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激化する都市間競争の時代 東京はシンガポールに勝てるのか - Wedge編集部

今、東京23区には、約33万人の外国人が暮らしている(2014年1月)。都市間競争の時代の経済成長には、こうした外国人の活力も欠かせない。

 国家間競争以上に、都市間競争が激しさを増している。国家の経済的な競争力は、その国の中心都市の競争力に左右される時代になり、日本の経済成長には、東京の競争力強化が欠かせない。

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(THINKSTOCK)

 森記念財団都市戦略研究所が公表した「世界の都市総合力ランキング」(2013)では1位がロンドン、2位がニューヨーク、3位がパリ、そして4位が東京、5位がシンガポールだった。分野別では、東京は「経済」と「環境」で世界トップとなり、同研究所は、東京の強みとして、市場の規模、経済集積、人的集積、研究・開発分野全般、生活利便性、エコロジー、都市内交通サービスを挙げた。その一方で、東京の弱みとして、市場の魅力、法規制・リスク、集客資源、居住コスト、国際交通ネットワーク、交通利便性を挙げた。

 また、経済産業省の委託で民間調査会社が外資系企業に実施したアンケート調査(欧米アジアの外国企業の対日投資関心度調査、11年度)では、日本のビジネス環境のデメリットとして、事業活動コスト、英語での円滑なコミュニケーション、市場としての成長性─が上位を占める結果になった。

 バブル崩壊後の「失われた20年」以降、外資系企業の「日本離れ」は顕著で、1990年に125社あった外資系企業の上場社数は、2013年には、わずか11社まで減少してしまった。もはや、東京は外資系企業にとって、成長が期待できない市場と見られているのだろうか。

 最近は、アベノミクスやオリンピック・パラリンピックへの期待感もあり、今後の東京の市場動向を注視する外資系企業も出ている。たとえば、中長期滞在ビジネス客向けサービスアパートメントで世界最大手のシンガポール資本・アスコットは4月、東京・大手町に最高級ブランド「アスコット・ザ・レジデンス」を開業すると発表した。日本初上陸のブランドで、開業予定は17年。英語を話せるスタッフを常駐するなどして、外資系企業の幹部らをターゲットにするという。

 しかし、そうした外資の動きを本格化させるためには、この20年間に積み上げられた課題を解決し、世界の都市にはない、東京の魅力に一層の磨きをかけなければならない。

 ビジネス拠点をめぐるアジアの都市間競争で、東京のライバルになるのは、シンガポールだ。前述の調査会社のアンケートでは、ビジネス拠点ごとに魅力のあるアジアの国を選ぶ質問で、すべての拠点で最多を占めた中国を除き、日本とシンガポールが2位、3位を争っている結果が読み取れる。

 シンガポールは、東京よりも税制面で優遇されており、法人税率は、東京の35.64%に対し、半分の17%しかない。こうした税制が影響しているのか、富裕層(家計資産が100万ドル以上)の割合も大きく、シンガポールは8.2%で世界5位。一方の日本は2.6%で14位だ。

 東京をアジアのビジネス拠点として復活させようと、東京都は「アジアヘッドクォーター特区」の旗を掲げている。国家戦略特区では、東京を国際金融センターに成長させる「東京金融シティ構想」や、日本橋に創薬ビジネスの拠点を整備する構想を打ち出し、海外から外資や高度人材を呼び込む考えだ。

 だが、果たして、東京はシンガポールとの都市間競争を勝ち抜き、名実ともにアジアナンバー1の都市になれるのか。そして、アジアナンバー1になるためには、今、何が求められるのか。

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