記事

日中首脳会談はなぜ開かれたのか APECホスト国としての中国のこだわり - 佐々木智弘

2/4

「楊潔篪は次のことを強調した。両国は、上述の共通認識精神に沿って、日中関係の政治的基礎を守り、両国の正確な発展方向を理解し、直ちに敏感な問題を適切に処理し、実際の行動をもって日中の政治的相互信頼を構築し、両国関係が徐々に良性の発展軌道を歩むよう進めなければならない」

 中国各紙はこの記事を1面で報じたようだが、『人民日報』は3面の下側で報じるという抑制ぶりを見せたことには注目しておかなければならない。後で述べるように、日中首脳会談開催が習近平にとってリスキーなものであることを、この時点ですでに見て取ることができる。

 この記事は、楊潔篪が日中首脳会談開催に向けて、この数カ月間外交努力を続けてきたこと、ネックとなっていたことが歴史認識問題と尖閣諸島をめぐる領有権問題にあることを明らかにした。しかし、改善を決して急いではないことも明らかにしており、すべては日本の出方次第という従来のスタンスを繰り返している。

中国の満足感と国内の反応への配慮

【無署名論評「4つの原則共通認識をしっかりと守る必要がある」】

 同じ8日付『人民日報』3面には、無署名の関連論評が掲載された。主な内容は以下のとおりである。

「周知の通り、この4つの政治文書は日中関係の政治的基礎であり、その核心的精神は両国指導者による歴史問題、台湾問題、釣魚島問題などで達成した重要な共通認識と了解から構成され、高度な政治的智恵を体現した」

「日中関係で毎回出現するトラブルをよく見てみると、日本の一部の人による日中の4つの政治文書の原則と精神に対する深刻な違反を見て取ることができる」

「日中が初めて釣魚島問題を文字化し明確な共通認識に達し、釣魚島など東シナ海海域で近年出現している緊張した状況をめぐり異なった主張が存在することを承認し、対話、協議を通じて情勢悪化を防止し、危機管理メカニズムを構築し、不測の自体の発生を回避することで同意した」

「日中関係の現在の政治的膠着状態の起点を振り返ると、『島の購入』という茶番の殺傷力が極めて大きかったことを見て取ることができる。今、十分な智恵と実情に合った行動でこの日本によって放たれた虎を檻の中に戻すだけである」

「当面、日中両国人民は双方が4つの原則共通認識を厳守することを基礎に、順を追って進め対話を再開し、徐々に日中関係を改善し、長期的で健全な安定した発展を実現する」

 論評は、この4つの原則共通認識を過去の4つの政治文書同様に「高度な政治的智恵」と評価していることを示唆している。それは歴史認識問題、尖閣諸島の領有権をめぐって、日中双方がいかようにも解釈可能な言い回しになっていることを指している。

あわせて読みたい

「日中首脳会談」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。