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テレワーク本格展開 「働き方の変革」波及狙う - 森本登志男

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 佐賀県庁では10月1日から、全職員約4千人向けに仮想デスクトップ環境を構築し、モバイル端末の利用によるテレワークの本格展開をスタートした。このコラムでも既報の通り、テレワークの本格展開に先立ち、昨年8月から100台のタブレット端末を35部門に配備し、仮想デスクトップ環境と合わせ、現場の業務がどのように改善するか実証実験を実施してきた。

 「現場での解決能力の向上により、庁舎に持ち帰って解決策を検討する頻度が49%削減」「出張中の隙間時間を利用して業務報告を作成することで、報告書の作成時間が50%削減」「直行直帰の回数が倍増」などの成果が上がり、業務の効率化とそれが行政サービスの向上をもたらすことが分かった。この結果、実証実験を通して上がってきた改善点や新たな要望を加味して、本格展開となった。

 これにより、各職員はタブレット端末やスマートフォン、PCを状況に応じて使い分け、場所や時間の制約を受けない業務が大幅に増えた。今後、各担当業務に適したアプリケーションの追加や、既存の情報処理システムの更新時にテレワーク環境での利用に適した仕様に変更することで、時とともにさらなる発展が期待される。

 また、佐賀県は「結婚したい」「子どもが欲しい」という方を応援する「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」を昨年からスタートさせ、人口減少や高齢化がますます深刻になっていく地域社会への対策を進めている。そのためには子どもを産み、育てやすい環境づくりや介護をしながら仕事を続けられるようにすることが重要となる。

 このテレワークの取り組みは「まずは県庁から、仕事を続けながら子育てや介護ができる働き方を進めよう」との思いも強くある。そのため、技術面での環境整備にとどまらず、テレワークを推進する制度の検討や組織風土の変革についても、実証実験期間中に「管理職員全員を対象に、週1回以上はテレワークを実施することを努力目標とする」などの試みも行った。

 テレワークは、決して最良の働き方ではなく、選択肢の一つである。だが、選択肢が一つ増えることで、さまざまな立場の人の働き方に新しい大きな可能性が生まれる。

 まず県庁がテレワークを率先して実行することで、県内の民間企業や市町、各団体などへとワークスタイル変革を波及させることを目指していく。また、すでに県外の自治体から多くの視察を受け入れており、佐賀県で始めて3年間で1府7県に拡大した救急医療でのタブレット活用と同様に、全国的に広がる可能性も出てきている。

 もりもと・としお 県最高情報統括監(CIO)。岡山県出身。京都大学工学部卒。宇部興産、ジャストシステムを経て1995年にマイクロソフト入社。米国マイクロソフトにも2年在籍した。2008年から総務省地域情報化アドバイザー。11年4月から現職。50歳。

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