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iPhone6を酷評する人がいるけれど、なぜ売れるのか?

iPhone6効果で、アップルが絶好調です。7-9月期売り上げは前年同期比で13%増であったことニュースになっています。しかもこの結果は販売が遅れた中国での結果が含まれていません。10月から販売が始まった中国でも予約3日で2000万台突破するという人気ぶりのようで、10-12月期はそれも加わってきます。
アップル、7-9月期は13%増益―iPhone好調 - WSJ
iPhone6絶好調で中国では2000万台超え Apple噂まとめ(10/12~10/18) - 週アスPLUS

しかし、iPhone6に対して、専門家のなかには厳しい評価、また失望の声も少なくありません。夏野剛さんの辛口コメントがそれを象徴しているようです。
iPhone6、触って使って「超絶ガッカリ」 | 夏野剛のググっても絶対出ないハナシ | 東洋経済オンライン

アップルの美学が「端末からサービスまで連携された、一つの完成形を提供しようというもの」にもかかわらず、それがiPhone6には感じられないとか、「専用コンテンツがあるわけでもなく、こんなものなら、他のメーカーでもできるじゃないですか」と肩を落とすとか、デザインについては「他社をベンチマークにした感じがありあり。アップルは他社のことなんて気にしない会社だったのではないのか」などの酷評に続いて、きめつけは「iPhone6 Plusの画面を見ると、まるで“老眼フォン”。(これまでのiPhoneで)見づらい人のために字が大きくなっているだけ」だとか。

率直に言って、ああ、ロマンティストだ、アップルにずいぶん夢を託していたのだなあとしか言いようがないのですが、ではなぜ高い人気となっているかの説明にはなっていません。

なぜ売れているのか、それは画面サイズが変わったからという単純な理由でしょう。それがわかりやすいiPhoneの進化だったのです。

もはやスマートフォンは製品ライフサイクルとして成熟期にさしかかっています。つまり夏野さんが「チップが速くなったとか、画面が大きくなったとかは、Androidでもできるんですから」とご指摘のように、技術で差異をつくることが困難になってきた、あるいはいくら機能の足し算、性能の足し算をしても、それがユーザーにとっては専門家でもない限り、よくわからなくなってきています。

そんなユーザーにとっては、夏野さんが老眼フォンと酷評している画面サイズを広げたことが最大の魅力となったのです。しかもあれだけ画面サイズにこだわってきたiPhoneがアンドロイド勢を追随してまで変えたことで、ユーザーはサプライズを感じたのです。だからこのマジックが通じるのは一回こっきりでしょう。

製品やサービスの価値は、ユーザーによって決まってくる時代だというのが、マーケティングの大家であるコトラー教授の「マーケティング3.0」ですが、まさに供給側、またその分野の専門家の多くが考えている価値とユーザーの感じる価値が大きく分かれてしまったのがiPhone6なのではないでしょうか。

かなり多くの製品開発に携わらせていただいたのですが、技術者や専門家の評価とユーザー評価がまったく異なるというのはしばしば起こることです。なにを見て評価しているのか、価値を決める尺度が違うので決して不思議なことではありません。

iPhone6の好調は、スマートフォンが製品としてはいよいよ成熟し始めたときに、これまでのアップルのブランド価値や顧客囲い込みの仕組みが効いた、その引き金がサイズ変更だったということでしょう。

しかしこれまでトップの座を上り詰めてきたサムスンは、ブランド価値も弱く、しかも顧客を囲い込む仕組みを持っておらず、中国製品からの脅威にもさらされ、非常に厳しい状況に追い込まれていくのです。そして新しい機能にチャレンジしても、ユーザーにはピンとこないために成功していません。その明暗がわかれてきています。

スマートフォンやモバイルの世界は、新たな時代を迎えようとしてきています。それは、スマートフォンの製品を進化させ普及を促する時代から、スマートフォンの利用価値を広げる時代に移り変わっていくのだろうということです。

利用価値を広げることは、製品を進化させることよりも、アップルにとっては、あるいは他のスマートフォンのメーカーにとっても、抜きん出るためのハードルが高くなってきます。

なぜなら、製品からサービスに価値の比重が移ってきます。今回のApplePayのように決済サービスなどの外部を巻き込んだ「仕組みづくり」の競争になってくるからです。それはアップルにしろ、スマートフォンの他のメーカーにとっても、単独でできるというものではありません。

製品の改良だけでなく、事業と事業を組合せる能力も求められてきます。アップルが電子書籍販売で失敗し、アマゾンと水を開けられてしまったのも、電子書籍しか扱えないのでは、売上に差が生じて、買い場としての魅力づくりができなかったからです、その違いは、物流機能を持つか持たないかに根本原因があり、「仕組みづくり」の競争で敗北したのです。

もうひとつは、クラウドを利用したさまざまなサービスが広がって、利用価値を高める時代に入ってくることです。その主役はアップルとは限りません。より専門特化したクラウドサービスは、巨大企業が生みだすには向いていません。

製品は成熟しても、まだまだ周辺市場が伸びてくる、またそれによって、新たなスマートデバイスの切り口も広がってくる、そんなモバイル時代にはいって行くのでしょう。

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