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トヨタ、上方修正のウラのウラ③

今日も「ウラのウラ」の続きを書きます。

断るまでもなく、日本の企業の代表選手はトヨタです。しかも、自動車産業のすそ野の広さは、他の産業に比べて群を抜いています。その影響範囲は、部品メーカーをはじめ、設備、販売、流通など、じつに幅広い。部品メーカーを取っても、今日、電池や電子部品まで含まれる。つまり、トヨタの業績は、日本経済の命運を左右しかねません。

昔のトヨタは、そうでなかった。“三河の田舎侍”と揶揄されるなど、三河の城から外に出ようとしなかった。開かれたトヨタになったのは、現トヨタ名誉相談役の豊田章一郎さんが、95年に第8代の経団連会長に就任以降です。

あれは、現トヨタ相談役の奥田碩さんが副社長だったから、95年頃だったと思いますが、インタビューした際に聞いた発言が印象に残っています。

「トヨタがダメになったら、日本経済がダメになる……」と。すでに、トヨタは日本の代表選手としての自覚と覚悟を、その頃から持っていたんですね。

その後、奥田さんは05年から1年間、第10代の経団連会長に就きました。トヨタは、04年から本格的に拡大路線を歩み始め、リーマン・ショックまで突っ走り、ご存じのように手痛い挫折を味わいます。それが08年度の4610億円の大赤字です。“経団連会長会社”だったトヨタは、簡単に拡大路線にブレーキをかけることはムリだったと思います。

以上の歴史を振り返ると、今、豊田章男さんがむずかしい立場にあることがわかると思います。

つまり、トップ企業として、トヨタには、日本経済の安定と成長へのコミットが求められます。例えば、個人消費を押し上げるために賃上げの要請は強くなる一方ですね。しかし、章男さんは、「意志ある踊り場」発言に見られるように、リーマン・ショックの二の舞を避けるため、拡大路線を走ることに、じつに慎重です。数字を追い求めることで、数字が一人歩きするのを危惧しているのです。

私が「上方修正のウラのウラ」の冒頭でジレンマといったのは、その意味です。“贅沢なジレンマ”といっていいでしょう。章男さんは、個人的には、追いかけてくるフォルクスワーゲンに販売台数世界一の座をゆずってもいいぐらいに考えているのではないでしょうか。でないと、目ざす「持続的成長」にいつ赤信号が灯るとも限りません。

かといって、日本経済のことを考えると、そうはいっていられません。日本経済を力強く引っ張っていくことが求められます。豊田章男さんの今後の舵取りが注目されます。

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