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日曜の夜に学校に行きたくなるか/武雄市の教育改革

市議会文教委員会の視察で佐賀県武雄市の教育改革について視察を行った。主なテーマは、官民一体型学校の運営について。民間学習塾「花まる学習会」と融合した公教育を来年4月から実施するが、その導入の経緯と目的についてだ。


■明治時代と同じ教育


 武雄市の対応は樋渡市長が自ら説明を行い、教育に命をかけるとまで言うほどで、明治以来続いていた学校教育を変えたいとの思いは十二分に伝わるものだった。
 樋渡市長が説明するには、明治時代から行われている公教育は黒板を背に教科書を使い教師が教え、児童・生徒が教えられる形。これは今でも変わっていない。このような一斉授業は、均一な青少年を早く作ることでき富国強兵をめざす国策にとっては好都合だった。高度成長時代でも、マスの人材育成にはあっていた。
 しかし、車もインターネットもなかった時代であり今は時代が違う。子どもが均一だったら効果があったのが均一授業だが、今の時代では旧来の授業ではなりたたなくなっている。実際の学校を見れば、分かる子どもと分からない子どもの層がM字型になっていて、塾へ行かないと成り立たない。そうなのであれば、子どもには負担だ。公教育を官が独占する時代でもない。そのことから塾との連携を模索したとしていた。


■メシが食える教育


 だが、進学塾との連携も当初は模索したが、東大に行くことが教育ではないだろうと考え、今の時代に生き抜く力を覚えるべきではないかとなり、花まる学習会との連携となったという。
 花まる学習会の指導方法は、人と比較しないことにある。授業が始まる30分前に子どもが集まり、子ども同士で教えあっている。異学年集団での授業もあり寺子屋と同じに思えている。さらに、今の時代は母親のフラストレーションもたまっている。母親への対応も考えているので組みたかったと説明されていた。
 そして、公の教育は何のためにあるのか。それは、メシが食える大人に育てることだ。そのための教育への転換が必要だとされていた。

 実際のスタートは来年の4月からとなるが、既存の小学校で実施。市内16の全小中学校で行うのではなく、地域が手をあげた2~3の学校で実施する。教育内容については、花まる学習会が独自の教育ノウハウを提供し、市教委や研究開発校の教職員と協働研究、開発に取り組む。実施後は、講師やアドバイザリーとして市の教育に参画する。将来的には、市内の全小中学校に共有できるようにするが、組織や情報共有の仕組みについて、平成26年度中に検討するとしていた。


■教育指導要領の範囲


 教育改革というと、特区を思い浮かべてしまうが、特区ではなく学習指導要領のなかで行うので文科省からは文句は言われない。逆に「先駆的な取り組みとして成果を期待したい」とコメントいただいているとされていた。

リンク先を見る 実際の授業内容について伺うと、すべてを任せるのではなく、図のように花まる学習会の指導方法をそのまま導入するのは、朝の時間と一部の授業で、あとは指導方法を生かした従来の授業を行うとなっている。授業はこれまでの教師が行うが、花まる学習会のスタッフからはアドバイスを受けるという。青空教室は、異学年のグループを作り校庭などで外遊び方式(クイズ形式)による学習方法で総合的な学習の時間を使うとしていた。

 また、花まる学習会が実践している保護者会やイベントなど、児童、保護者、地域住民が満足する民間のマネジメント手法を導入することや家庭学習が厳しい児童に対して、市内の他の学習塾とも協力、提携しながら、放課学習や土曜日学習などをサポートもしていくとしている。

 市長がいうには、従来の公教育では対応ができなくなった現代に対応するだけではなく、忙しすぎる教師の時間を子どもと向き合う時間を増やすためにもなるとしていた。このことは重要なポイントだろう。
 研修が多すぎで出かけていく時間がとられているから止めてしまえとも言っていると話していたが、以前に書いたように、現実の教師が忙しすぎる、それも報告書づくりなど本来授業や子どもと向き合う時間がないことへ対応ともなっていることには注目したい。


■日曜の夜に学校に行きたくなるか


 メシを食えることとは何かについては、今の若者の問題でもあるがコミュニケーション能力を養うことにある。子ども同士で学びあい、教えあい、高めあいことも行っているとされていた。
 これはスマイル学習というもので、平成26年度から市内の全小学校で3年生以上から導入している。タブレットを使い、動画などで予習を自宅で行い調べたうえで、授業では話し合って問題を解決するもの。教師は高いところから教えるのではなく、ファシリテーターとして子どもに接するのだという。
 このことで、コミュニケーション能力だけではなく、子どもの知識習得の効率を上げ、落ちこぼれを作らない学校づくりにつながるとされていた。
 市長は、日曜日の夜に学校に行きたくなるか、行きたくないかでこの事業の成否が分かるとしていたが、この感覚はそのとおりだと思う。学校に魅力があれば、学校が好きになる。日曜の夜に学校に行くのが楽しみになる 世界一学校に行きたい教育としていた、教育だけではなく、その先も考えていることは参考になる。子どもがサザエさんを見ながら憂鬱になるか、わくわくするかが問われているのが教育でもあるのだ。このことはたんに教育だけではなく、市に愛着がわき、将来も住み続けようとなることも視野に入れていることになり、市の魅力、ブランド力を高めることにもつながるのだろうとも思えた。

 反転授業や教えあうことが武雄市だけの専売特許ではない。ICT機器も含めいくつかの先例を組み合わせてオリジナルにしているところが特徴なのだろう。タブレットを入れることは目的ではない。必要な時に効率的に使える道具であり、協働的な問題解決能力を育成するにも適している道具との考えは参考になる。

 官民一体型の教育はまだスタートしていないので評価はできないが、今後も注目を続けなくてはならない。民間と連携しなくても公教育だけでより魅力的になれば、それに越したことはない。というより本来はしなくてはならない。それができないのであれば、次の一手を考えるのが政治の仕事でもあるからだ。武蔵野市の教育の魅力はどこにあり課題は何かを再検証する必要もありそうだ。総じて言えるのは、現状で良いと思ってはならないこと。どこに可能性があるのか幅広い視野を持つことも参考になった。

画像は、武雄市記者会見資料より

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