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“地熱で脱原発”は無理 ~ 発電規模の桁が違い過ぎて比較にならない・・・

 昨日の朝日新聞ネット記事によると、脱原発を唱える小泉純一郎氏と細川護熙氏の元首相2人が国内最大の地熱発電所である九州電力八丁原発電所を視察したとのこと。
<記事抜粋>
・細川氏「原発に頼らず、地熱など自然エネルギーの普及に国がもっと積極的に取り組めば、いい方向に進んでいく」、「総選挙になるなら、脱原発を争点にしてほしい」・小泉氏「原発が止まっていても、生活は成り立っている。再稼働をすれば核のごみが増える」
 この記事を読んで、“地熱で脱原発だ!”と思い込む読者が出てくるかもしれないが、そうはなり得ないので悪しからず。2人の元首相に何を言っても無意味なのだが、一応、事実関係だけでも以下に記しておく。

 先のブログ記事でも書いたように、地熱発電への道のりは決して近距離でも平坦でもない。これまでの実績は資料1の通りで、1カ所平均の発電規模は、事業用で3.3万kW、自家用で0.3万kWでしかない。これに対して、近年の原子力発電所は100万kW級。

 1カ所平均を事業用3.3万kWとして、理想的に順調に事が運んだと仮定すれば、今後10年間で、3.3万kW × 16カ所 = 52万kW の地熱発電が開発されることになる。これは、現在の地熱発電の設備容量とほぼ同じ規模。

 日本全体の電源構成は、2012 年度末の発電設備容量(10電力計(受電を含む))の電源構成は、 原子力 18.7 %(4,615万kW)、LNG火力27.1 %(6,696万kW)、石炭火力15.7 %(3,880万kW)、 石油等火力18.8%(4,634万 kW)、 水力19.2%(4,747万kW)。

 地熱の発電設備容量はこれら主要電源と比較できるような規模ではない。あまりにも桁が違い過ぎる。“地熱で脱原発”は、到底無理な相談なのだ。

 地熱発電の開発から竣工に至る過程やそこでの難しさなどは、資料2の一連の資料を参照されたい。実際には、上述のような理想的な行程とはならないだろうが、国産エネルギーとして地熱が有望であることは間違いないので、今後とも地道に取り組んでいくべきだ。

<資料1>
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(出所:資源エネルギー庁HP

<資料2>
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(出所:資源エネルギー庁資料

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