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- 2014年11月27日 17:30
安倍政権の無軌道超高額兵器の調達をなぜ総選挙の争点にしないのか
超高額兵器の調達をなぜ総選挙の争点にしないのかお説ごもっとも。
2014.11.27(木) 北村 淳 JB PRESS
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42287
>消費税増税の可否という「税金を取る」側面を国政選挙の主たる争点に掲げるのならば、 防衛用装備の調達という「税金を使う」側面を選挙の争点に加えても不思議ではない。このような切り口で国防問題が総選挙の争点として取り上げられることも必要ではなかろうか?
>本来はMV-22Bオスプレイや水陸両用強襲車がなぜ必要なのか? どのような戦略を実施するための道具なのか? といった戦略レベルの問題こそが国政レベルの討議課題なのである。しかし、選挙という国民全体が参加する場においては、戦略論よりは超高額兵器の調達という税金の使い途のほうが具体的争点にふさわしい。
なぜこんなことになるかといえば、政治部の記者は政治家ゴッコに忙しくて、政局にしか興味がないからです。まともに政策を精査する能力も、その気も欠除しているからです。
しかも政治家の走狗のような連中も少なくない。
国際的にみて、日本のマスメディアの政治記者の質は極めて劣悪な部類でしょう。
本来政策は調べるには政治だけではなく、経済、産業、軍事、外交、医療、法律、幅広い分野の知識が必要です。
本来政治部の記者は知識を補うためにも他の部の記者が合同で仕事をすべきなのですが、新聞やテレビなどの記者は垣根を超えて協力して記事を書くことがほとんどないわけです。
こんな連中が役所は縦割りだとか批判をしているのですから噴飯物です。
それでも医療とか法律とかは医者とか弁護士とか在野の専門家もあって、役所の情報以外のソースがあり政策の検証も比較的容易なのですが、防衛は殆ど無いわけです。しかも防衛省の主張が本当かどうか検証する能力もない。政治家もメディアも防衛省の「ご説明」をごもっとと信じ、垂れ流します。
まあ、アレ首相のご尊父もそんなブンヤさんのそのお一人だったわけです。
ただ、この記事も個々の記述には認識不足や誤解があります。
>E-2Dの対抗機種であったボーイング737AEW&Cは、E-2Dに比べて機体も運用コストも高価すぎる。E-2Dは速度が遅く、飛行高度も低いので進出速度、探知能力で制約を受けます。レーダーの性能が同じならばより基本的に高度が高いほうが、探知距離が増えます。ですからその意味では同じ探知エリアをカバーするならば737AEW&Cの機数が少なくて済みます。つまり単価だけでなく、必要な機数をかけた総額で判断すべきです。
しかも737AEW&C機体はベストセラーの旅客機ですからメンテのコストも安いし、FMS経由じゃなくてもパーツが入手可能で稼働率の面でも有利です。
またE-2Dは居住環境が悪く、現場の隊員にかなりの負担を強いています。これは空自ではかなり問題になってきました。ぼくも将来の近代化や著者が指摘する利点などを鑑みればE-2Dの採用は仕方ないかと思います。が、ベストではないと考えます。
例えばE-2Dのシステムを737に移植すれば、かなりいい機体になるのではないでしょうか。また国産旅客機振興という面ではMRJにシステムを移植するという手もあります。これならば海外でも売れるでしょう。もっともベースの機体はベストセラーの737の方が有利です。サーブのエリアイ・システムはそういう形で売っています。
ですが、737型が存在せず、E-2DとMRJベースの機体だけしか存在しないのであれば、海外での需要は期待できるでしょう。その場合我が国は機体だけの提供となるので、武器輸出としてもやりやすいでしょう。
西側には737AEW&Cとエリアイ、IAIのシステム以外は存在しないし、737AEW&Cは搭載システムが古いのでそこそこの勝負ができるのではないでしょうか。
>現在世界に存在するティルトローター輸送機はV-22オスプレイ(その海兵隊仕様がMV-22B)だけであり、対抗機種は存在しない。同様に、現在存在する水陸両用強襲車はアメリカ海兵隊などが使用しているAAV-7(それにそれのさらに旧型車両)のほかには中国とロシア(ソ連)が製造するものだけであり、日本としてはAAV-7しか選択肢が存在しない。したがって、選定作業などは必要ないのである。この“いかさま”選定はともかく、実質的に問題なのは調達数量である。「“いかさま”選定はともかく」と、ともかくとして済ませる問題じゃありません。
納税者と議会に対する背信行為です。これを見逃していいはずがありません。
これらの「玩具」を買わない、という選択肢もあるからです。陸自のUH-60やCH-47に空中給油装置を装備するなどを行えば距離は稼げます。確かにオスプレイは速度が速いが、ヘリモードでの機動性は低く、被撃墜率が高い。しかも運用コストがバカ高い。このためイスラエル国防軍はオスプレイをキャンセルし、その予算を重APC、ニマーの調達に振り向けています。こういうことを考えればオスプレイの大量導入よりもより現実的なソリューションもあったはずです。それらを検討した様子は見られません。
著者も後で、オスプレイの調達コストの問題を指摘しています。
また水陸両用装甲車にしても母船から、長駆自力航行する必然性があるのでしょうか。
強襲揚陸なんて米海兵隊でもやっていません。また揚陸船団は陸地からの攻撃を避けるために、より沖合、水平線の遥か彼方に留まります。時速13キロで何時間もかけて海岸線を目指せば、いい的でしかありません。
LCACで海岸近く、あるいは海岸に乗り上げるならばピラーニャやらバイキングでも十分です。実際海自ではLCACでAAV7を輸送するための改造をLCACに施しています。であればコンベンショナルな水陸両用装甲車でOKということになるでしょう。
