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政治家任せはもうやめよう!ーウェブサイトWhere does my money go?(税金はどこへ行った?)に期待すること。 - 浅野千晴

市町村の予算書などを住民有志が分析し、税金の使い道を可視化するウェブサイト「税金はどこへ行った?」の開設が全国で進んでいます。このサイトはイギリスで開発された無償ソフトウエアを利用して2012年6月に横浜市で始まったプロジェクトで、昨年9月には47だった対象自治体数が10月20日現在160となり、1年で3倍以上に急増しています。

■参加している自治体の規模は様々

現在、誰もが自由に利用できる地図や統計などの公共のデータ「オープンデータ」を活用してWeb上に公開する取り組みが広がっています。公共データを開放すれば、企業や個人がそれを使って、素晴らしい公共サービスが実現するだろうというデータ活用の重要性をもとに、この活動が活発になって来ました。

このサイトの使い方は非常に簡単です。「単身世帯」と「扶養有り」の選択をし、給与年収をスライドバーで指定すると、自動的に年間支払う市民税の金額がわかるようになっています。その下段には自分の納めた税金がどのような用途に1日あたり使われているかを見ることができます。自治体でも市レベルではなく、県レベルでもプロジェクトに参加している自治体では、県民税の使われ方も見ることができます。

もしこのサイトに興味を持ったら、まず自分の住んでいる自治体があるかどうかみつけてみたくなるでしょう。160ある自治体も規模はさまざまで、政令指定都市といった大きな市から小さな町まで、このプロジェクトに賛同し、実施するといった意識の高さが伺えます。

また、ほかの自治体を比較して自分の自治体の特色を見つけるのも面白いです。どの自治体も社会福祉のために支出される民生費が多いのですが、公債費といった市が国などから借り入れたお金の返済に使われる費用が多い自治体や、地方の自治体は農業関連費などの使途が多くみられます。また東日本大震災で甚大な被害のあった宮城県牡鹿郡女川町や石巻市は、震災関連の使途が第一位を占めており、震災復興がまだまだ終わっていないことを読み取ることができます。

■納税意識の低い給与所得者

このサイトは給与所得者にのみの対応という点では、少々残念な気もしますが、労働人口の75%を占める給与所得者が一番の所得税(税金)の担い手であると同時に一番「自分の支払った税金に興味が薄い人」であるように思います。

税金を払ったり税率が上がったりするニュースには誰もが敏感に反応しますが、実際のことろ、税金は会社に勝手に徴収されてしまうし、明細書をもらっても、差引支給額(手取り額)しか見ない人も多いのではないでしょうか。もちろん、会社に行ってしまうと業務に忙しく、徴収された後の税金の使われ方など無関心になってしまいがちです。一体どれくらいの人が自分自身の年間の納税額を把握しているのでしょうか?

■「意識をもつ」から「参加する」へ

投票率の低下などから政治への不信感や無関心が問題視されている現在、「自分たちの社会をもっと知ろう」という取り組みが市民レベルで、しかもボランティアといった形で、次々に出てきているのはとても良いことだと思います。もっと地方自治や税金の使途に関心をもって、自らの意見を言うことが必要なのです。

このところ政治家の税金の無駄遣いの報道は盛んにされ、またかと思った人も多いはずです。私は国会議員同士が、審議もしないで足の引っ張り合いをしている事態こそが、何よりの無駄だと感じています。しかしながら、政治を他人事のように捉える国民の無関心さが、汚職政治家の生命を、ある意味支えてしまっているのではないかとも思うのです。選挙後も政治家を厳しい目で見守っていくという姿勢があれば、政治家も、もっと身を引き締めて、有権者とともによりよい社会をめざすことにもつながるのではないでしょうか?

現在全国にある1800の市町村があるうち、「税金はどこへ行った?」を実施しているのは、まだ1%にも達していません。一人一人が政治に「意識をもつこと」そして「参加すること」。これによって税金の使われ方が、本当に妥当なのかを自分の目で確認することができれば、税金を徴収することへの理解がより深まることになるのです。さらにサイトを発展させて、「自分たちの税金の使途は自分たちで決める」といったことが、少しでもできるようになれば、政治に向き合って参加するといった面白さが出てくることでしょう。

■未来政府はすぐそこまで来ています

元々このプロジェクトはイギリスではじまったものですが、現在、イギリスでは既にこのプロジェクトは進化しています。You Chooseというサイトでは、自分で財政削減案を、項目ごとにスライドバーを使って予算を増加したり減少したりでき、その案を提出することもできるのです。

このようなサイトを使えば、政治家にならなくても市民一人一人が、ただ「見る」だけでなく、考え、参加することができます。選挙で候補者を選ぶより、より具体的に自分の案を提出できると、もっと政治や財政を身近に感じられることになるでしょう。日本でももうすぐ実現するのかもしれません。

【参考記事】
■消費税 軽減税率の問題点
http://sharescafe.net/40635462-20140902.html
■小渕優子大臣の辞任が、日本経済と女性の進出に関係が無さ過ぎて頭が痛い 中嶋よしふみ
http://sharescafe.net/41459031-20141021.html
■女性活用-「女性だから」と「上げ底」は違う 岡田ひろみ
http://sharescafe.net/33606539-20131003.html
■『安易な数合わせ』といった暴言。骨抜きになった女性活躍法案 岡崎よしひろ
http://sharescafe.net/41254606-20141008.html
■配偶者控除にメス!?制度見直しで女性就労見直しへ 経営ハッカー 
http://sharescafe.net/41486102-20141022.html

浅野千晴 税理士

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