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消費増税延期と解散総選挙の可能性

 9日の読売新聞朝刊は一面で、安倍首相が来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを先送りする場合、今国会で衆院解散・総選挙に踏み切る方向で検討していることが8日、分かったと伝えた。首相はこうした考えを公明党幹部に伝えたとみられるとしている。年内に解散する場合、衆院選の日程は「12月2日公示、14日投開票」か「9日公示、21日投開票」とする案が有力だという。

 ただし、APEC首脳会議(北京、11日まで)に出席するため羽田空港で記者団の質問に答えた安倍首相は、衆院解散について「全く考えていない」と述べたとも伝わった。

 魑魅魍魎の政治の世界であり、あまり憶測しても意味はないかもしれないが、少なくとも、このような記事が出ること自体、消費増税の延期の可能性が高まりつつあることを示しているように思われる。

 11月2日には安倍首相の右腕と言われる飯島勲氏がテレビ番組で「12月2日に衆議院が解散、14日に投開票が行われる」と発言したことが話題となった。飯島氏はテレビ番組で、「補欠選挙をやった後に7月~9月の経済状況が明らかになる。11月17日くらいにはわかりますから、20日くらいに総理は消費税を10%に上げるかどうか決断する」と一気に読み上げ、 さらに「その後の12月2日に、思い切って衆議院解散して、12月の14日に投開票。24日に内閣改造、予算は越年」と告げたそうである。ただし、今国会の会期は11月30日までとなる。もし12月2日に解散となれば会期を延長する必要がある。

 小泉政権時に秘書官として活躍した飯島勲氏は、第2次安倍内閣において内閣官房参与に就任している。その飯島氏がテレビで堂々と解散総選挙について述べたということはどういうことなのか。そして、その期日とまったく一致する内容の記事が「読売新聞」の記事にも掲載された。

 解散総選挙を年内に行うのであれば何が目的となるのか。すでに衆院は前回解散して2年が経過しており、いつ解散してもおかしくない。解散権は首相にあり、最適と思われるタイミングで解散に打って出ることが予想される。それではなぜこのタイミングが最適と思われるのか、そこには消費増税の行方がひとつの鍵となっていると思われる。

 消費増税については現財務相の麻生副総理、元財務相の谷垣自民党幹事長らが予定通り実行するように求めていたのに対し、内閣官房参与の本田氏、浜田氏が延期を求めている。米国の経済学者でノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏が11月6日に安倍晋三首相と会談した際にも、この2人は同席している。というよりこの場を設けたのも両参与であった可能性がある。クルーグマン氏は予定通りに増税した場合にアベノミクスが失敗する可能性を指摘したそうである。

 10月22日には消費税率の再引き上げに慎重な自民党の山本幸三氏が党本部において、再増税が日本経済に与える影響などを議論する勉強会の初会合を開いていた。会合には、保岡興治元法相ら約40人が出席した。この勉強会には以前、首相就任以前の安倍氏も出席していた。この日は消費増税賛成派の会合も開かれていたようではあるが、次第に増税反対派の波が押し寄せつつあるように思われる動きであった。

 消費増税の引き上げに慎重なもうひとりの重要人物がいるとされている。菅官房長官である。菅義偉官房長官は11月5日午後の会見で、安倍首相が消費税率引き上げの判断を行う時期について、12月8日の二次速報値のあとになるとの認識を示していた。11月17日の7~9月期のGDP一次速報値を確認しての解散となれば「12月2日公示、14日投開票」の可能性はあるが、8日の二次速報まで待ては「9日公示、21日投開票」となるか。

 消費増税引上げの判断は7~9月期のGDP次第となる。経済情勢が悪い場合、増税を見送ることはできる。ただしその際には法改正が必要である。ただし、増税凍結法案はすぐに成立させなければならないものではないようで、後回しにもできるとか。

 11月17日に発表される2014年7~9月期GDP速報値は、日経QUICKニュース社が31日時点でまとめた民間調査機関7社の予測中央値は前期比0.5%増、年率換算で2.0%増であった。もしこのあたりの数字となれば、予想以上に回復の度合いが鈍いとして消費増税は見送る可能性がある。

 そうなれば前政権(民主党の野田政権)が決めた(ただし当時の谷垣自民党総裁も同意していた)消費増税を凍結させて、日本経済再生を旗印にアベノミクスの成果(特に円安株高あたり)を問う選挙に打って出る可能性はありうる。もしそうなれば10月31日の日銀の異次元緩和第二弾は、解散総選挙に向けてうまく利用された格好ともなりかねない。

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