そもそも論でいえば、水陸両用装甲車よりも空挺装甲車がいいという考えもあります。また52輛もAAV7を中期防でかっても当面搭載する揚陸艦がありません。ところが空挺装甲車ならば近く22DDHが2隻揃うので相応の数が運用可能です。ちなみにバイキングはヘリでの空輸が可能です。
また米海兵隊もブラジル海兵隊などもAAV7の他、コンベンショナルな水陸両用装甲車を使用しています。またコンベンショナルな水陸両用装甲車のみを使用している国もあります。AAV7は所詮艀であり、精々海岸堡までで使用するもので、基本内陸で使用するものではありません。ですが陸自はAAV7以外の調達を検討もしていません。
そもそも問題なのは防衛省がほとんどリサーチもせずに高価な玩具を買うことを決めたことです。これは例によっての情報軽視です。
アメリカ海兵隊は元より、他国の水陸両部隊もほとんど研究しておりません。やっていることは素人以下です。リサーチもせずに、ライフサイクルコストまで含めれば総額何兆円にもなるだろう買い物を決めちゃったわけです。無責任にも程があります。さすが装備部がウィキペディアあたりで当然のように情報収集する組織です。
本来議会や納税者に構想を示し、そのためにこれらの装備が、どの程度、いつまでに必要だという説明をすべきです。ところが地方人(民間人)ごときに、そのような必要はない、とでも思っているのでしょう。こういう意識は旧軍並です。
初めに買うことが「結論」ですから、今年の予算で僅か数ヶ月の「形だけの調査」をして、概算要求に載せちゃっているわけです。これは議会軽視であり、アレ首相の先軍政治です。まともな民主国家のやることじゃないですぜ。
ここまでコケにされても、マスメディアはこれを問題とは思っていないわけです。
まさに民主主義の危機だと思うのですがねえ。
率直に申し上げればこれら高額のアメリカ製の玩具は「ノリ」だけで買うことを決めたわけです。
これらの装備導入は防衛省内部でも反対の声が多いわけで、政治のゴリ押しの可能性もあります。アメリカ様から言われたせいなのか、与党の政治家のセンセイ方になにか経済的に美味しい餌でも振る舞われた可能性が疑われてしかるべきです。にもかかわらず、調べてみようというメディアはないようです。
さて、著者は何で旧式兵器をわざわざ大量に買うのだという、アメリカの関係者のコメントを紹介しております。ですが、そこで間違いがひとつ。
>日本がアメリカから中古強襲車を法外な高額で引き取ってくれるのは喜ばしいことだ。万一、日本が旧式AAV-7の新車が欲しいなどと言ってくれたら、既に稼働していない生産ラインの修復再稼働から始めることになるためオンボロAAV-7に破格の値が付き、アメリカ側にとっては笑いが止まらないこれは間違いです。当初の評価用の4輛こそ中古ですが、後は新造です。
むしろ中古を買ってくれた方がコストが安く済んだのですが、海兵隊の余剰はブラジルに売約済みで、自分たちの予備の装備もあり日本に回す余裕はありません。どなたかのコメントは知りませんが、事情に疎い方のものだと思われます。
問題なのはろくにリサーチもしないで買い物を決めてしまう、情報軽視の無責任体質、そしてそれを何故、何のために必要かということを納税者に説明しない傲慢さ。
このような民主国家に有るまじき行状が、国会でまともに問題にならず、マスメディアが「税金の使い道」として検証しないことです。
アレな安倍首相はアメリカ製の最新兵器さえ並べれば国防は安泰とでも思っているのでしょう。ですが必要性の怪しい玩具の大量購入とその維持費用のために自衛隊の予算がいびつになり、本来必要な予算が削られて、かえって能力が削がれることが分かっていないようです。
つまり防衛に関しての金勘定というリアリズムが理解できずに、靖国参拝だとか積極平和主義だとか、日本を取り戻すとか、空理空論を振り回しているわけです。つまりアレな首相は現実を見ていない夢想家です。
これが論壇でくだを巻いている自称保守の論客ならまだいいのですが、総理大臣ですからねえ。
ぼくから見れば利敵行為を働いているとしか見えないのですが、ご本人にはその自覚が皆無で、国のためにやっていると信じているのでしょう。アレな人ほど自覚がないといいますが、その好例です。
strong>WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました。
厚生年金強制加入は、景気をさらに悪くする
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014111400007.html?iref=webronza
Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【防衛省・高機動パワードスーツ開発は税金のムダ】~装備開発の在り方、抜本的に改めよ
http://japan-indepth.jp/?p=12178
【防衛駐在官の質の向上を図れ】~外務省出向システムでは機密情報が防衛省や内閣府に届かない?~
http://japan-indepth.jp/?s=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
『なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか』
2014年11月09日
http://toyokeizai.net/articles/-/52889
アパッチ攻撃ヘリの調達、なぜ頓挫?
問われる陸自の当事者能力
2014年11月02日
http://toyokeizai.net/articles/-/51971
オスプレイ選定の不透明、対抗馬は商用機?防衛省は「複数候補から選んでいる」と強弁
2014年10月26日
http://toyokeizai.net/articles/-/51614
御嶽山への自衛隊派遣、口を挟むとサヨク?必要なのは事実に基づく冷静な議論
2014年10月05日
http://toyokeizai.net/articles/-/49744
戦傷者は「想定外」という、自衛隊の平和ボケ
「国内では銃創や火傷は負わない」との前提
2014年09月17日
http://toyokeizai.net/articles/-/47994



