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安易な選挙協力は本格再編を遠ざける

 総選挙が来週に迫り、政党や候補者の動きが慌ただしくなっています。民主党や維新の党に鞍替えしたり、野党間の調整で選挙区を移動したりーー。生き残りをかけて必死なのは理解できますが、国民や国民のための政策が置き去りになっているように感じます。

 今回の解散政局で最も大きな動きはみんなの党の解党でした。2009年の衆院選直前に、自民党出身の渡辺喜美氏、無所属の江田憲司氏、民主党出身の浅尾慶一郎氏の3人が中心になって立ち上げた同党。党運営を巡るいざこざで江田氏が離党して結いの党を作り、渡辺氏は資金問題で党首を辞任。浅尾新体制でも党内のごたごたは収まらず、解党の道を選びました。

 浅尾氏は態度を明らかにしていませんが、渡辺氏は側近議員らと新党の立ち上げを模索。山内康一国会対策委員長らは民主党に入党して次期衆院選に立候補する意向です。渡辺氏の行動はある意味でわかりやすいですが、山内氏は自民党出身。自民党から既成政党を批判するみんなの党に移ったうえで、なぜ今度は民主党なのか。理解に苦しみます。

 みんなの党以外でも消費増税を機に民主党を離れた生活の党の鈴木克昌幹事長や新党大地に所属する鈴木宗男氏の長女らが民主党から次期衆院選に出馬すると報じられています。本当に政策は一致しているのでしょうか。ただの数合わせのように見ている国民は少なくないでしょう。

 現行の小選挙区制度は選挙区当たりの当選者が一人しかいないため、獲得議席が特定の政党に偏る傾向にあります。2005年の郵政選挙で自民党が、2009年の政権交代選挙で民主党が、2012年の選挙で再び自民党が大勝したのは承知の通り。しかも2012年の選挙では自公以外の政党が乱立したため、お互いにつぶし合い、自公の大勝をもたらしたと言われています。

 だから今回の選挙では「野党がつぶし合うべきではない」との声が持ち上がったのですが、私はそうした意見に疑問を感じます。当選者が一人しかいないからといって、なぜ選択肢を二つに絞らなければならないのか。米国のような人種や宗教観などによる対立軸はないのだから、選択肢は三つでも四つでもいいのではないかと思うからです。

 例えば今回の選挙では、安倍政権が「アベノミクスの評価を問う」と言っていますが、民主党は「格差が広がった」として金融緩和や規制改革の方向性自体を否定しています。一方、維新の党は「規制改革が不十分」であり、族議員を抱える自民党では改革を実行できないという立場。両党の主張は、自民党を挟んで真逆に位置するともいえます。

 本来ならば3つ(プラス共産党?)の選択肢を有権者に示し、選んでもらうのが選挙のあるべき姿。いくら自民党が強すぎるからと言って、両極の二者が手を結んでしまえば国民には理解できません。自民党に嫌気がさしても受け皿にならず、投票率の低下につながりかねません。

 仮に今回、つぶし合って再び自公政権が大勝したとしても、国民はそこで学ぶはずです。世論調査によれば「与野党伯仲を望む」声が過半数を超えているそうですから、必ずどこかでバランスをとろうとするはずです。政治側は黙って、愚直に選択肢を示していればいいのです。

 安易な選挙協力や野党再編に頼れば、本格的な政界再編はますます遠ざかってしまう気がします。急がば回れ。この国を変えるには一歩ずつ、着実に進まなければなりません。

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