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財務省のセンスなき教育予算カットの目論見

「35人学級」を「40人」に逆戻り?

先日、耳を疑うニュースがありました。2011年に我々が決めた、小学校1、2年の「一クラス35人学級」の基準に対し、財務省が元々の「一クラス40人」に戻し、約90億円の予算を捻出しようとしている件です。本件は、35人学級の予算化を図る際、私が文部科学委員として本会議で代表質問する予定の法案であり、主体的に関わってきた問題ですので、思い入れの強い政策です。財務省の言い分では、もともと目指していたいじめの数の減少など顕著な改善が見られないことから、40人に戻しても問題ないだろう、ということのようですが、たかだか2,3年で政策効果を判断できるほど単純なものではないですし、一クラスの人数が減ったことによってより先生の目が行き届き、問題が早い段階で発見できるようになったとの見方もあります。そもそも、90億円程の予算であれば、他に削るところはいくらでもあるのに、まずはこれに目をつける辺り、財務省のセンスを疑います。

下がる経験値 苦闘する現場

現在、わが国の教育現場では、70年代のベビーブーム対応で大量採用された教員の大量退職期を迎え、急速に若返りをしています。文部科学省の調査では、教師の平均年齢は小学校が44.0歳、中学校は43.9歳、高校は45.3歳で、1977年度に現行の調査を開始して以降初めての低下となりました。退職者数の増加は顕著で、12年度の退職者数は小学校1万8007人、中学校8684人、高校6302人で、09年度より計2648人多くなっています。実際に、学校現場に行くと、20代や30代前半の教師の多さに驚きます。若い教師は、ベテランから十分な指導も受けられないこともあり、そうした中で保護者や社会の多様なニーズに応えようと必死です。

学級の少人数化は世界の常識

そんな我が国の教育環境で、長年指摘されてきたのが一クラスあたりの生徒数の多さです。アメリカ、イギリス、ドイツなどは軒並み30名を上限とする基準を設けていますが、わが国は上限が2011年以前は40名、平均値でもOECD諸国の平均を上回っています。教師の指導力を上げることと共に、一人の子どもにより目が行き届く環境を提供することで、教育全体の質を上げようとする試みは、まさに世界中で共通理解された政策です。

今回の一報を受け、独自に35人学級を進める静岡県の川勝平太知事は、財務省の姿勢を批判しています。また、独自に予算措置を行い、1~4学年のほぼすべての学級で35人を実現している兵庫県でも、同様の反応が予想されます。

財務省は、地方・現場の声を真摯に聞き、予算のつけ方、削り方に、正しいセンスを取り戻すべきです。

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