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サイバー防御基本法案

技術者の質量ともに養成を急げ

サイバー攻撃に対する国の責務などを定めた「サイバーセキュリティ基本法案」が23日、参院内閣委員会で可決され、臨時国会で成立する見通しとなった。

行政や企業のコンピューターネットワークに不正に侵入し、情報の詐取や改ざんを行うサイバー攻撃は急増している。政府機関への不正常なアクセスで「脅威」とされたものだけでも、2013年度は約508万件に上り、前年度(約108万件)の5倍近くに達する。事態は深刻だ。

基本法案は自民、公明の与党が骨格をつくり、先の通常国会で与野党6党が衆院に提出して委員長提案とされたが、参院で継続審議にされたままだった。サイバー攻撃対策の初の法的根拠となる法案であり、意義は大きい。

法案は、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」を設置し、サイバー攻撃の情報提供を各省庁に義務付けることが柱だ。公明党の主張により、国民の自発的な対策を促した上で国が必要な相談体制を整備することや、中小企業や自治体のための支援も明記した。政府は成立後、具体的な施策に急ぎ着手してほしい。

対策を進める上での大きな課題が、サイバー攻撃に対処できる技術者が質量ともに不足している問題だ。

独立行政法人・情報処理推進機構が企業アンケートを基に推計したところ、国内の技術者約26.5万人のうち、約16万人が技能不足だった。さらに、その人たちの技能を向上させたとしても、新たに8万人の技術者が必要である。

官民を挙げた人材育成の環境整備が欠かせない。

国家試験や資格制度の見直しも、その一つだ。IT(情報通信)人材としての知識・技能が一定水準以上であると認定する情報処理技術者試験があるが、IT分野は技術進歩が著しく、数年前の知識や技術では対処できないケースも多い。技術者が常に最新の技能を身に付けられるよう、研修や資格制度の見直しを進めなければならない。

教育機関との連携も重要になる。社会人向けのサイバー攻撃対策演習の講座を開設したり、人材養成のため「情報セキュリティ学科」の新設方針を発表した大学もある。こうした取り組みを広げたい。

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