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資本主義末期の国民国家のかたち(2)

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安倍さんという人は、一応、戦後日本政治家のDNAを少しは引き継いでいますから、さすがにべったりの対米従属ではありません。内心としては、どこかで対米自立を果さなければならないと思ってはいる。けれども、それを「国益の増大」というかたちではもう考えられないんです。そういう複雑なゲームができるだけの知力がない。

だから、安倍さんは非常にシンプルなゲームをアメリカに仕掛けている。アメリカに対して一つ従属的な政策を実施した後には、一つアメリカが嫌がることをする。

ご存じのとおり、集団的自衛権成立の後に、北朝鮮への経済制裁を一部解除しました。沖縄の仲井真知事を説得して辺野古の埋め立て申請の承認を取り付けた後はすぐに靖国神社に参拝しました。つまり、「アメリカが喜ぶこと」を一つやった後は、「アメリカが嫌がること」を一つやる。おもねった後に足を踏む。これが安倍晋三の中での「面従腹背」なのです。日米の国益のやりとりではなく、アメリカの国益を増大させた代償に、「彼が個人的にしたいことで、アメリカが厭がりそうなこと」をやってみせる。主観的には「これで五分五分の交渉をしている」と彼は満足しているのだろうと思いますけれど、靖国参拝や北朝鮮への譲歩がなぜ日本国益の増大に結びつくのかについての検証はしない。彼にとっては「自分がしたいことで、アメリカが厭がりそうなこと」ではあるのでしょうけれど、それが日本の国益増に資する政策判断であるかどうかは吟味することさえしていない。

「対米従属を通じての対米自立」という戦後日本の国家戦略はここに至って、ほとんど戯画のレベルにまで矮小化されてしまったと思います。

だから、これから後も彼は同じパターンを繰り返すと思います。対米譲歩した後に、アメリカが厭がりそうなことをする。彼から見たら、五ポイント譲歩したので、五ポイント獲得した。これが外交だ、と。彼自身は、それによって、アメリカとイーブンパートナーとして対等な外交交渉をしているつもりでいると思うんです。

時間がもうあと十分しかないので、では一体これから我々はどうやって主権国家として、主権国家への道を歩んだらいいかということを述べたいと思います。

国というものを、皆さんはたぶん水平的に表象していると思います。

ビジネスマンはそうです。今期の収益とか、株価ということばかり考えている人は、それと同じように国のことも考える。ですから、世界を水平的に、二次元的に「地図」として表象して、その中での自分たちの取り分はどれぐらいか、パイのどれぐらいを取っているか。そういうような形で国威や国力を格付けしてようとしている。けれども、本来の国というのは空間的に表象するものではない、僕はそう思っています。地図の上の半島の広さとか、勢力圏というものを二次元的に表象して、これが国力であると考えるのは、間違っていると思う。

国というのはそういうものではなくて、実際には垂直方向、時間の中でも生きているものです。

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