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ドラギ総裁と黒田総裁は独裁なのか

ECB理事会メンバーのユーロ圏各国中銀総裁の間でドラギ総裁の運営スタイルに対する不満が高まっているそうである。ECB関係者によると、各国中銀総裁の間では、ECBのバランスシートの規模について理事会が具体的な数値は公表しないことをで合意した直後に、ドラギ総裁が規模の目標を事実上設定したことに特に不満が募っているとか(11月4日ロイター記事より)。

 9月4日のECB政策理事会では、主要政策金利のリファイナンス金利を過去最低の0.05%に引き下げ、上限金利の限界貸出金利を0.30%に、下限金利の中銀預金金利をマイナス0.20%に引き下げた。ドラギ総裁は利下げに関して、これで打ち止めとの姿勢を示した。さらに10月から資産担保証券(ABS)とカバードボンドを買い入れることも決めた。これは域内の信用状況を緩和するための措置としている。その買入れ額について「関係筋」から、3年間で5000億ユーロ規模に達する可能性があるとの発言があった。

 ロイタの記事によると、あるECB関係者は「トリシェ前総裁はよく助言を求め、意見の一致に向け努力していた」と指摘していたが、別の関係者は、「ドラギ氏は秘密主義的で、合議的でない」としていたそうである。

 ECB理事会内では現在、ユーロ圏の低インフレ状況への対応策をめぐり意見が対立し、24人の理事会メンバーのうち7~10人がFRB型の量的緩和実施に反対しているとされる。反対しているのはメルシュ専務理事、ラウテンシュレーガー専務理事のほか、ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、エストニア、ラトビアの中銀総裁。スロバキア、スロベニア、オーストリアの中銀総裁も反対の可能性があるという(11月4日ロイター記事より)。

 ドイツからの反対があったであろうことは想像できたが、量的緩和に対しては予想以上に反対意見が多かったようである。ECBの追加緩和が金利の引き下げが主体にならざるを得なかったのはこれが要因とみられる。ドラギ総裁は本音では量的緩和に踏み込みたかったと想像される。しかし、ECBは国を跨いだ中央銀行であることで、日銀のように5対4での僅差での決定といったことは政治的にも難しかったものと予想される。ドラギマジックはその意味ではタイミングとしては効果はあっても、内容としては中途半端となってしまったのはこれが要因か。

 ある程度、金融政策でサプライズを起こすためには、そのタイミングと内容が必要となる。特に緩和策には市場参加者が事前に予想していまうと、その効果は限定的となる。もちろんマスコミにリークされても同様である。それを避けるためには、少人数で戦略を決定し、それをなるべく外部に漏れないようにする工夫が必要となる。それによってドラギマジックのようなマジック効果が生まれる。その意味ではドラギ総裁は前任のトリシェ総裁と違いやや秘密主義であったのかもしれない。

 今回の予想外の日銀の追加緩和についても、短期間で総裁、副総裁など執行部と日銀幹部の一部など少数の人数で戦術を練っていたと想像される。ただし、金融政策は当然ながら総裁、副総裁、審議委員の9人の多数決で決定される。このためその票読みが必要となる。決定会合では議長の議案が否決される事態は避けなければならない。

 しかし、今回の追加緩和に対しては、当初の異次元緩和の効果がなかったことを示すことにもなりかねない。異次元緩和の効果が限定的であったにも関わらず、さらに量を増やすというのはリスクを増やすだけとなりかねないとの認識もあったはず。実務派の4人の審議委員を動かすのは難しいと判断し、学者出身の審議委員2人の賛意を取り付け、31日の決定会合に臨んだのではないか想像される。つまり日銀もドラギ総裁に劣らず、それ以上に秘密主義でかつ少数で動いていたことが想像されるのである。

 会社の経営でも役員会などでの総意を得るより、トップの独断で走ったほうがうまく行くこともある。ドラギ総裁や現在の日銀のやり方も、市場に対する効果を生むにはその方が良いのかもしれない。ただし、トップのやり方が非常にリスクがあるものであると、これは諸刃の剣ともなりかねない。ECB内部での反対意見、今回の日銀の異次元緩和パート2で反対した4人の委員の意見も重要であり、私個人としてはむしろこれら反対者の意見に組するものである。

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