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消費税再引き上げはもう“詰み”だ

政府は10月の月例経済報告で、基調判断を「このところ弱さがみられる」との表現に引き下げました。全国スーパーの売上高も悪化するなど、景気の弱さを示す指標が相次いでいます。閣僚のダブル辞任で政治環境も悪化しており、消費税率の再引き上げの結論は見えつつあります。

 政府が21日に発表した10月の月例報告では、基調判断を9月の「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」から「このところ弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」に修正しました。大した変化に見えないかもしれませんが、役人用語的には「一部」を削除し、「も」を「が」に変えたというのは大きな違いです。

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※毎日新聞サイトより引用

 引き下げの最大の要因は消費の足踏み状態に加え、自動車などの生産が落ち込んでいること。今年4月の消費増税による反動減が大きく影響しています。基調判断の二か月連続の引き下げは約2年ぶりです。

 日本チェーンストア協会が同日発表した9月の全国スーパー売上高も低調でした。6か月連続で前年割れとなり、マイナス幅は8月の0.1%減から、1.0%減に拡大しました。関東を中心とする都市部と地方との格差も広がっており、特に地方では厳しい状況となっています。

 経済指標が低迷する中、注目されるのは年末に迫った消費税率再引き上げの判断です。民主党政権時に民主、自民、公明3党が成立させた消費増税法案は今年4月の8%への引き上げと、来年10月の10%への引き上げを規定しています。法律では引き上げを実施するかどうかは「経済状況等を総合的に勘案」して、時の内閣が決めることとしており、その時期が年末なのです。

 安倍政権7~9月期の国内総生産(GDP)を材料に判断するとしていますが、仮に数値が良かったからといって再引き上げに踏み切るべきではないでしょう。個々の経済指標はあらゆる事象の影響を受けて上下します。本来は各種指標を総合的に見て判断すべきであり、昨日の発表でも明らかになったように、多くの指標が悪化しているというのが現実です。

 仮に無理やり増税すれば、景気のさらなる腰折れを招きます。税率を上げても、景気が悪化すれば結果的に税収が減る可能性もあります。目的は財政再建であり、税率を上げることではありません。

 女性閣僚のダブル辞任も影響するでしょう。小渕優子経済産業相の政治資金問題は、政治家の政治とカネに対する認識の甘さや遵法意識の低さを改めて露呈させました。しかも与党は「個人的な問題」として処理しようとしています。使われ方に疑念を持たれている文書通信交通滞在費の使途公開を拒否し、議員定数の削減にも真剣に向き合っていません。

 そもそも日本の財政難は過去の失政が積もり積もったもの。それにもかかわらず、政治家が自分の襟を正さず、身を切ろうともしないのに、そのツケを国民に押し付けようとする行為など理解が得られるはずもありません。

こうした状況を「総合的に勘案」すれば、来年10月の10%引き上げは先送りするか、凍結するというのが結論のはず。「景気対策」という名の脱法ドラッグを与え、国民の意識を鈍らせて増税を強行するというのは最悪の選択肢です。

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