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10月FOMC声明文、QE終了に合わせタカ派への第一歩を踏み出す

Fed Took A Step Forward To An Exit After Ending QE.

10月28−29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)、宣言通り量的緩和第3弾(QE3)に幕を閉じました。注目の「相当な期間(considerable time)」の低金利維持は、しっかりキープ。こちらで予想したようにディスインフレへの配慮も、挟み込んでいます。ただし、巡航速度での回復を確認した米9月雇用統計を受けて「大いなる労働資源の活用不足(significant underutilization)」との文言は、「大いなる」を削除してきました。

バークレイズのディーン・マキ米主席エコノミストは、声明文を受けて「マーケットの予想に反しタカ派寄りへシフトした」と判断。理由として、1)「大いなる労働資源の活用不足」から「大いなる」を削除、労働市場の改善に対する自信の表れ、2)「財政政策の引き締め効果が成長を抑制する」との文言削除もFedの楽観姿勢の裏打ち、3)賃金インフレの低下を指摘した一方、「調査ベースのインフレは安定的」を挿入しディスインフレへの懸念を中和——などを挙げ、引き続き第1弾の利上げ開始時期を「2015年半ば」と予想しています。

FF金利先物動向も、タカ派寄りな声明文に反応しています。2015年9月の利上げ開始織り込み度は約50%と、FOMC以前の42%から上昇しました。

声明文の主な変更点とポイント

【景況判断】
前回:「労働市場はいくらか一段と改善したものの、失業率はあまり変わっていない」

今回:「労働市場は就業者数が堅調に増加したほか失業率の低下したように、改善ペースがいくらか加速した」
米9月雇用統計で非農業部門就労者数(NFP)が20万人台へ戻し、失業率は5.9%と2008年7月以来の6%割れを達成。

前回:「一連の労働指標は大いなる労働資源の活用不足を示す」

今回:「概して、一連の労働指標は労働資源の活用不足が徐々に減退していることを示す」
※米9月失業率は5.9%と2008年7月以来の6%割れを示現し、9月FOMC時で公表した経済・金利見通しのレンジ下限に到達。米新規失業保険申請件数も4週連続で30万件を割り込み、13年半ぶりの低水準。

前回:「家計支出は緩やかに拡大しているようにみえ、」

今回:「家計支出は緩やかに拡大しており、」
米9月小売売上高は予想外に8ヵ月ぶりの減少を示したものの米8月個人消費は堅調に増加しており、今週末発表の米9月個人消費は上向きを示す可能性を示唆。

前回:「財政政策の引き締め効果は薄れつつあるものの、依然として経済成長を抑えている」

今回:削除
※強制歳出削減の影響など、一連の財政引き締め効果は後退。翌30日公表の米7−9月期国内総生産(GDP)が市場予想の3.0%を上回ってくる可能性も。

前回:「インフレは委員会の目標値を下回って推移している」

今回:「インフレは委員会の目標値を下回って推移し続けている」
※米9月消費者物価指数は前年比1.7%、米8月PCEデフレーターはコアも含め1.5%とインフレ目標値「2%」からかい離を継続。

前回:「長期的なインフレ見通しは、安定性を保ったままだ」

今回:「マーケットベースの賃金インフレはいく分低下しており、調査ベースの水準で長期インフレ見通しは安定性を保ったままだ」
※米9月雇用統計で時間当たり賃金は前年比も2.0%と、足元のレンジ2.0—2.1%を維持。

【統治目標の遵守について】
前回:「委員会は経済活動と労働市場への見通しに対するリスクはほぼ均衡とみなし、インフレが執拗に目標値2%を下回って推移する可能性は年初からいく分後退した」

今回:「委員会は経済活動と労働市場への見通しに対するリスクはほぼ均衡とみなし、インフレは短期的にエネルギー価格やその他の要因で押し下げられる公算が大きいものの、委員会はインフレが目標値2%を執拗に下回って推移する可能性は年初からいく分後退してきた」
※インフレ鈍化の理由として、原油など商品価格の下落を指摘。

【量的緩和策について】
前回:「委員会は足元、後半にわたる経済の強さが労働市場の動向を支えるに十分と判断する。最大限の雇用へ向けたこれまでの進展と労働市場の見通し改善に合わせ、委員会は追加として資産買取のペースを緩やかな縮小を決定した・・・」

今回:「委員会は、現状の資産買入プログラムを導入してから労働市場の見通しが大いに改善したと判断する。さらに、委員会は経済全般が最大限の雇用と物価安定への進展を支援するに十分な強さがあると認識する。それに応じ、委員会は今月での資産買入プログラム終了を決定した。委員会は、政府機関債と政府機関が発行する住宅ローン担保証券(MBS)の償還元本を政府機関が発行するMBSへ再投資するという既存のプログラムを継続し、満期を迎えた米国債のロールオーバーを入札にて行っていく。委員会が非常に大きな長期債保有高を維持する政策を通じ、緩和的な金融環境が支援されるだろう」
※資産買入プログラムの終了を宣言。前回から「委員会が保有する非常に大きく、かつ増加し続ける長期債保有高を通じ長期金利は下方圧力を与えられ、住宅ローン市場を支援し、より広範な金融環境をより緩和的にさせ、結果的により強い経済回復をもたらし、インフレがいずれ二大責務と整合的な水準を回復することを助長する」を削除。

【政策金利について】
前回:「最大限の雇用と物価安定へ向けた進展を支援するため、委員会は金融政策における高い緩和スタンスが適切であり続ける(削除)との認識を再確認した。どの程度、現状の0-0.25%の目標レンジで維持するかを決定する上で、委員会は最大限の雇用と2%のインフレという目標に沿って実際の数値と見通しの両方を評価していく」

今回:「最大限の雇用と物価安定へ向けた進展を支援する上で、委員会は現状の0-0.25%の目標レンジを維持することが適切との認識を再確認した。どの程度維持していくかを決定するにあたって、委員会は最大限の雇用およびインフレ目標値2%という2つの目標に沿って実際の数値と見通しの両方を評価していく」
※高い緩和スタンスが適切との文言を削除。労働市場の改善や成長回復に合わせ、バブル警戒を意識か。

前回:「委員会はこうした要因の評価に基づき、特にインフレ見通しが長期的な目標である2%を下回り抑制的であり続ければ、資産買い入れプログラム終了後もフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標レンジを現状で据え置くことを適切と予想し続ける」

今回:「委員会は現状の評価に基づき、特にインフレ見通しが長期的な目標である2%を下回り抑制的であり続ければ、今月に(追加)資産買い入れプログラムを終了した後もフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標レンジを現状で据え置くことを適切と予想し続ける」
※「相当な期間」の低金利を維持。

前回:「なし」

今回:「しかしながら、経済指標が雇用とインフレという2大目標への達成に向け委員会が予想するよりも加速を示せば、現状より早い段階でFF金利誘導目標を引き上げられるだろう。反対に、進展具合が予想より遅くなるようであれば、目標レンジ引き上げは現時点の予想より先送りされる公算が大きい。」
※第1弾の利上げが経済指標次第であり、カレンダーではない点を強調。

【票決結果】
今回は、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が反対票を投じた。インフレ見通しの低迷とマーケットベースでの長期インフレ見通し低下を理由に、少なくとも1−2年先のインフレ見通しが2%に回帰するまでFF金利を低水準で維持すべきと主張したほか、量的緩和の継続も求めた。前回はセントルイス連銀のプロッサー総裁が7月に続き2回連続で反対に回ったほか、ダラス連銀のフィッシャー総裁も「相当な期間」の低金利維持をめぐって不支持を表明した。

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