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ストリーミング配信をケーブルTVと同格にーFCC委員長言明、米国激震へ

過去2回、ビデオのストリーミング配信の興隆に関する記事を書きましたが、どうやら、米国の有料多チャンネル放送サービス、いわゆるPay TVの世界は大変革時代に突入している 状況に、当方もたまたま遭遇したようです。

当初は難視聴対策で登場した米国のケーブルテレビが、多チャンネル放送局として爆発的に普及したのが1970年代、およそ40年前。そして、そこに衛星多チャンネル局が参入したのが20年前の1994年。20年のサイクルで、今度は、ストリーミング配信を行うWeb多チャンネル局が、ケーブル、衛星と同格になりそうなのです。

FCC(連邦通信委員会)のTom Wheeler委員長が、28日付けのFCCの公式ブログでその考えを明確にしました。いわゆるPay TVは正式にはMVPD(Multichannel Video Programming Distributor)といい、これにはケーブル局と衛星局などが該当すると定義していたのを、再定義して、Web局も加えようと委員長自ら提案したのです。

Tech Transitions, Video, and the Futureと題したウィーラー委員長の投稿記事は、明快な文章なので、是非お読みいただきたいのですが、まず、冒頭にこうあります。

Consumers have long complained about how their cable service forces them to buy channels they never watch.  The move of video onto the Internet can do something about that frustration – but first Internet video services need access to the programs

ーーー消費者はケーブルサービスが彼らが決して見ないチャンネルまで買うように強制することにずっと不満を持っていた。ビデオをネットに載せる動きはこうした不満をなんとか出来るーーしかしまず、ネットビデオサービスは番組にアクセスする必要がある。

これに続けて、「FCCは今日、ケーブル番組、ローカルテレビ局へのオープンアクセスに向けて最初の一歩を踏み出した。その結果は、消費者の選択肢を増やすことになるだろう」と宣言しています。FCCルールの改定で、番組を制作するケーブルチャンネル局や地上テレビ局が、Web 局によるストリーミング配信を拒んではならなくなるというのです。

ブログの後段では、ケーブル局と同じ扱いにすることで、まだまだ不十分な米国の高速回線の充実に繋がることが期待できるとあり、かってビデオ送信のためだけに作られたケーブルという閉鎖的な経路から、インターネット・プロトコル(IP)のイノベーションはビデオを解放する、という理念を語っています。

そして最後は、「今日の提案は、この新たな現実を認識するために改定され、その結果、競争を促進し、消費者の選択肢を拡大する」と自信満々に結んでいます。

その、委員長提案は、すでに他のFCC委員に提示されているとのことで、承認されれば、パブリックコメントにかけたあと、実施されるというレールが敷かれていますので、間違いなく実現するのでしょう。

そうなるとどうなるのでしょうか。すでに紹介したケーブルチャンネル大手のHBOや4大ネットワークの一つCBSのストリーミング配信事業の拡張は間違いないでしょうし、ビデオのストリーミング配信で5千万ユーザーを抱えるNetFlixやHulu、GoogleTV、AmazonPrimeなど豊富なコンテンツを所有する面々も陣容を整えるでしょう。

さらに、昨年4月にこのブログで紹介したAereoも、タダ乗りビジネスだとしてネットワーク局の起こした裁判で負けましたが、復活する可能性が出てきました。ケーブル局並に再送信料を払えばいいわけですから。

創業者・CEOのChet Kanojia氏はFacebookにこう書いています。”This is an important step in the right direction for consumers”  “We applaud Chairman Wheeler for his leadership on this issue.” 大絶賛してやる気満々に見えます。

不気味なのはYouTubeの動き。今週、サンフランシスコで開かれたRe/Code主催のカンファレンスで Susan Wojcicki CEOが、収入の多様化を図るため、広告なしの有料視聴サービスを考えている、と述べたようです。

迎え撃つことになるケーブル局、衛星局も手を拱いてはいられないでしょう。なにか、とんでもない激動期に突入しそうな米国テレビ業界。それに比べて、日本のテレビ業界はとても平和に見えます。

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