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  • 境治
  • 2014年11月05日 09:21

ニコ動化の向こうにテレビの未来は見えたか?〜朝日放送「ゲーム王」見学記〜

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コメントの出方は、Hybridcastテレビの機種により少しずつ違う。仕様をもとに各メーカーが対応テレビを開発し、いまその第一陣の機器がようやくお店に並んだ段階。まだメーカーによっての違いがある。コメントも、定期的にサーバー上に取りに行く仕組みなので、数秒ごとにまとまって流れてくる。

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ところでコメントの中に「MSSP」というアルファベットが何度も登場する。これは、ニコニコ動画でゲーム実況が大人気の4人のグループの名前だ。YouTubeにもチャンネルを持っていて、いまネット界でゲーム実況と言えば彼ら、なのだそうだ。

そのMSSPがおそらく初めてテレビに出演している。そこも、ネット界の話題のひとつとなった。実際、彼らにまつわるコメントはみていても明らかに多かった。

放送中のコメントは、Hybridcast対応の機種であれば、録画再生時にもちゃんと表示される。さらに、録画で見ている時もコメントすれば表示される。録画再生時のコメントが加わるのだ。これもHybridcastならではの仕組みだ。

また、録画再生時には「この番組は○がつ○日に放送されたものです」というテロップが加わるそうだ。放送と通信を融合するHybridcastがこのように、録画再生でも対応していることは、あまり知られてないと思う。

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さて、この番組ではその中身とは別の実験もポイントとなった。

上の画面はCM中のもので、流れているのはNECの企業広告。CMの画面にもHybridcastによる仕掛けがしてある。

まず右上に「このCMへの感想を募集中」とある。これは、このCMのもともとの映像にはない要素で、Hybridcastにより放送で加えたものだ。その下に「おお!」という文字も載っている。これは、この番組のスマホサイトから視聴者がボタンを押したら加わる。

CM映像にテレビ局や視聴者が文字を加える。そんなこと、これまでの常識だとあってはならないことだ。もちろん、この番組には、Hybridcastの実験も含めてNECがスポンサードしており、CMでの実験に参加しているのだ。NECは放送業界向けの機器やシステムも事業領域としており、こうした先進的な実験に参加する意義があるということだ。
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それからこの画面には実験がもうひとつ別の実験が隠されている。下の方に文字が載っている。11月20日21日に行われるNECのイベントの告知だ。

この番組を録画して再生すると、この日付が変わる。「あとxx日」という表示に変わるそうだ。

言っている意味がわかるだろうか。生で視聴した時と、録画で再生視聴した時とで、表示が変わるということだ。再生視聴する際の日にちに合わせて変化する。

この文字の部分は、Hybridcastでサーバーから読み込んで表示しているのだ。放送時だけでなく、録画再生時もその都度読み込む。だから、放送時と内容を変えることもできるし、あらかじめプログラムしておけば、日にちに合わせた変化も可能なのだ。

朝日放送の実験は、広告の仕組みにも及んでいた。番組を録画で見る際、CMは飛ばされるんじゃないかという危惧があるが、それとは別に、あとで見ると伝えるべき内容が旧くなってしまうという問題もある。これを解決するひとつの答えが、この可変性かもしれない。

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CMの最後にはこのボタンが出てくる。スマホでCMの評価を送ることができるのだ。これも、Hybridcastが広告に与える進化のひとつだ。CMに対する視聴者の反応や意志を集めることができる。スマホとの併用で、クーポンを届ける、なんてことも可能になるだろう。

Hybridcastはこれまで、放送をリッチにすることが謳われてきたが、実はテレビ広告の仕組みを進化させるこういった可能性の方にこそ、その進化があるのかもしれない。

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番組の終了時には、上の画面のように視聴者がニコ動流の拍手を送ってくれていた。朝日放送のスタッフが感激していた。こんな風に、視聴者と番組の作り手が意志を交わしあえたらテレビは楽しくなるだろう。

Hybridcast対応テレビはようやく販売されるようになったばかりなので、まだまだ普及率は低い。関西限定の深夜番組であることも併せて考えると、参加者は数十名程度だろうと推測されていたが、漏れ聞いたところでは、今回の参加者数は4桁になったようだ。90年代に人気を博した「ゲーム王」の番組性と今回のHybridcastの実験の相性の良さが功を奏したのだと言える。

とは言え、こうした試みを日常的に行うのは対応機種がもっと増えないと無理だろう。そして不思議に思うのは、家電販売店に行くと4KはアピールしているがHybridcast機種についてはそもそも店員がよくわかってなかったりする。未来のテレビの日常的な実現には課題が多い。

ただ今回の試みは、テレビの未来の姿を垣間見せてくれた。ハマる番組でハマる視聴者にとっては、この上ない楽しさを提供していけるのではなかろうか。テレビの多様な将来像に、期待したい。

※Facebookページ「ソーシャルTVカンファレンス」ではテレビとネットの融合について情報共有しています。
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境 治
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