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「子ども兵士」の問題から平和を考える

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人間のレジリエンスを信じる

 テラ・ルネッサンスでは、ウガンダ・ブルンジ・コンゴ民主共和国の3つの国々で、元子ども兵士の社会復帰支援プロジェクトを展開しています。1人当たり2年から3年にわたる識字教育と職業訓練を提供し、心のケアを行いながら、自立した生計を営めるよう小規模ビジネスの起業ノウハウを伝えています。

 自らの努力で手に職を付けた人々は、自信と収入を得て家族を養い、自立した生計を営めるようになります。たとえば平均月収200円のウガンダでは、卒業生の多くが平均7000円の月収を得ています。この金額は同国の国家公務員並みの所得水準です。

 もちろん全てが順調なわけではありません。幼少期に誘拐され、読み書きを覚える代わりに武器を持って人を殺すことを強要され、力さえあれば他人を思いのままに支配できると洗脳され続けた子どもが、ふつうの社会に戻って他人と円満な関係を築くことは容易ではありません。

 それでも私は人間のレジリエンス(復元力)を強く信じています。人はどれほど深い絶望の中にあっても、希望さえ失わなければ、再び力強く立ち上がることができるのです。希望とは、自分が果たすべき「役割」と「出番」を自覚する中に生まれてくるものであり、テラ・ルネッサンスでは、この役割と出番を生み出せるよう努力を重ねています。

 人は誰もが、他者の役に立ちたいという善性を持っています。これまで、ウガンダにおいて160人の元子ども兵士の社会復帰を支え続け、彼らの多くが「他人のために尽くしたい」と立ち上がる様子を見つめてきました。働いて得たお金で、近所の貧しいおじいさんにご飯を食べさせたり、母子家庭のために粉ミルクを買ってあげるなど、他者を慈しむ振る舞いをたくさん見てきたのです。

 私はこの経験から、困難を抱えた人ほど問題に立ち向かう力があり、問題を抱えた地域にこそ、課題を克服する大いなる可能性が秘められているのだと確信しています。

「微力」は「無力」ではない

 私は、人類の生存を脅かすものと戦うのが人間の正義であり、社会のさまざまな問題に関心を持ち、他者に尽くす具体的実践を示すことこそ青年の使命だと深く信じています。

 その点では創価学会青年部のみなさんが、核兵器を「絶対悪」と断じた戸田城聖第2代会長の原水爆禁止宣言にもとづき、平和運動を進めてこられたことに共感を覚えています。

 複雑な現代世界では、1つの国家、政党、団体で世界の平和を実現できるほど簡単ではありません。ましてや、そこに果たす個人の力など微力だと考える人も多いでしょう。しかし、「微力」は決して「無力」ではないはずです。私がはじめた活動も、「誰かに伝える」という小さな1歩でした。

 たとえ小さな力であっても「微力」には世界を変える大きな可能性が秘められています。その可能性を引き出すためにも、人間と人間が尊敬と信頼によって連帯すべきだと思います。
 今の日本には若者の暮らしや雇用の問題をはじめとして、難問が山積しています。ですが、大変な時代だからこそ青年が世界へと目を転じ、社会に関心を抱くことが大事なのです。

 社会に関心を抱き、その問題の根底にあるものについて考えることは、実は自分を振り返るという作業になります。すると、自分と他者、自分と社会の関係が変わり、やがては「誰かのために何かをしたい、応援したい」と思うようになる。ここに価値観の転換があり、人間としての成長があると思うのです。
 誰もが「応援体質」になる。これこそ、究極の平和のつくり方だと私は信じています。


画像を見る おにまる・まさや●1979年、福岡県生まれ。立命館大学法学部卒。高校在学中にスリランカの社会活動家・アリヤラトネ博士のサルボダヤ(精神覚醒)運動に出会い、「全ての人に未来をつくりだす能力がある」との教えを受ける。2001年にカンボジアを訪れ、地雷被害の現状を知り、その状況を伝えるべく講演活動を開始。同年、テラ・ルネッサンスを創設し、世界の諸問題に取り組み始める。講演活動は、年間100回を超え、学校・企業・行政などの多様な分野の人々の共感を勝ち得ている。02年に社団法人日本青年会議所「人間力大賞」を受賞。近著に『僕が学んだゼロから始める世界の変え方』(扶桑社)がある。テラ・ルネッサンス公式サイト

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