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2014.11.21

■11月某日 安倍総理は衆議院を解散し、解散総選挙に打って出た。12月2日公示、14日投開票という「師走選挙」である。大義なき解散との批判も出たが、何事も自分で独断専行する安倍総理は聞く耳を持たないタイプである。解散権は総理の専権事項であるという「印籠」もある。今回の解散総選挙への露払い役を演じたのは11月9日付の讀賣新聞だった。安倍本人は外遊中だったが、帰国した17日にはメディアも永田町も解散を既定事実化する方向で動き始めていた。政局の流れは総理の意向を受けた上で、メディアや官邸に領導されてつくられる構図が明確になった。安倍総理は解散総選挙の争点をアベノミクスの是非と消費税再増税の18か月延期を掲げているが、消費税再増税に関しては野党陣営も同意見である以上、争点にはなりえない。安倍政権としては自民・公明で238議席以上の過半数の獲得を目指している。現在の「一強多弱」から見れば、議席数を減らすことは確実だが、安倍総理は政権は継続できると判断したのだろう。

 しかし、この解散は沖縄県知事選で辺野古新基地建設に強く反対する翁長雄志前那覇市長の優勢が選挙前から予想されており、安倍総理としては日米関係にヒビが入ることを危惧し、この選挙戦でのダメージを最小限に抑えるために先手を打った可能性が濃厚だ。いわゆる沖縄県知事選の敗北のイメージを薄める作戦である。県知事選から2日後には辺野古新基地でのボーリング調査が再開するための機材が搬入された。沖縄県知事選の民意と関係なく辺野古新基地建設を強行しようという安倍政権の心根が透けて見える。現場で指揮を執るのは沖縄基地負担軽減担当もつとめる菅義偉官房長官なのだから、お笑い草である。耐用年数200年といわれる辺野古新基地が建設されれば、基地負担軽減ではなく、基地の強化でしかない。政治家は平然と嘘のつける人種である事は確かだが、県民の意志も民主主義も黙殺する新基地建設の暴挙に対しては総選挙で、落とし前をつけるしかない。

 全国的にはともかく、沖縄においては自民党現職の4人の議員が負けるのではないかと見られている。県知事選で辺野古推進を掲げた仲井真弘多氏が翁長雄志新知事に10万票の差をつけられて惨敗したからだ。仲井真氏は昨年末の辺野古埋め立て容認に転じる前は県外移設派だった。自民党県連と自民党選出の国会議員のうち、沖縄一区の国場幸之助、二区の宮崎政久、3区の比嘉奈津美、4区の西銘恒三郎の議員はいずれも安倍政権の恫喝により辺野古推進に転向した変節者たち。仲井真氏の敗北はこの4人の議員にも必ず波及するというわけだ。

 対して反自民の側は先の県知事選同様にオール沖縄の枠組みで選挙戦に望む方針を打ち出している。県知事選の結果や、沖縄の世論調査では辺野古新基地建設には8割が反対していることから見ても、自民党議員の苦戦は免れないところだ。沖縄においてはアベノミクスよりも辺野古新基地の問題の方が争点になるものと思われているからだ。むろん,集団的自衛権行使や原発再稼働、特定秘密保護法に対しても沖縄の見方は厳しい。ある自民党県連の幹部は「今、総選挙をやれば、自民党は全員落ちる」と厳しい状況判断を示していた。基地問題だけじゃなく、安倍政権に対する評価は本土と沖縄でも温度差があるのだ。

 ともかく総選挙は投開票日に向けて動き始めた。少なくとも沖縄に置いては安倍政権の強引な政策のやり方に県民一体で「NO!」を突きつける絶好のチャンスにすべきである。

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