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衆院解散 ~ 野党に代替案を提示する能力がないことを見透かした解散記者会見

「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」(首相官邸「安倍内閣総理大臣記者会見」)

想定されていた通りですが、安倍総理は「景気条項」を削除したうえで、消費増税を1年半先送りする方針を表明しました。ひねくれた見方かもしれませんが、消費増税を1年半先送りすることで有権者に良い顔をし、「景気条項」を削除し「再び延期することはない」と表明することで財務省や自民党内部の消費増税派の顔を立て、長期政権実現を企てているように思えてなりません。

「今週21日に衆議院を解散いたします。消費税の引き上げを18カ月延期すべきであるということ、そして平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げるということについて、そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います」(同)

安倍総理はこのように述べ、今回の解散・総選挙で国民の信を問うのは「消費増税先送り」についてだけではなく、「平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げる」という「景気条項」を削除することや、「アベノミクスをこのまま続けて行くか」ということも含まれるという考え方を示しました。

「今、アベノミクスに対して失敗した、うまくいっていないという批判があります。しかし、ではどうすればよいのか。具体的なアイデアは残念ながら私は一度も聞いたことがありません。批判のための批判を繰り返し、立ちどまっている余裕は今の日本にはないのです。私たちが進めている経済政策が間違っているのか、正しいのか。本当にほかに選択肢があるのかどうか。この選挙戦の論戦を通じて明らかにしてまいります。そして、国民の皆様の声を伺いたいと思います」(同)

安倍総理が選挙の争点を「1年半後の消費増税の確実な実施の是非」「アベノミクス継続の是非」にまで広げる姿勢を見せたのは、3党合意の当事者である民主党が消費増税先送り容認に傾いたことで「消費増税先送り」自体が選挙の争点にならなくなったという事情もあります。

それに加えて「ではどうすればよいのか。具体的なアイデアは残念ながら私は一度も聞いたことがありません」という発言に見られるように、今の野党に「具体的な代替案を提示する能力は無い」ということを見切っていることも大きな要因だと思います。

アベノミクスの「具体的代替案を出すことが出来ない」と見下された野党は、「解散の大義は無い」など浮世離れした批判をするのではなく、正々堂々と代替案を示して政策論争に持ち込んでもらいたいものです。もし、安倍総理が指摘する通り、野党側がアベノミクスや「大義なき解散」に対する批判だけを繰り返すのであれば、有権者の支持を得ることなど期待すべくもありません。

政党というのは「政策実現」のために「政権を担う」ことを目標にした集団のはずです。その集団が、衆議院で絶対安定多数を有している与党が自ら解散してくれるという千載一遇のチャンスを前に「解散の大義は無い」などという空虚な批判を繰り返すのだとしたら、それはもう「政党」ではないということです。

選挙準備としては整っていない状況であったとしても、与党が絶対安定多数を持っているから選挙が暫くない可能性が高いという理由で、「政党」が「有権者に提示できる政策がない」というのではお話しになりません。与党はその是非はともかく、現実に政策を実行することで有権者に具体的政策を見せていることを野党は日々肝に銘じて政治活動をする必要があるのですから、有権者に提示する具体的政策が無いとしたら怠慢以外の何物でもありません。

今回の「大義なき解散」を「大義ある解散」に転じることが出来るかは、安倍総理に「具体的代替案を出すことなど出来ない」と見下された野党が具体的代替案を出せるかにかかっていると言えます。そして、具体的代替案を有権者に示すことが出来ず、単なるアベノミクス批判を繰り返す「政党もどき」は、今回の総選挙によって淘汰されていく運命を辿ることになりそうです。

「首相は記者会見で、475議席のうち自民、公明両党で過半数の238議席に届かなければ退陣する意向を示した。18日時点で自公の合計議席数(衆議院議長を含む)は326となっている」(19日付日本経済新聞)

現有議席数から88議席も低い水準に「勝敗ライン」を設定した安倍総理。「勝敗ライン」が低いところに設定されたことで、国民が景気回復を実感できないアベノミクスが継続する可能性が高くなりました。

「国民生活に大きな影響を与える税制において、重大な決断をした以上、・・・(中略)・・・ どうしても国民の皆様の声を聞かなければならないと判断いたしました」(首相官邸「安倍内閣総理大臣記者会見」)

2012年の総選挙では「3党合意」によって多くの有権者は消費増税に反対する声を国政に届ける選択肢を奪われました。そして、今回の選挙では「勝敗ライン」を低いところに設定されることで「1年半後の消費増税」に反対する選択肢を奪われようとしています。

「国民の生活に大きな影響を与える税制」に対して「国民の皆様の声」が届き難くなっている政治からの脱却を果たすためにも、安倍総理が低く設定された「勝敗ライン」を打ち破るような具体的代替案を有権者に示して政策論争に持ち込むような「政党らしい野党」が現れることを期待せずにはいられません。

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