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無謀な時代の個人資産運用

今日、親しいアセットマネジメント会社の経営者と個人資産運用のあり方について議論した。結論は、「現在保有している金融資産を海外に振り向けるべきだ」というもの。それでも足りないかも。

理由は簡単である。円の価値がこの半世紀において最大の危機に瀕している。日銀が消費税率引き上げの露払いの意味を込めて追加金融緩和を実施したにもかかわらず、安倍ちゃんがそっぽを向いてしまい、消費税率引き上げの延期、解散総選挙、さらには追加景気対策を打ち出した。これは、日本における根幹的政策の混乱の極みである。政府は、無策を通り越し、無謀に転じてしまったのかもしれない。

日本経済の基礎体力が強ければ政策の多少の混乱なんて、どうでもいいのだろう。しかし、日本経済は不調である。円安誘導によるデフレ対策が破綻しかけている。

デフレ脱出と一口に言っても、良いデフレ脱却と悪い脱却がある。良いデフレ脱却となるためには、企業に賃上げのための収益力が求められている。しかし、現在の日本の国内企業に収益力の向上は見られない。輸出力のある大企業、海外展開を果たした大企業に円安の恩恵が及んでいる程度である。片方で、多くの日本企業と個人に対し、円安は生きるためのコストの上昇をもたらしている。海外に行けば、円の価値の凋落が肌で感じられる。こんな状態だから、円安によって物価が上がったとして、それを誰が手放しで喜ぶのだろうか。

もちろん、円安になって輸出が増えれば、それで円安万歳なのかもしれない。残念ながら、これも実現が難しい。日本の完成品で国際的競争力のある大型製品が見当たらないからである。

さらに言うと、ここまで円安になったのに、それでも円安の効果がないのなら、雪崩を打ったような円安に陥る危機が迫ってくる。国内資金が海外に一斉に流出しかねないことと、もう一段の円安への仕掛けが大きな効果をもたらしかねないからである。前者に関して、1ドル80円の時と比較すれば、単純に現金としてドルを持っていただけで、すでに50%近い投資収益が得られているのだから、円資産をもっていること自身、「負け」そのものに近いてと言っておきたい。

むしろ、もっと大きな危惧がある。これ以上円安が進めば、海外投資に対して規制のかかる可能性が出てくる。まだ自由に海外投資できる今こそ、最後のチャンスかもしれない。これが危惧である。この危惧は極論なのだろうか。極論だと笑い飛ばせないのが現実である。

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