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- 2014年11月20日 05:00
65歳以上の就業者が激増中!アベノミクス100万人雇用拡大の実情 - 後藤百合子
2/2■正社員雇用はほぼ変わらず、シニア世代の非正規社員が大幅増のアベノミクス
最後に全体をみたいと思います。2013年1月と2014年9月を比較したとき、全体の正規雇用者数はマイナス9万人となっています。25歳~34歳の女性が12万人の減、55歳~64歳の男性が16万人の減などとなっており、女性の転職・出産による退職や男性の定年後の転職などが主な理由の誤差の範囲内と考えていいと思います。ただ、全体的に年齢にかかわらず正社員の増加傾向があるなど、正社員雇用を企業が控えている、という印象はありません。逆に非正規雇用者は147万人と大幅増。増加した非正規雇用者のうち55%にあたる81万人が55歳以上で、その約7割の57万人が65歳以上です。また、45歳以上の女性の非正規雇用18万人もいれると、この3つの年齢層だけでほぼ100万人が非正規雇用で増えたことになります。
この数字からみえてくるのは、まだまだ元気な高齢者が、積極的に労働市場に流入して生産・サービス活動に従事している姿です。将来に対する不安から「元気なうちに生活費を稼いで貯蓄しておきたい」という自己防衛本能の表れともいえるかもしれません。また、45歳~54歳の従来は「年齢的に再就職は難しい」と就職をあきらめていた年齢層の女性たちの間でも、できるだけ働いて老後に備えたいという意識が高まっているといえるでしょう。
皮肉なことに「老後の備えに働けるうちはとにかく働きたい」という、アベノミクス効果による将来への不安とリスク回避意識こそが、安倍首相のいう「100万人の雇用拡大」の主要な要因ではないかと考えられるのです。もはや庶民にとって「年金を受給しながら悠々自適の引退生活」は手の届かない高嶺の花になりつつあるのではないでしょうか。
■働く人の4人に1人は55歳以上。変わらざるをえない働き方
役職定年などが多い55歳以上を区切りとして、シニア世代の55歳以上の労働人口を総計してみると1,398万人になり、全雇用者の24.8%を占めていることがわかります。いまや日本の労働者の4人に1人は55歳以上、シニア世代は貴重な労働市場の戦力です。日本では過労死、長時間労働などが長い間問題になってきましたが、ここまで高齢の労働者が増えるとこれまでのような日本的な働き方は企業がどんなに望んでも継続は難しいと思います。シニア世代の現役期間が延びるにつれ、否応なくワーク・ライフ・バランスの実践が定着してくるのではないかと期待しています。
【参考記事】
■パート社員から始めて正社員へ、というもう一つの選択肢
http://sharescafe.net/41850633-20141112.html
■育休取得でも増えない女性の出産後就労。本当にマタハラが原因?
http://sharescafe.net/41707534-20141103.html
■米フォーチュン誌「最強女性50人」にみる2014年の女性経営者像
http://sharescafe.net/41607840-20141029.html
■マタハラ、逆マタハラに企業が陥らないためにできること。
http://sharescafe.net/41573584-20141027.html
■上川新法相にみる「女子校力」。
http://sharescafe.net/41560081-20141026.html
後藤百合子 経営者
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