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キャラとペルソナ、「本当の自分」、記憶の一貫性

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 でもって、もし「等身大の自分」なるものを想定するとしたら、まさにそうしたキャラやペルソナの連続性の総体を指したものなんだと私は思う。場面ごとに違った性質を帯びたキャラやペルソナのひとつひとつをニセモノの自分だと考えるのではなく、どのキャラやペルソナも自分自身の一部であり、そうした一部一部の連続性を記憶というかたちで束ね持っている主体こそが等身大の自分だと考えたほうが、事実に即している。強いられて演技しているキャラも、わざと被っているつもりのペルソナも、自分自身の記憶のもとに残り、おそらく後の自分にも影響を与え続けるという意味においては自分自身の一部だ*1。それらは「本来こうでありたい自分」ではないかもしれないが「等身大の自分」の構成素子の一部と考えなければならない。少なくとも「自分じゃない」などと言ってもはじまらない。

 例えば、人格と記憶の一部を切り離し、悪を為すペルソナを「偽者の自分」などと呼ぶ行為も、記憶の連続性・記憶の同一性を保持している限りにおいて間違っている。そうやって悪を為すペルソナを「偽者の自分」と呼びながら実行している行為そのものも含めて「等身大の自分」が構成されていると考えるべきだ。

 もし、こうした論法に例外があるとするなら、記憶の連続性や同一性を失って、キャラやペルソナが一個人のなかで解離を起こした状態がそれにあたる。だが一般に、症候としての解離は社会適応上の重大な障害となるため、一般社会適応を考える際には視野に入れる必要は無い。

 だから、facebookやtwitterやLINEが普及しようとも、個人の活動領域が複数化しようとも、そこで営まれるひとつひとつのキャラやペルソナに記憶の連続性や同一性が保持されている限りにおいて、「等身大の自分」を見失う心配などしなくても構わないし、また、特定のキャラやペルソナだけを「等身大の自分」として特別扱いしてはいけないのだろう、と思う。浮かない顔をしている自分もまた、自分自身なのだ。偽物扱いしてはいけない。

 ただし、ひとつひとつのキャラやペルソナがあまりにも異なった性質を帯びている場合――それこそジキルとハイドのような――には、統合した人格としての辻褄が合わせにくくなり、耐えられない疎外になりえるかもしれない。なので、キャラやペルソナのそれぞれに、いかにも自分ならやりそうな兆候を染み込ませておいたほうが、キャラ管理・ペルソナ管理はやりやすいんじゃないかとは思う。まあ、ごく一般的な人格においては、意図するまでもなく自分自身のテイストがキャラやペルソナに染み込んでくれるので、こういう心配をする必要は無いし、そうした、どのキャラやペルソナにも染み込んでやまない自分っぽさこそが、最大公約数的な意味において3.「本当の自分」と呼べる特徴かもしれない。いついかなる時も、自分の行いと記憶にまとわりつくもの。どんなキャラやペルソナを被っている時も一貫しているもの。隠しきれないもの。逃れることのできないもの。それこそが本当の自分と呼ぶに足る特徴ではないか。

 もし、未来の人間が記憶の連続性と同一性を失っていくとしたら、こうした定義づけは無意味になるかもしれない。だが、今のところ、人間は記憶の連続性と同一性を失ってはいないし、万が一にも失った者は重大な社会不適応を呈しているので、この考え方でだいたい合っているのではないかと思う。

*1:演技とて、降り積もれば身に染み付く

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