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眠れる労働力を呼び起こせ−女性部下の育成に悩む男性管理職への提案 ‐ 高岡 和佳子

ウルフルズの楽曲「バカサバイバー」の歌詞に『誰のせいで そんなショボクレとんねん(中略)ほれみーあのオッサンの顔!おまえもあんなん なってまうよ』という一節がある。オバサンでもお兄さんでもなく、オッサンという表現を選んだ理由は、「しょぼくれる」という言葉には、中高年男性がもっとも似つかわしいということか。男女共同参画白書平成26年度版によると、「現在幸せである」と回答した人の割合は女性が34.8%に対し男性は28.1%である。男性でも学生に限ると43.7%に上昇する(いずれも平成22年調査、以下同様)。女性より男性、とりわけ中高年男性が疲弊しているという意識には、こういった背景があるだろう。

それと好対照をなすのは女性をめぐる意識の変化である。ご存知の通り成長戦略の中で女性の社会進出が重要課題の一つに挙げられている。つい先日、女性の活躍を後押しする「すべての女性が輝く政策パッケージ」(以下パッケージ)も決定された。パッケージは妊娠・出産・子育て、健康や安全など女性の「暮らしの質」にも言及しており、職業や就業意欲の有無を問わずすべての女性が対象となっている。

しかし、よく見ると、パッケージの考え方の段で示される具体例は、女性の職業生活における活躍を推進するための法案、再就職支援を含む「女性のチャレンジ応援プラン」、「働く女性の処遇改善プラン」、女性の参画が少ない分野における就業支援などである。いずれの例も有業女性か就業意欲のある女性が対象となっているのは、女性の社会進出が重要課題に挙げられているからだろう。しかし、もし女性の社会進出が重要課題ならば、現在職に就いておらず今後の就労意欲もない女性に対する就業意欲喚起策も前面に出すべきだろう。女性の幸福度を就業状態別に見ると、主婦43.6%、退職者43.8%に対し、正規雇用者、非正規雇用者、失業者はそれぞれ25.8%、26.8%、15.7%と低い。パッケージにより女性の雇用環境が改善すれば、幸福度の就業状態別格差は多少縮小するだろうが、自発的に就業意欲が湧くほどの効果を期待してよいものかは疑問だ。

こうした中、企業における女性管理職の登用比率に対する数値目標を設定し公表することが義務付けられるようになることから、キャリアアップに二の足を踏む女性部下への対応に苦慮する男性上司が多いと聞く。そこで、一つ提案がある。女性部下にキャリアアップを促す前に、自分の配偶者(以下、妻)にキャリアアップを促してはどうだろうか。無職ならパートタイムで働くよう、パートタイム労働者ならフルタイムで働くよう、フルタイム労働者ならより責任のある役職を目指すように促すといった具合だ。妻がキャリアアップした結果、男性上司の家事や育児、介護を担う割合が増えれば、女性部下の気持ちに対する理解が進むといったメリットがある。また、女性部下の夫がキャリアアップを促してくれるのだから、巡りめぐって自分の負荷が減るのだ。そして何よりも、直接的に眠れる労働力を呼び起こす効果がある。

パッケージには、男性の家事・子育てへの参画促進、男性の意識と職場風土の改革も含まれる。逆差別だといった批判もある女性管理職の登用比率を数値目標にするのなら、配偶者を有する男性職員の配偶者有業比率を数値目標にしてもいいのではないか。

中高年男性が疲弊している要因の一つに、家庭の経済的責任を一身に背負っている部分もあるだろう。家事や育児、介護といった役割を担うことになるが、背負う家庭の経済的責任が減れば、疲弊している中高年男性の輝きも、多少は増すのではないだろうか。

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