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サラリーマンでも大丈夫。サンカクで経営参画できるリクルートの本気 ‐ 川合雅寛

昨今、ベンチャー・起業が空前のブームになっている。だが、企業内でくすぶっている優秀なサラリーマンの数も依然として多い。そんな中、リクルートキャリア社が作り上げた「サンカク」という会社を辞めずに高成長ベンチャー経営に参画し参謀として活躍できるサービスが今話題になっている。

■ベンチャーにはすべてが足りない

年間8万社、個人事業主も含めると22万社が独立している。しかし、経営者になるのは簡単でも、経営を続けるのは大変である。ベンチャーには何もかもが足りない。やはり外部の力が必要なのだ。

外部の力 = 資金と人財と考えた時、人を集めるためには資金が掛かるという鶏と卵の問題が発生する。故に、自らの夢に掛けてくれる優秀な同志をどうにかして集めるか、学生の優秀なメンバーを立派に育てていくかに限られてくる。

逆に一時的に外部の力を借りたとして、高額な資金を支払ったはいいが、効果が出るとは限らない。一刻を争うベンチャーにはそんな処に支払うだけの余力は無い。

また、資金調達済のベンチャーもその資金のほとんどを優秀な人財を引き入れるための環境づくりとハイアリング費用が主となっている。実際におしゃれなオフィスを持つ会社には優秀な人財が集まりやすい。つまり、呼び水効果だ。(もちろん、戦略によって異なるのであくまで一般論)

とにかく自分より優秀な「人」を採用したり、味方に引き入れたりすることが重要ということになる。

■企業内の優秀な人財をベンチャーに

ところが、ベンチャー側の悩みというものは大企業側には殆ど伝わっておらず、大企業のロジックで接する方が多い。そのため、お互いに時間の浪費という結果になりがちだ。現に私もこの間まで大企業側の人間であり、経営者となったいま「あの時迷惑かけたなぁ」と反省しきりである。

こういったミスマッチや思いつきでの討論を減らすためには、専用のマッチングサイトを使う必要があるが、リクルートキャリアの「サンカク」というサービスは大企業・中堅企業に勤める改革派の企業人にとっては非常にマッチしたサービスといえる。

今勤めている企業に在籍しつつ、成長ベンチャーの経営参謀になれるチャンスがそこにあるというのは魅力的ではないだろうか。大企業内で自らの企画を通すにはそれなりの社内人脈と巧みな技が必要であったり、まさに半沢直樹のような魑魅魍魎が跳梁跋扈するような世界を乗り越えなければいけなかったりと、非常に大変である。

ならば、ベンチャーというものに先に触れながら、自らの能力を発揮し最終的にはそのままベンチャーに入ったり、起業したりする道を選ぶというのも良いのではないだろうか。

またこれはリクルートだから成しえたサービスだと思われる。新規事業ありき、自らの企画で稼ぐ、そういう社内文化があったからこそ生まれたものだ。Facebookのアカウントがあれば直ぐにでも利用できるというのも敷居が低く良いと思われる。

■サンカク掲載案件は洗練されている

サンカクというサービスを見ると、一つ他サービスとの大きな違いが浮き彫りになっている。それは、案件登録が自由ではないという点だ。類似のサービスにはCombinatorやビザスク、プロボノ等がある。少し切り口は違うが、時間を切り売りするという点ではレレレ社が提供しているタイムチケットも似たようなサービスである。

それぞれの特徴として、Combinatorがベンチャー気質な人が案件を探すためのもの、ビザスクはある程度しっかりした会社がコンサルティングビジネスをマッチングさせるためのもの、プロボノは企業のCSRプロジェクトをマッチングさせるためのものと別れている。特にビジネス領域に括るとCombinator、ビザスクが競合になると思われるが、自由に案件登録できてしまうため玉石混交である。これらはただ単に選択肢を増やし、結果的に利用しづらくなっているのではないだろうか。

そういった点を考慮し、サンカクとしては現在オープンβとして掲載企業を絞っており、質を上げる動きをとっている。実際にプロジェクトを率いている秋山氏は「既に4回もディスカッションにサンカクしたユーザー」や「追加でディスカッション案件を掲載されたいというクライアント企業」が生まれだしていると話している。9月3日のサービスインから2ヶ月立たずにこの成果というのは、ニーズやシーズだけでなく質を追求する姿勢が呼び込んだ結果ではないだろうか?

■大企業とベンチャーの融合体で世界制覇へ

結局のところこの動きはどういうことなのだろうか?なんとなくだが、一つ大きな流れが見えてくる。それは大企業とベンチャー企業の協業の次の形である。1万人の会社の中で1日8時間ずっと必要な人材はどれほどだろうか?使えないわけではなく、使いきれていないだけの人が眠っているのが大企業である。

トーマツベンチャーサポートが仕掛けるモーニングピッチも活況であり、社内のリソースを外部の刺激によって活性化させる動きが非常に大きい。この動きを逆転させているのがサンカクなのだが、銀行が人材を出向させるような「交流」とは全く違う。

これは自発的なベンチャーへの参加であり、大手が持つリソースとベンチャーの持つ魂と技術・ノウハウの融合が加速するのではないだろうか。

この人口が縮小する国の中で戦い続けることよりも、手を取り合って世界とぶつかり合う文化が生み出されていくことを私は期待する。

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川合雅寛 クロスリバー株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

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