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「カジノ解禁」と「ギャンブル依存症」をどう考えるべきか?7党の国会議員が公開ディスカッション

カジノ解禁に向けた動きが加速している。カジノも含めた統合型リゾート(IR)の合法化をめざす超党派の国際観光産業振興議員連盟が提出した「IR整備推進法案」は、今国会で成立する見通しが強まっている。一方で、カジノといえば、懸念されるのが「ギャンブル依存」の問題だ。そんななか、「カジノ導入とギャンブル依存症対策」について考えるシンポジウムが10月16日、東京都内で開かれ、与野党の国会議員がカジノ導入の是非と依存症対策について話し合った。(取材・高橋洸佑)



登壇したのは、岩屋毅衆議院議員(自民党)、小川敏夫参議院議員(民主党)、高木美智代衆議院議員(公明党)、小沢鋭仁衆議院議員(維新の党)、大門実紀史参議院議員(共産党)、薬師寺道代参議院議員(みんなの党)、鈴木克昌衆議院議員(生活の党)の7名の国会議員。シンポジウムでは、カジノの是非をめぐって、推進派の議員と反対派の議員がそれぞれの主張を展開したが、そのような議論はギャンブル依存の実態とかけ離れているという指摘が出る場面もあった。

「依存症の人がいるからカジノがダメというのは短絡的」

IR議連の幹事長を務める自民党の岩屋毅議員は、カジノ導入について次のように述べた。

岩屋毅議員写真拡大
「我々の構想の目的は、観光振興、それから日本の経済成長だ。目的はカジノではなく、あくまでIR(統合リゾート)。カジノという施設を含む統合型の観光施設を認めていくことで、観光振興の起爆剤にしたい」

ギャンブル依存症の対策については「今までなされてこなかったのは政治の不作為だ」と述べ、カジノの収益の一部を対策に充てたいとの考えを示した。

小沢鋭仁議員写真拡大
前身の日本維新の会時代から「カジノ導入」を公約に掲げてきた維新の党の小沢鋭仁議員も賛成の意向だ。ギャンブル依存症については「アルコールも依存症は非常に深刻だが、だからと言って日本からお酒を無くすという話にはならない」「一定の率の依存症の人は必ず出る。その対策をどうするかという話が必要で、一定の率の人がいるからすべてのIR法案がダメだという話はあまりにも短絡的だ」との認識を示した。このほか、生活の党の鈴木克昌議員も導入に賛成の意を示した。

小川敏夫議員写真拡大
一方で、民主党の小川敏夫議員は「個人としての意見」と前置きしつつ、次のようにカジノ導入に否定的な考えを示した。

「ギャンブル依存症という観点から、どういうものが依存症になりやすいのか、二つあると思う。一つは行きやすさ。もう一つは偶然性の強さだ。カジノができれば恐らく24時間やっているだろうから、行きたくなればいつでも行けてしまう。また、競輪・競馬と違ってスポーツ性がなく、全くの偶然性でしかない。カジノは依存症を生みやすいのではないか」

大門実紀史議員写真拡大
共産党の大門実紀史議員も「カジノをやれば依存症が増える。それで対策を取るという話だが、だったら最初から作らなければいい」と話し、反対した。

「ギャンブル依存症は脳の機能障害の問題」

ただ、カジノが認められていない現在でも、日本のギャンブル依存症者は、すでに536万人にのぼるとされている(厚労省研究班の推計)。これは、競輪・競馬などの公営ギャンブルや、事実上のギャンブルと言われるパチンコの依存者だ。

しかし、ギャンブル依存症対策は、アルコールや薬物に比べて遅れを取っているのが実情だ。この点について、公明党の高木美智代議員は「基礎となる調査が日本では行われていない。したがってどこにどう政策を、光を当てていけばいいのかがおぼろげだ」と述べ、対策の基礎となる実態の把握を進めるべきだと指摘した。

薬師寺道代議員写真拡大
産業医でもある、みんなの党の薬師寺道代議員は「ギャンブル依存症は個人の人格の問題ではなく、れっきとした脳の機能障害だ。だから、しっかりと診断・治療を受けないといけないが、その診断をしてくれるようなところが今はない。『依存症かもしれない』というくらいの判断しかできない先生が多い」と語り、ギャンブル依存症のための拠点病院を確立していく必要性を訴えた。

「カジノの議論抜きにギャンブル依存症対策を考えてほしい」

田中紀子氏写真拡大
一方で、今回のシンポジウムを主催した「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は、国会議員たちが「ギャンブル依存症対策とカジノ導入の是非」をセットにして議論していることに触れつつ、カジノ以外にもギャンブル依存症の問題があることを強調した。

「ギャンブル場が禁止になったら、今度は賭けられるものを探して賭けるというのが、ギャンブル依存症者だ。実際にいま増えている相談はFX。なので、ギャンブル場がなければ依存症にならないというのは、まだ依存症者の奥深さをご理解いただけていない」

このように田中代表は述べたうえで、「カジノの議論抜きに依存症対策を考えられないものなのか。パチンコについても、全廃することが現実的にあり得るのかとも思うので、それらとは別に対策だけは早急にできないか」と話し、ギャンブル依存症対策そのものの重要性を訴えた。この意見に対して、与党の一員である高木議員は次のように答えた。

「どうしてもカジノにからめると、依存症対策が進みにくくなる。依存症対策をやろうと言うと『あなたはカジノに賛成だからその対価としてやるんでしょ』という誤解が走ってしまうからだ。カジノの議論の中で依存症対策が埋もれていってしまわないように、予算を付けてしっかりと調査をすることが第一歩だ」

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