利用しやすい弁護士」の行方

「利用しやすい司法」を目指したはずの、司法改革の結果として、「弁護士が利用しやすくなった」という話があまり聞こえてきません。確かに弁護士は増え、広告でもネットでも、かつてより格段に弁護士は露出し、市民...

2020年08月23日 16:09

「価格決定権」という視点

「価格決定権」という言葉を、ネット界隈の弁護士間でよく見かけるようになっています。かつて弁護士の間で、ほとんど話題にもならなかった、この言葉に、今、弁護士がこだわらざせるを得なくなっているのは、弁護士...

2020年07月31日 10:16

偏っていた弁護士自治への脅威論

司法改革による弁護士の激増が現実化する以前に、弁護士会のあり方をめぐり、よく耳にした論調がありました。それは、次のような、弁護士激増に伴う、弁護士自治への脅威に関する、ある「予想」を前提としたものでし...

2020年07月23日 14:55

弁護士の競争と広告が生み出している危険

「自由競争」にしても、その当然の手段としての「広告」にしても、かつての弁護士界の支配的な発想は、いずれも「弁護士業にはなじまない」というものでした。しかし、司法改革は弁護士に競争と淘汰への覚悟を突き付...

2020年06月30日 08:17

弁護士の社会的信頼と経済的地位への目線

以前、当ブログのコメント欄に、弁護士に対する社会的信頼の源泉が、公益活動や人権擁護活動である、といった弁護士界でよく聞かれてきた論調について、次のような書き込みがありました。 「それは違う、と言ってお...

2020年05月31日 18:21

直視されていない「多様な人材確保」の現実

法科大学院を中核とする新法曹養成制度が目指したとされる「多様な人材の確保」、司法制度改革審議会意見書の表現でいえば、「多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れる」という点は、いまやこの制...

2020年05月24日 16:12

新法曹養成制度が犠牲にしているもの

ある弁護士ブログが、改革の結果として現れた受験者数の減少、受験者の総体的なレベル低下により、司法試験の選抜能力が失われつつあることに危惧の念を表明しています(弁護士坂野真一のブログ)。 基礎的な問題に...

2020年05月16日 15:09

弁護士会が試される会員支援の本気度

日弁連が会員弁護士などに送付している機関誌「自由と正義」、機関紙「日弁連新聞」の5月号、6月号の発刊を中止するという異例の措置をとるなど、イベントの軒並み中止に続き、新コロナウイルスの影響は日弁連・弁...

2020年04月29日 14:20

弁護士の経済的困窮を主張できる国とできない国

新型コロナウイルスによる、というよりも、より正確にはそれに伴う「緊急事態宣言」の影響は、ある意味、容赦なくこの国の司法に、そしてそれを支えている弁護士の経済的状況にも、深刻な形に現れつつあります(川井...

2020年04月18日 15:25

弁護士報酬をめぐる認識の溝

報酬というものを挟んだ弁護士と利用者市民の関係は、司法「改革」によっても実は大きく変わっていないという印象があります。その変わっていない関係とは、端的にいえば、「無理解」ということを挟んだ関係であると...

2020年03月21日 14:34

日弁連会長選の「慣行」を支えてきた精神

日弁連会長選挙で最多得票ととともに、候補者に課せられる全国三分の一以上の弁護士会での最多得票という当選要件(いわゆる三分の一要件)の目的は、地方弁護士会(現実的には東京、大阪以外の全弁護士会)への配慮...

2020年02月21日 17:33

「改革」が変えた日弁連会長選挙

日弁連会長選挙には、かつてはっきりとした二つの特徴がありました。一つは長老支配や大都市弁護士会の会派(派閥)の力を背景とした、いわば「上から」の選挙が行われること。大票田である大都市の弁護士会では派閥...

2020年01月25日 11:42

ゴーン被告人国外逃亡が生み出した皮肉な状況

明けましておめでとうごさいます。 年末年始の日本に衝撃が広がったゴーン被告人の国外逃亡。これは、日本の刑事司法にとって衝撃的な大事件ではあり、そしてめったにお目にかかれない皮肉な事態であったといえます...

2020年01月11日 14:07

弁護士増員による階層分化と「改革」の無責任

「改革」と名の付くものが、現実的には予想外の事態を生むことは当然理解できますが、こと弁護士会で「改革」を主導した人と話をすると、それも程度の問題ではないか、という気がどうしてもしてしまいます。有り体に...

2019年12月25日 17:26

「受験要件化」の正当性という視点

なぜ、法科大学院制度には、その修了を司法試験の受験要件とする形が張り付いているのか――。現在、ネット上で見れる、法科大学院に関するQ&Aで最も直接的にこの問いに答えているのは、文部科学省でも、法務省で...

2019年12月21日 17:50

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