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財源のはっきりしない政策議論は、そもそもおかしいと思うんだよね

少子化対策の話と財源の話は異なるようで実は地続きで、要するに「限りある税収をどこに振り分けるのか」を考えるにあたって、もしも少子化対策が重要なので予算を積もうと思えば必然的に他の財源を削らなければならないんですよ。

 さっそく「しらべぇ」の私の記事に対するクレームもいただきましたし、補足記事はY!J個人にも書いたわけなんですけれども、情緒的に「いまこれが問題だ! 政府は対策をするべきだ!」と主張するのは簡単だし、まあ同意もする部分が大きいんだけれども、必要なこと全部に対してすべて予算付けてたら大変な支出となって国は借金だらけになってしまいますからね。

【コラム】ババアと出会いの価値を算定する(後編) 価値を落とさない5つの要素
http://sirabee.com/2014/10/28/6088/
日本人の結婚観と、少子化対策の問題
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20141028-00040336/

 なので、少子化問題は大事だ、というのと同じぐらい、何と比べてどのくらい優先されるべきなのか、というのは、常に考えておかなければならない問題だと思うのです。子供を生んだ母親に一人当たり10万円の給付を増額しようとするとそれだけで2兆円弱とかかかるわけですし、それだけで消費税1%分の安定財源が必要という話になるわけですね。

 ましてや、国力が下がってきて徴税力が落ちている現状からすると、支出の最適化だけでは難しい側面は多々あると思います。必然的に、国の下にぶら下がっているあらゆる予算の分捕りあいの中で、少子化対策の優先順位は高いはずだ、ときちんと立証し、政策目標を立て、その実現に対する具体的な政策を列挙しながら成果管理をしていく必要があります。

 具体的には書いたとおりですが、少子化対策タスクフォースの議論にもありますし、データでも内容がはっきりしていますけれども、少子化対策で有効な対策を(移民を除いて)上から順番に並べると「結婚の促進」「出産・子育て世帯への税控除or給付増」「保育園など育児インフラ増」が政策的には重要だというのは鉄板です。あとは、社会規範として婚外子の容認を進めるであるとかですが、実際のところ、フランスの助成状況などを見ているとパッと見、馬鹿でかいフランス政府の超大規模な社会保障費の中で容認されてて、ここが財政規律の問題でガタッと崩れると一気に婚外子の制度を支える予算がなくなっちゃうんですが大丈夫なんでしょうかと、大丈夫ではない日本の財政を棚に挙げて気になってしまうわけです。

 感情的に、必要なのだからやるべきだ、予算を回すべきだと言うのは簡単です。

 簡単な議論は往々にして人々の心に訴えかけて話題になるわけなんですけれども。
 例えばこれ。

公立小学校の先生を減らしちゃダメです
http://bylines.news.yahoo.co.jp/watanabeteruhito/20141024-00040238/

 財務省が「機械的に」先生の数を減らせと言うことに対して、情緒的に反対をしている記事でして、感情としては私もそうだろうなと思います。もしも私が子供を公教育に入れて、40人のクラスに入れられたらと思うと微妙な雰囲気はあります。

 その元ネタはこちらです。どう見ても文科省の意向を受けた記事のようにも思うわけですが、それは措くとしても、財務省が数字だけで削ったように読めます。

「先生1.8万人減らせる」 財務省が「機械的に」試算
http://www.asahi.com/articles/ASGBQ53X0GBQULFA01J.html

 一方、じゃあその「機械的」とされる世界で何が起きているのか、誰かちゃんと見た?

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 タブレットからだから雑なグラフですまんな。X軸左側は5年ごとになったままになっとるけど。元データはこちら。誰か親切な人がグラフを綺麗に作ってくれたら貼りかえることといたしますが。

文部科学統計要覧(平成21年版)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1282796.htm

 これを見ると、1980年、小学校の児童数は11,826,573人、対して、教師数は467,953人。
 一方、2008年は児童数7,121,781人、対して、教師数は419,309人。

 教師一人当たりに直してみると、1980年が25.27人。2008年が16.98人ですね。

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 確かに教師の負担が大きく、残業代が支払われない等の問題はあるわけなんですが、公教育の観点から言えば、教員一人当たりの児童数は児童の減少に伴って減っているのが分かります。

 これはブラック企業なんでしょうか? 扱う児童数が4割減少しているのに、教師は1割減です。これで昔に比べて残業が増えたのだ、といっても、資金を扱う側は納得できないのも当然です。何か、予算とは別の問題があるのですよ、恐らく。公教育に於ける人員や予算の問題ではなくて、運用や効率の問題なんじゃないの、ということが分かるでしょう。

 私は教育の専門家ではありませんが、昔に比べて圧倒的に日本人の基礎学力が低迷しているかというと、そうでもないんじゃないのと思います。ということは、本来であれば家庭が担うべき子供の教育に関わる部分が、学校に押し付けられた結果、実質的な教師の増員が続いてきたのに仕事が終わらないのだという話じゃありませんか。

 そうであるならば、義務教育に就学する子供一人当たりの金額は同じならば、少子化と共に予算は削減される。ただし、教員の数はそれほど減らないので、限りある予算の中で教員を雇うことになれば、必然的に残業代は出なくなるというだけの話です。民間ならば、仕事(子供の数)が減っているのに従事する社員(この場合は教員)が減らなければ、当然給金の水準は下がるのも当然でしょう。

 それでも義務教育は大事です。先生方も大変な苦労をされて、日々働いているのも感情としては分かります。であるならば、出ている予算の中での人員繰りもしなければなりませんし、無理な業務は「無理である」と言わないといけません。担当する児童数は減っているのに仕事が増えているのであれば、それは増えている仕事を精査するのが筋なんだろうと思いますが、それでも大事なので予算を増やし教師を維持するべきだと言うことならば、他の財源を減らさなければならないのでしょう。

 とりもなおさず、これって学校に家庭の躾や仕事を押し付けた結果が、教師の負担となり公教育の効率を引き下げている可能性をまず考えるべきなんでしょうが、どういうわけだか「財務省が悪い」って話になるのは、もう日本には大盤振る舞いする余力がないからです。

 そして、これがいま日本が直面している「衰退」とか「公共サービスの切り下げ」とか「貧乏を分かち合う」などの現象そのものだと思います。金が、ないんですよ。人も減っているし、担税力も衰えているんだけど、金を生まない市民サービスを維持したいという話になると無理が来るということです。

 もはや、子供の教育の質を上げようという議論になっても、どこかで「諦めろ」という話をせざるを得ない環境なのだ、といつになれば国民は気づくのかなあ、とぼんやりと思うんですよね。ある意味で、政策の大事さではなく、財源の確保や国庫に頼らずに効率を引き上げ、質を確保する議論をどこかで始めないと、みんな共倒れになってしまうと感じるんですが。



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