記事

ゴーストタウンを生み続ける中国不動産市場の怪 ‐ 弓野正宏

1/2

中国のニュースサイトで最近、話題になり、転載され続けている一つのランキングがある。それは「ゴーストタウン・ランキング」だ。ランキングと分析記事を掲載したのは『投資時報』という湖北省を拠点とする長江日報メディア集団傘下の経済紙である。

 中国の各地に現れた「ゴーストタウン」については日本でも注目され、報道番組でも取り上げられてよく知られるようになっている。中国の庶民に人気が高い中国特有の金融商品「理財商品」による資金の投資先が不動産市場であることからも市場が過熱し、バブルへの懸念が高まった。しかし、それはもはや過去の話。ここ1、2年は不動産価格が高止まりし、投げ売りに止まらず、既にバブルははじけ、それもかなり深刻だという見方が出ている。こうした中で指摘されるゴーストタウンの問題は不動産市場の低迷どころではない地域経済全般に将来にわたって関わる深刻な問題だ。

ゴーストタウン大量出現で国土資源部が抑制に乗り出す

画像を見る
『投資時報』本特集掲載445号表紙
http://message.zmoney.cn/e.aspx?vid=72

 『投資時報』が10月13日に掲載した、「2014年ゴーストタウン・ランキング」の記事は不動産関係者や財界にとどまらず、中国中の注目を浴び、様々な不動産業界のサイトを始め、『鳳凰網』のようなメジャーサイトにも転載され、不景気の深刻さを印象付けるものとなっている。

 「中国のゴースト探索記」と題したこの特集では「中国では50の“ゴーストタウン”が出現 国土資源部が“ゴースト”抑制に乗り出す」と題する記事など3本が掲載されている。

 記事のランキングで1位になったのは内蒙古自治区の二連浩特市。この「ゴーストタウン指数」では2位以下に大きく差をつけるぶっちぎりの結果だった。2位以下では、欽州、ラサ、嘉峪関、井岡山、威海、錫林浩特と続く(ランキング表を参照のこと)。ランキングではトップ50の都市を列挙しているが、こうした都市を見て気づくのは、少なからぬ観光都市が入っていることであり、リゾート開発で多くの投資資金が呼び込まれたことが窺える。

画像を見る
『投資時報』誌の本記事
http://www.zmoney.com.cn/pinglun/show.php?itemid=153

 「ゴーストタウン」の判断基準は、人口と建築面積を比較してそれが1:2、すなわち0.5を上回るか否かで判断する。人口と面積を比較した指標に照らすとまだ50近くの「ゴーストタウン」が出現しそうだという。具体的に基準を説明すると、1平方キロメートル当たり、通常は1万人を収容できることからこれを基準に都市区域の人口と建設面積を計算して、「ゴーストタウン」か否かを判断する「指数」を算出したという。都市面積が100平方キロなら100万人が居住できるが、人口が50万人しかいないなら半分だから「ゴーストタウン」に相当するというわけだ。

 大量の「ゴーストタウン」出現で国土の管理監督を担う国土資源部は土地の節約、集約利用に関する意見書を出した。同部計画局の董局長が明らかにしたところによると、都市の拡張問題は深刻で、新たな用地開発については今後より厳格にコントロールし、許可を出さなくて済む場合はなるべく出さない方針でやっていくという。

中小都市で横行する盲目的拡張工事

 「ゴーストタウン」出現は、過去5年間の都市拡大との関係が大きい。国土資源部が2013年に行った調査によると、全国391カ所の建設計画中の都市建設用地は一人当たり平均197平米であり、居住区では既に161平米と国の基準である100平米を大きく超えている。

 経済開発の監督官庁である国家発展委員会傘下の都市・地方小都市改革発展センター(城市和小城鎮改革発展中心)の調査によると90%の地級市(省レベル行政区より1級下級の市、全国に330超ある)で計画中の居住地域の面積は元々の居住区の7,8倍にも上り、「からっぽ都市」、「眠れる都市」、「死の都市」というような現象は少なくないという。2013年に行われた12の省での156の地級市と161の県級市に対する調査で9割の地級市で新たな居住区(新区と呼ばれる高層マンション群とでもいうべき居住区)の建設が計画中だという。そして省によっては一つの省都(日本の県庁所在地に相当)に13もの居住区建設が計画中だという。

 中国では2008年から2012年の5年間で都市中心街の面積が9700平方キロ増加したが、これは温州市の中心地域50カ所分に相当する面積だという(2012年末までで温州市の中心地域の面積は204平方キロ)。もしこれを建設面積で計算するとその結果はもっと驚くべきものになると見込まれる。

あわせて読みたい

「中国」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。