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中間選挙後の米国政治経済

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来週火曜日には中間選挙、そして今週はQEの終了を決定するFOMCと、米国情勢にとっての重要イベントが並んでいます。そろそろ来年以降の米国政治に見通しをつけるとともに、経済の動きもチェックしてみる必要がありそうです。 直前の選挙情勢を見る限り、2015~16年は「共和党が上院でも多数になる」ことになりそうです。それを前提に、今後の米国情勢を展望してみたいと思います。

●「私はオバマじゃない」CM

米国の選挙戦では膨大な数のテレビCMが使用される。今回の中間選挙では、これがヒット作ではないかと思う。ケンタッキー州上院選で、共和党の重鎮ミッチ・マコーネル(72歳)に戦いを挑む民主党アリソン・グライムズ州務長官(35歳)の広告である。 ○キャンペーン広告”I’m not Barack Obama”1



1 http://www.youtube.com/watch?v=gGG_OnGuvwQ ←是非ご覧あれ。

野原でクレー射撃に興じているグライムズ候補。達者な銃捌きから、年季の入った趣味であることが伝わってくる。画面に本人の声が重なる。

「ミッチ・マコーネルは私がバラク・オバマだと思わせたいらしい。ミッチはデューク大のバスケットボールチームが、英国人だと勘違いしていた。炭鉱で数千人の雇用が失われているのに、ほとんど何もしないで石炭問題で私を攻撃する人でもある。ケンタッキーに雇用をもたらすのは、『僕の仕事じゃない』と言ったこともある」
ここで彼女はカメラに向かっていわく。
「私はバラク・オバマじゃない。銃規制でも、石炭でも、環境規制でも反対しています。それからミッチ、アンタの銃の構えはなっちゃいないわよ」
いつものことながら米国の選挙は「何でもアリ」である。しかし与党の候補者が、「私は大統領に反対」と言ってしまうのだから恐れ入るしかない。

それというのも、あまりにもオバマ大統領の人気がないからである。共和党側は、「民主党新人はオバマのようだ」と安易なレッテル張りをする。民主党候補者は、なるべく大統領と距離を置こうとする。結果としてオバマ大統領は、激戦州ではほとんど応援に呼ばれず、民主党が確実に勝てるリベラル州で資金集めに徹するというお寒い状況にある。

まして南部は、「オバマ嫌い」が筋金入りである。ケンタッキー州はお隣のウェストヴァージニア州と並んで、アパラチア炭田を有する石炭州だ。ところがオバマ大統領は、気候変動問題への対応を自らのレガシーとすべく、温室効果ガス(CO2)を排出する石炭火力への規制を強めている。2009年末には自らコペンハーゲンに乗り込んだものの、COP15が中国の反対でまとまらず、その後はこの問題を「封印」してきた経緯がある。ところが最近のシェール革命により、米国内ではCO2排出量の少ない天然ガスによる発電が増えている。これなら遠慮なく石炭産業と戦える、と踏んでいるのかもしれない。

ところが地球温暖化というアジェンダは、カリフォルニア州やニューヨーク州ではともかく、南部では不評である2。そこで身内から、”I disagree with him on guns, coal, and the EPA.”という「造反」を受けてしまうのである。

少し弁護すると、彼女はオバマケアには賛成している。医療保険改革により州人口の1割に当たる500万人の無保険者が救済されると見込まれるからだ。しかし彼女は、そのことはあまり口にしない。マコーネル上院議員はもちろん「オバマケア廃止」が公約である。

今のところ世論調査では、マコーネル47%対グライムズ42%となっている。来週の中間選挙で、大方の予想通り上院でも共和党が多数になると、マコーネル上院院内総務は“Majority Leader”となり、議案の審議日程や委員長ポストを決める重要ポストに就くことになる。ただし「大番狂わせ」の可能性が絶無とは言えない…。

2 2000年選挙で惜敗したアル・ゴアは、自分の地元テネシー州を落としている。通算16年にわたる下院・上院議員時代には銃規制、タバコ規制、人工妊娠中絶に反対する民主党右派だったのに、その後の8年間の副大統領時代はこれらの主張を撤回してしまった。南部の人たちには「変節」と映ったのだろう。

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