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米10月雇用統計、賃金は期待に反し伸び悩み

October Jobs Report Failed To Meet The Expectation On Wage Growth.

米10月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比21.4万人増と、市場予想の23.5万人増に届かなかった。前月の25.6万人増(24.8万人増から上方修正)も下回りつつ、20万台を維持。過去2ヵ月分は3.1万人分、上方修正された。なお3ヵ月平均は22.4万人増、6ヵ月平均は23.5万人増となる。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が20.9万人増と市場予想の22.5万人増に及ばなかった。前月の24.4万人増(23.6万人増)以下にとどまる。特にサービスが18.1万人増と、3ヵ月ぶりに20万の大台へ戻した前月の20.8万人増から減速していた。

(サービスの主な内訳)
・娯楽/宿泊 5.2万人増>前月は4.8万人増、増加トレンドを維持
そのうち外食サービスは4.6万人増、過去平均12ヵ月平均の2.6万人を大幅に上回る
・貿易/輸送 4.9万人増>前月は4.2万人増、ホリデー商戦を控え増加トレンドを維持
そのうち小売は2.7万人増<前月は3.4万人増、2ヵ月連続で増加
・教育/健康 4.1万人増<前月は4.3万人増、増加トレンドを維持
・ビジネス・サービス 3.7万人増<前月は5.5万人増、増加トレンドを維持
そのうち派遣は1.5万人増<前月は1.8万人増、増加トレンドを維持
・政府 0.5万人増<前月は1.2万人増、増加トレンドを維持
・金融 0.3万人増<前月は1.2万人増、7ヵ月連続で増加
・情報 0.4万人減<前月は1.3万人増、5ヵ月ぶりに減少

財政産業は2.8万人増となり、前月の3.6万人増を下回った。10ヵ月連続で増加している。
(財政産業の内訳)
・建築 1.2万人増<前月は1.9万人増、9ヵ月連続で増加
・製造業 1.5万人増>前月は0.9万人増、増加トレンドを継続

雇用の伸びに、サプライズなし。

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(出所:Morgan Stanley)

時間当たり平均労働賃金は、前月比0.1%上昇の24.57ドル。2ヵ月連続での±0%から脱しつつ、市場予想の0.2%以下となった。前年比は9月に続き2.0%で、市場予想の2.1%を下回っている。週当たりの平均労働時間は前月まで7ヵ月連続で34.5時間のところ、市場予想通り34.6時間へ延びた。製造業の平均労働時間は2ヵ月連続で40.8時間となり、2007年以来の高水準となる41.1時間以下を保つ。

失業率は市場予想および前月の5.9%から改善が進み、5.8%。2ヵ月連続で2008年7月以来の6%割れを示現した。マーケットが注目する労働参加率は62.8%、1978年2月以来の低水準に並んだ前月の62.7%から上向いた。

失業者数も、前月比26.7万人減と前月の32.9万人減に続き3ヵ月連続で減少。失業率の低下を促した。雇用者数も68.3万人増と6ヵ月連続で増加したなかで最も強い伸びを達成。就業率は前月まで4ヵ月連続で59.0%を経て、59.2%と約5年ぶりの高水準を示す。経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全雇用率は11.5%と、前月の11.8%から低下。2ヵ月連続で2008年10月以来の12%割れを維持している。一方で平均失業期間は32.7週と、少なくとも2010年3月以来でもっとも短い前月の31.5週を上回った。失業期間の中央値も13.7週と、2009年4月以来の低水準となる8月の13.2週および9月の13.3週から延びた。

フルタイムとパートタイム動向をみると、フルタイムは前月比0.3%増の1億1963万人となり4ヵ月連続で増加した。パートタイムは1.2%増の2769万人と、3ヵ月ぶりに増加に反転した。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、かつ「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点-○
10月は11.5%、前月の11.8%から低下。2008年10月以来の12%割れを継続。不完全失業者数も前月比1.1%減の702.7万人と、6ヵ月連続で減少。

2)長期失業者 採点-×
6ヵ月以上の失業者数は10月に291.6万人と前月の295.4万人から1.3%減少した半面、平均失業期間は32.7週と、9月の31.5週から延びた。6ヵ月以上が占める全失業者の割合も32.0%と、9月の31.9%および2009年6月以来の低水準だった8月の31.2%から上昇している。

3)賃金 採点-△
10月は前年同月比2.0%、2012年11月から続く1.9-2.2%のレンジを維持。生産労働・非管理職の時間当たり賃金は前月比0.2%の上昇と9月の横ばいから改善も、前年比ベースでは2.1%と9月の2.3%以下となり9ヵ月ぶり低水準となる。

4)労働参加率 採点-○
10月は62.8%と、1978年2月以来の低水準だった9月の62.7%から改善。非労働人口は9240万人と、過去最悪を記録した前月の9260万人から減少した。軍人を除く民間労働人口も1億5628万人と、前月比で0.3%増と増加に転じた。

モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、結果を受けて「週当たり平均労働時間が34.6時間のところ、総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は前月比0.5%の上昇となった」と指摘。7ヵ月ぶりの高水準だった上、時間当たり賃金は前月比0.1%と低い伸びながら「労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比0.6%、実質ベースでは0.7%へ急伸したと考えられる」と説く。足元のガソリン価格の下落や低いインフレ動向を踏まえると、実質労働所得が強い伸びだったことから「ホリデー商戦は活況となる期待が大きい」という。

BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー、ローラ・ロスナ—両米エコノミストは、結果を踏まえ「現状の時間当たり賃金の伸びが続けば、2015年10−12月期に前年比1.5%へ鈍化する」と慎重な見方を寄せている。ただし「当方のメインシナリオは2015年下半期に失業率がインフレを加速させない下限(NAIRU)とされる4.9%へ到達し、2015年末か2016年初めに時間当たり賃金が3.0%へ加速するというもの」とも付け加えた。

ヒルゼンラス記者は、雇用統計後に配信した記事で「米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの予想より速いペースで改善している」と指摘。9月FOMCで公表された経済・金利見通しのレンジ下限を超えた点を認めつつ、時間当たり賃金が振るわず「インフレ圧力は限定的で政策変更を促す内容ではない」とまとめた。

ロイターによると、7日午前の米短期金利先物市場で短期金利が米10月雇用統計を受けて若干上昇。Fedが2015年下半期より早い段階で利上げを検討しないとの見方を反映した。

以上、米10月雇用統計は巡航速度での労働市場の改善を示したものの、懸案となっている賃金が引き続き伸び悩んでいました。米7−9月期が示したように雇用コスト指数とのスプレッドは開くばかり。実質所得が増加したという明るいニュースが届いたものの、消費がホリデー商戦明けも加速するかは微妙な情勢といえます。

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