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沖縄県での翁長新県知事と城間新那覇市長の誕生を祝す

 注目の沖縄県知事選挙で、翁長雄志候補が現職の仲井真弘多候補に約10万票という大差をつけて当選しました。また、那覇市長選挙でも、翁長候補と連動した選挙運動を展開していた城間幹子候補が当選しています。

 こうして、沖縄県では翁長新県知事と城間新那覇市長が誕生することになりました。翁長さんが法政大学法学部の卒業生だという縁から「翁長雄志さんを励ます法政の会」の呼びかけ人になって応援した私としても、この勝利を大いに喜び、新県知事と新市長の誕生を祝福したいと思います。

 今回の知事選での最大の争点は、在日アメリカ軍普天間飛行場の名護市辺野古地区への移設の是非です。移設容認派の仲井真候補に対して、共産・生活・社民の支援を受けた翁長候補と無所属の喜納候補は移設に反対し、維新の支援を受ける下地候補は計画の是非について県民投票の実施を訴えました。

 これについて、私は11月14日付でアップした論攷「翁長勝利によって沖縄での新基地建設阻止・普天間基地撤去の実現を」(『日本科学者会議東京支部つうしん』No.565、2014年11月10日付に掲載)で、
「沖縄と日本の命運がかかった選挙である。その最大の争点は、米軍普天間基地の代替とされる新基地を名護市辺野古に建設させるか、在日米軍基地の74%が集中している沖縄の現状を打開する展望を切り開けるか、軍事力依存の『積極的平和主義』や集団的自衛権の行使容認にノーを突きつけられるかという点にある。翁長雄志前那覇市長の当選によって、これらの争点に明確な審判を下さなければならない」
と書きました。この「最大の争点」について、沖縄県民は完ぺきな「ノー」を突きつけたわけです。

 今回の結果を受けて、基地移設計画は大きな影響を受けると見られていると報じられていますが、その程度で済まされてはならず、移設計画は白紙撤回されるべきです。はっきりと反対だとの県民の意思が示されたわけですし、そのような民意をくみ上げた政治運営こそが民主主義の名に値するのですから……。

 第1に、「米軍普天間基地の代替とされる新基地を名護市辺野古に建設させるか」という問いに対して、「建設させない」という明確な回答が示されました。これは県民の思いを裏切った仲井真県政に対する弾劾でもあります。

 政府はこの県民の審判を尊重し、きちんと米国政府に対して県民の願いを伝え、新基地建設を中止して米軍普天間基地の撤去を要求すべきです。県民の多くが新基地の建設を望んでいないということは世界中に知られる結果となりました。

 それを無視した政治運営を行えば、日本は民主主義の国ではないということを証明することになってしまいます。民意を尊重してこそ、自由と民主主義、人権という価値観を共有する国として存在することができるはずです。

 第2に、「在日米軍基地の74%が集中している沖縄の現状を打開する展望を切り開けるか」という問いに対して、「切り開ける」という回答が示されてことになります。これは日本政府による沖縄差別に対する批判でもあると言って良いでしょう。

 今回の結果は、普天間飛行場の辺野古移設への県民の反発の強さを裏付けるだけでなく、振興策とセットで米軍基地の維持を図ってきた政府の「アメとムチ」に対する沖縄の決別宣言とも言えます。沖縄は「札束で頬をひっぱたいて基地を受け入れさせる」というやり方を拒み、政府との協調を前提にした振興ではない新たな道を選択したことになります。

 先に紹介した拙稿でも、「辺野古での新基地の建設は、沖縄の美しい海と豊かな環境を破壊し、周辺諸国との緊張を激化させ、地域とコミュニティを分断し、経済と産業の発展を阻害することになるだろう。このような愚行は直ちにやめなければならない」と書きました。政府は、これまでの沖縄に対する差別的な対応を改め、基地のない沖縄の将来構想を県とともに本格的に検討すべきです。

 第3に、「軍事力依存の『積極的平和主義』や集団的自衛権の行使容認にノーを突きつけられるか」という問いに対しても、今回の結果は「ノーを突きつける」という回答を出しました。これは安倍首相による「亡国の政治」に対する明確な拒否回答でもあります。

 「抑止力論」の幻想を打ち破り、沖縄米軍基地の全面的な撤去につながる第1歩としなければなりません。沖縄の米軍基地はアメリカよりも日本政府によって必要とされていたのですから……。

 軍事力によらずに平和を実現するという日本国憲法の理念を尊重し、偽りの「積極的平和主義」を改め、集団的自衛権の行使や秘密保護法の施行など好戦的で軍国主義的な政策を断念すべきです。そのようにしてはじめて、極東の平和と安全を確保する本当の安全保障構想を生み出すことができるにちがいありません。

 今回の結果について、翁長さんは「県民のために党利党略を乗り越えて心を一つにできたのが大きかった」と評価し、県民の支持が得られた理由について「やはり沖縄のアイデンティティーだと思う。オール沖縄という新しい展開の希望、県民の思いの先頭に立ちたい」と述べています。「党利党略を乗り越えて」「オール沖縄」を実現できたことが勝利の要因であったというわけです。

 その中核をなしたのは、良識的な保守と共産党の「一点共闘」であったと思います。「オール沖縄」の思いを実現するために新基地建設反対という「一点」での共闘を尊重し、「党利党略」を乗り越えて選挙戦での勝利のために全力を尽くした共産党の対応と奮闘は大きな意味を持ちました。

 これに対して、仲井間陣営の出した法定1号ビラは政策を全く示さず、「共産主導の県政にするな。流れをとめるな!革新不況にするな。」と書いてあるだけでした。今回の結果は、このような反共宣伝が全く効果がなかったことを示した点でも教訓的です。 

 このような沖縄の教訓に学びながら、様々な領域で発展してきた「一点共闘」の威力を発揮させることが必要です。そのようにして、沖縄県民は沖縄の未来を切り開いたのですから……。

 この沖縄県民に続いて、日本国民全体が自らの選択によって未来を切り開く機会が間もなく訪れようとしています。この総選挙によって安倍内閣に痛打を与え、新基地建設阻止・普天間基地撤去をはじめ、集団的自衛権行使容認反対、秘密保護法の施行中止、消費税再増税中止、雇用・社会保障の破壊阻止、原発再稼働阻止などの国民的な課題を実現することが、次なる私たちの課題だということになるでしょう。

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