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リニア着工へ 「名古屋がピンチ」な3つの理由

 東京―名古屋間を40分で結ぶリニア中央新幹線の工事が年明けにも始まります。愛知・名古屋の政財界には歓迎ムードが漂っていますが、むしろ東京圏に人やモノが吸い取られる懸念もある。リニアを含む3つの理由で、愛知・名古屋は危機的な状況に陥る可能性があります。

 太田昭宏国土交通相が17日にリニア中央新幹線の工事計画を認可。事業主体のJR東海は月内にも住民向けの説明会をはじめ、年明けにも本格的な建設工事を始める見通しとなりました。まずは総額5兆5235億円を投じ、2027年に品川―名古屋区間の開業を目指しています。

 愛知県の大村秀章知事は認可を受けて「その効果を県内全域に波及させることが、本件の将来の発展につながる」との談話を発表しましたが、やや楽観的すぎるように感じます。

 東京と名古屋が40分で結ばれれば、双方の住民の行き来は活発化するでしょうし、東京への観光客が気軽に名古屋まで足をのばしてくれるようになるかもしれません。名古屋に住みながら東京で働くという選択肢も広がります。

 しかし、東京に本社を置く企業が名古屋に支社などの拠点を置く意義は薄れます。せっかく仕事や観光で名古屋に来ても、日帰りで帰ってしまうようになるかもしれません。一極集中が進み、活気あふれる首都圏経済圏に吸収され、「東京都名古屋区になる」という見方もあります。

 河村たかし名古屋市長は「名古屋にとっては大きなピンチでも、大きなチャンスでもある」と話していますが、こちらのコメントの方がしっくりときます。チャンスよりも、ピンチが先だと思います。

 名古屋がピンチである理由はリニアだけではありません。安倍政権がアベノミクスの成長戦略の要と位置付ける「国家戦略特区」。政府は今年5月、特区の指定区域として①東京都と神奈川県並びに千葉県成田市②大阪府、兵庫県及び京都府③新潟市④兵庫県養父市⑤福岡市⑥沖縄県――の6か所を選定しました。愛知・名古屋は政治的な理由で「飛ばされた」のです。

 過去にも様々な特区構想がありましたが、それは地域ごとに特定の規制を緩和する「日本語教育特区」や「どぶろく特区」でしたが、今回の国家戦略特区は違います。指定区域内において様々な規制をまとめて緩和するとともに、数々の行政的な優遇措置を与える「何でも特区」なのです。

 この選定に漏れたということは、東京圏や大阪圏に比べて著しく競争条件が劣化してしまうことになります。このままでは東京圏や大阪圏と、名古屋圏との経済格差はますます広がりかねません。愛知・名古屋政界の危機意識はあまりにも低いと思います。

 名古屋がピンチである三つ目の理由はIRです。IRとは国際会議場やホテル、商業施設、レストラン、温浴施設などとともにカジノ施設を建設する統合型リゾートのこと。超党派の議員が昨年の臨時国会にこのIRの整備を促進する法案を提出したほか、政府内でも本格的な検討が始まっています。

 報道によると政府は横浜、大阪、沖縄の3か所にIRを整備する方向で検討しているといいますが、中部・東海エリアには有力な構想が一つもありません。カジノ解禁の是非については賛否両論があるでしょうが、現実に解禁する方向で具体的な検討が進んでいる以上、無視するわけにいきません。愛知・名古屋エリアの観光振興のためには官民を挙げて構想を立ち上げるべきです。

 東京オリンピック・パラリンピックが終わり、リニアも国民に定着した2030年。愛知・名古屋が発展しているためには、やるべきことが山ほどあります。

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