- 2014年11月22日 15:10
NPOに寄付するときの5つの基準(田中 俊英)
■寄付の見極めは?
「クラウドファンディング」という言葉が徐々に広がり始め、NPOをはじめとするソーシャルセクターへのネットを通した(クレジットカード等での)寄付を呼びかけることも珍しくなくなってきた。
Yahoo!ニュース読者のみなさんの中には、社会貢献活動に関心を持ちながらも具体的アクションは自分ではなかなかできないため、それを代理でやってくれるソーシャルセクターに寄付することで貢献したいと思っておられる方もいるだろう。
今回は、そうしたソーシャルセクターへの寄附行為を行なう際のポイントを僕なりに整理したので、読者のみなさんに参考になればと思い、できるだけ簡潔に書いてみる。
■「法人」か「事業」か
いま広がりつつある寄付を求める呼びかけは、大きくいって2つに分けられる。
それは、社会貢献活動を行なう「法人」に寄付するか、社会貢献の思想に基づいた「事業」に寄付するか、の2つだ。
新世紀の日本では、従来の募金活動といったものではなく、寄付行為の中身を欧米並みのクォリティに近づけようとしている。その際、社会貢献活動を行なう「法人」そのものへの寄付ではなく、社会貢献の「事業」についてまずは寄付を呼びかけることが多いようだ。
たとえば教育問題で言うと、「貧困家庭のハイティーンの声を自治体首長に届けるために、ハイティーンが出演するラジオ番組をつくりたい」といったような企画だ。この「ラジオ番組」で、若者たちに語ってもらい、それを冊子やCDにして首長に届け、自治体の教育政策の参考にしてもらう。
そのための制作費に20万円必要であれば、そうした番組づくりの制作費を募集したいとして、クラウドファンディングを通して寄付を募る。
そうしたクラウドファンディング専門の団体も日本にはつくられており、僕の法人でもチャレンジしたことがある(残念ながら目標金額に届かなかった、トホホ……。再チャレンジしたいです)。
が、こうした「事業」への寄付の呼びかけはわかりやすいものの、時間や規模の制約があるため、これは入門編というか寄附行為のはじまりにすぎない、と僕は思う。
やはり寄付の王道は、ソーシャルセクターの「法人」自体への寄付だろう。
■5つの基準
日本にはNPOが5万団体あり、そのなかで「事業型」としてソーシャルビジネス化できているのが2割程度、1万団体弱だといわれる。その他8割は「ボランティア型」として位置づけられるが、事業型にしろボランティア型にしろ、我々がそうした法人そのものに寄付するとき、なにを基準にして検討すればよいのか。
これがわかるようでなかなかわからない。NPO等のソーシャルセクター(一般社団法人等も含むいわゆる「公益法人」、あるいはソーシャルビジネスを取り入れている場合は株式会社であってもいい)が行なう事業だけを見ると、意外にオリジナリティあふれるものは少なく、あるいはオリジナリティあふれるものであっても既存の営利企業が行なう事業とどこが違うのかわからなかったりする。
つまり、「寄付はしたいんだけど、寄付したい目の前の団体の『社会貢献性』や『公益性』ってどの点を基準にして検討すればいいの?」という問いがあった時、意外とシンプルに答えてくれるテキストはなかったりする。
そんなわけで、何かのご参考になればと思い、僕なりに以下に書いてみようと思う。
各団体のホームページにたどり着いた時、団体紹介の部分に下記の項目がわかりやすく列挙されているか、チェックしてみよう。
■1.ミッションが具体的か
どのソーシャルセクターにもミッション(社会貢献活動を行なうための思想・基準)はある。が、現存のほとんどのミッションは抽象的だ。それは、「幸福」や「しあわせ」だったりする。あるいは、目の前の社会課題(たとえば「不登校支援」)を列挙しているだけのものだったりする。
実は順番的には、まずどんな社会を目指すかという「ビジョン」がある。このビジョンがある程度抽象的だったり社会問題列挙的だったりするのは仕方がないと僕は思っている。が、ミッションはより具体的に提示する必要がある。
具体例をあげるのは各団体の利害に関係するのでここでは控えるが、「◯◯問題を□□の手法で解決する」的なものがわかりやすい。
■2.ミッションを補足するための「指針」は整備されているか
とはいってもミッションも完ぺきではない。これを補完する「行動指針」的なものがいくつか列挙されていることがのぞましい。この行動指針に、各団体の「思想」のようなものが現れるので、ここが寄付の判断基準になることもあるだろう。
■3.社会貢献のための「戦略」が具体的か
ミッションと行動指針のあと、具体的な「事業戦略」が並べられていると、さらにわかりやすい。戦略は通常3年程度のものが明示されているとより寄付の判断基準になる。
■4.ミッションと戦略が変化しているか
そして、そうしたミッションと戦略が社会や時代の趨勢と関連して変化していっているかをチェックできればさらに望ましい。法人が描く(社会)ビジョンはなかなか変化できないと思うが、それに至るための具体的ミッションと戦略は、ミッションであれば5~10年で、戦略は3年程度で変化して当然だと思う。
■5.リーダーに「発信力」があるか
ミッションから戦略まで、これらをわかりやすい言葉で説明するスポークスマンが該当法人に存在することが求められる。
それは通常「代表理事」の肩書を持つ人だろう。その代表が、メディア(マスメディアとネットメディア)を通して、パロール(話し言葉)とエクリチュール(書き言葉)を駆使して、自らの法人のミッションと戦略を語りかけることが、寄付する際の判断基準になるだろう。
以上、今思いつく基準5つを並べてみた。特に、1.の「明確で具体的なミッション」を僕は強調したい。「とりあえずいいことしてるから寄付をお願いします」という時代は過ぎた。★
※Yahoo!ニュースからの転載


