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政権の懐柔に負けぬ骨のある女性誌の憲法特集 - 中津十三

安倍晋三首相はマスコミへの懐柔が大好き。新聞社・テレビ局の幹部や政治部長らとの会食はあまりに有名だ。今や首相だけでなく、自民党議員が記者を食事で釣っているという記事も見られるようになった。

こうした記事を載せる週刊誌も、少し前はネガキャン(ネガティブキャンペーン)と中韓叩きばかりが目立っていた。セックス記事は相変わらずなのだから、これは「売れ筋」なのだろうか。

一方、女性誌が憲法や社会問題についての骨のある記事を掲載している。

「お母さんこそ、改憲の前に知憲!」という記事が載ったのは、女性誌『VERY』(光文社)3月号の「VERY白熱教室」。弁護士の太田啓子さんのほか、ジャーナリストの堀潤さん、VERY専属モデルのクリス-ウェブ 佳子さんらが憲法や集団的自衛権について語り合っている。

記事のリード文にはこうあった。「“いつの間にか”決まっていた国の制度に驚いた経験は誰にでもあるでしょう。我が子が戦争に行かなければならないことが“いつの間にか”決まっていたら? 知らなかったではすまない日本の未来を左右する改憲と、私達ができることを当たり前に考えてみませんか?」

また、近日発売の『LEE』(集英社)12月号でも、「母親たちの初めての憲法教室」という特集が組まれた。講師はマガ9でもおなじみ、弁護士の伊藤真さん。「そもそも憲法とは何でしょうか?」「今、どんな改正論議がされているの?」「『集団的自衛権の容認』ってどういうことなの?」など集まってもらった読者の素朴な疑問に、伊藤さんが丁寧に答えている。

記事の中で、太田さんも所属する「明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)」の黒澤いつきさんが語っている。黒澤さんが「あすわか」を立ち上げたきっかけは、自身の出産と同時期に発表された自民党改憲案を読み、その後の選挙で自民党が大勝したこと。「国家が国民をコントロールしようとしてる? この草案が現実になってしまう、とものすごく怖くなりました。この子の未来を守れない! と」

どちらの特集も、「私たちは当事者、主人公なのだ」ということを強調している。そして、それを考え続けていこう、とも。

こうした特集を政権側も気にしているようだ。『VERY』には発売前に内閣広報室が「事前検閲」ともとられかねない電話をしたことがニュースになった。また、10月21日には安倍首相が女性誌の編集長らと首相官邸で懇談。いわゆる「女性活用」の一環なのだろう。女性2閣僚が辞任した直後というタイミングではあったが。

首相のいう「女性活用」などと一線を画す女性誌の特集。新聞や男性を主読者とした週刊誌とは違う、女性誌のしなやかな発想力と企画力に今後も期待したい。(中津十三)

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