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イギリスの官僚は日本に学ぶ

今日の横浜北部は朝から寒く、午後遅くからかなりの雨になりました。

午後は久しぶりに市ヶ谷まで出かけまして国際地政学研究所のワークショップに途中まで参加してきたのですが、内容が濃くて非常に楽しめました。

さて、今週の生放送でも紹介した、ちょっと意外な内容の記事の要約を。

出典はイギリスの「ザ・エスタブリッシュメント紙」であるThe Timesなんですが、ある教育関係のコラムニストが、なんとイギリスの公務員の幹部たちが「日本のマネージメントのやり方」を学ぶために来年から大学院に通わされることになることを報じております。

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イギリスの官僚たちは日本の効率の良さを学ぶために大学に通う

by グレッグ・ハースト

●イギリスの公務員の幹部たちは、年間270万円の授業料のかかる修士のコースを受けて大学院で学ぶことになるという。ここで学ぶのは、日本の戦後経済を変革した「リーン」という「哲学」だ。

●この計画では、顧客の求める価値や、非生産的な活動の排除などを、イギリスの役所のシステムに導入することが狙われている。

●来年春にバッキンガム大学で教え始められるこの「哲学」は、イギリスの公務員の提供する公共サービス改革の中心的なものとなると見込まれている。この「哲学」を教えるようなコースは、すでにバッキンガム大学で14年も続いているものだ。

●この特別課程は2年間のパートタイム制の修士号のコースであり、問題解決やサービスの改善の仕方を教えられることになる。

●このコースに参加する生徒は、日本語を学び始めたり、少なくとも英和辞書を自在に使いこなせることなどが期待されている。

●彼らが最初に学ぶ重要な概念は「無駄」(muda)である。これこそがトヨタ自動車の生産システムに革命を起こし、常に改善して無駄をなくすというやり方は日本の産業界で広く真似されることになったからだ。

●また「改善」(kaizen)というアイディアも、このコースを受ける公務員改革を担う生徒たちにとって大切なスローガンとなるものだ。彼らは「あらためる」という意味の「改」(kai)と、「よくする」という意味の「善」(zen)を、いかに実現するかを学ぶことになる。

●この大学で「リーン生産方式」のコースを教えている講師は、入学してくる生徒たちに対して、このような言語の問題についてはとくに気にしなくてもよいと言っている。なぜならコース自体は、実習を中心としたものになるからだという。

●彼女によれば、生徒たちはウェールズのモンマス郡の役所や、英司法省、それに国民保健サービスの病院での実地学習を含む5日間の実習を行い、現場の抱える問題を分析するという。

●実習現場から大学に帰ってきて彼らが聞かれるのは、「どこに問題があり、そのサービスのパフォーマンスを向上させる方法はどのようなものか」ということだ。

●日本の製造業者たちが信奉するこの「哲学」について書かれた本は多いが、中でも英語版で参考になるのは、トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーを取材して書かれたウォマック著の「リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。―最強の日本車メーカーを欧米が追い越す日」と「Lean Thinking: Banish Waste and Create Wealth in Your Corporation 」の二冊である。リンク先を見る

●民間企業の場合と比べて、公務員には「顧客の求める価値に焦点を当てる」という任務は複雑である。たとえばそれが刑務所の場合は「顧客」とは、囚人や被害者、もしくは納税者か(広い意味での)社会ということにもなるからだ。

●この講師曰く、役所における効率の向上の必要性や、大臣からの「より少ない資産でより多くを行え」という指示から見えてくるのは、このようなマネージメントのアプローチが本当に必要とされているという事実だという。

●彼女は「イギリスの役所には、国民によりよいサービス提供するために、継続的な改善を行うための戦略が必要なのです」と言っている。

●このコースの卒業生たちは、イギリスの役人たちの仕事の効率を上げる以外にも、政府組織の改革を行う団体に所属して活動するという道も残されている。
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これを「日本もすごいじゃん」ということはたしかに言えるわけですが、素直に喜ぶ前にいくつかの注意事項があります。

まず一つ目は、役所を始めとするイギリスの社会・公共的な部署の機能は本当にレベルが低い、という事実です。

これは役所に限らず、郵便局などのあらゆる「サービス」についても言えることですが、ごく一部を除けばイギリスの効率のレベルは本当に低い。在英日本人たちの間でよく言われていたのが、「イギリスはよくあんな状態で国が回っているなぁ」という、呆れたというか、むしろ感心したようなコメント。

かくいう私も何度か実体験を持っているので、この話を聞いた時にも「さっさと日本から学んでくれ」と思ってしまったほど(苦笑

そして二つ目は、この記事でも指摘しているように、彼らが見習おうとしているのは主に日本の製造業(とくに自動車産業)の「改善」の思想の部分であるということ。

つまり彼らが日本から学ぼうとしているのは、戦略思想というよりも戦術思想であり、習得しようと狙っているスキルが属する階層はやや低めのとことにある、ということです。

全般的に言えば、ここから透けて見えてくるのは、イギリスのエスタブリッシュメントたちがどこかで日本を恐れている部分がある、ということでしょうか。

他にも色々と書きたいことがあるのですが、これについては別の機会にあらためてまた。

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