- 2014年10月30日 00:00
【読書感想】リクルートという幻想
2/3この新書を読んで、「リクルートって、そんなにすごい会社だったのか……」と、一般的な「就活」を経験しておらず、企業の情勢にも詳しくない僕は、驚いてしまいました。
そもそも、そんなに「特別な会社」だったのか、と。
40代前半の僕にとっては、リクルートって、「就職情報誌をはじめとした情報産業の大手で、あの『リクルート事件』を起こした会社」でしかないんですよね。
すごい人材をたくさん輩出していて、「意識高い系」の若者たちに、こんなに興味を持たれているのか……と驚きでした。
「リクルート事件を知らない若者たち」が、どんどん社会に出てきているのだものなあ……
リクルートの採用の特徴は「リクルートに入りたい」人ではなく、「リクルートが欲しい」と思う人材を採用することである。なぜなら、当時の同社は応募すらしていない人、リクルートに興味のない人までを対象とし、口説き落としていたのだ。同社の採用は、欲しいと思った人材を探し出し、徹底的に口説くというものだった。
家族などに反対されることもある。特に88年を境に世間からは「リクルート事件を起こした会社」として認知されているわけだから。家族を説得するため、採用担当者は内定者の親と酒を酌み交わすことすらあったという。
(中略)
採用担当者には、その夜、銀座で鮨をご馳走になった。実に感動的だった。別れ際に、こう言われた。「形式上必要だから、履歴書を書いてくれ」。そう、履歴書もないまま、面接が進んでいったのだった。
また、入社式の日は、こんな感じだったそうです。
しかし、最も驚いたのは、夜のキックオフだった。配属先の事業部のキックオフが行われたので、入社式、内定者研修が終わった後、お台場にあるイベントスペースに、私たち新人は移動した。到着した瞬間から、そのバブル臭のする雰囲気に圧倒された。会場も立派だったし、立食パーティーで美味しいものが食べ放題、飲み放題。社員たちは、いちいち良い服を着ていると感じた。女性社員たちは、化粧が派手目で喫煙者が多いと感じた。
人が登場するたびに「イエイ」という声で大騒ぎになり、営業マン対抗のゲーム大会などが壇上で繰り広げられた。90年代後半で、パワーポイントなどが世にまだ普及する前だったろうが、それらを駆使した画像がパーティーを盛り上げていた。バニーガールまでいた。しかも、なんと普通の現役女性社員がそのコスプレをしており、驚いた。最後は事業部全体での掛け声だった。
新橋に移動し、今度はマネジャー以上の人たちと、異動者・新人による二次会が開催された。密集した部屋での激しい飲みだった。異動者・新人が紹介されるたびに、「イエイ」という雄叫びが上がり、一気飲みの繰り返しだった。なぜに、ここまでハイテンションで飲まなければならないのか。新入社員で20代前半の私たちよりも、10~20歳も上の人たちなのに、浴びるように酒を飲み、騒ぎ続ける様子には、エネルギーも感じたが、疑問も感じた。学生時代にも、こんなに激しい飲みは経験したことがなかった。飲み過ぎて、ヘロヘロになってしまった。
1990年代後半、か……
著者は僕より少し若いくらいで、ほぼ同世代なのですが、当時はまだ「一気飲み禁止!」などいう社会通念もできあがってはおらず、学生も「激しい飲み会」をしていたのです。
にもかかわらず、学生時代にも経験したことがないような、激しい飲みを、繰り広げる大人たち……
リクルートというのは、良くいえばエネルギッシュで、悪くいえば「学生サークルの延長にあるような」雰囲気だったのが伝わってきます。
新入社員の勧誘も、学生サークルの勧誘みたいですしね。
こういう「ノリ」は、入社式の日だけではなく、「リクルートでは、日常的にモチベーションが上がる場面があった」そうです。
こういうのが好きな人にはたまらないだろうけど、僕にはちょっと、無理だなあ……と思いながら読みました。
著者が実際に体験した、「リクルート伝説」を読んでいると、「ああ、日本が元気な時代だったんだなあ……」と、ちょっと懐かしく思うのと同時に、そういったポジティブな熱病みたいなものが、時期的にも、オウム真理教事件などとも重なっているということについても考えさせられます。



