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ゆるキャラはゆるくないのだけど 石井一久の本を読んで考えたこと

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石井一久『ゆるキャラのすすめ』を読む。石井ファンでも、野球ファンでもないのだけど、楽しく読むことができた。「ゆるキャラ化」というのは、実は簡単ではないのだけれども、職場を気持ちよく生き抜くためのコツだなと再認識した次第である。

なんせ、石井一久は、ゆるい。徹底して、ゆるい。とことんマイペースである。182勝しているし、海外で活躍していた時期もある。だが、ノーヒットノーランを達成しそうな試合を途中でおりようとしたり、セグウェイに乗って登場したりと、とことんゆるい。その「ゆるキャラのすすめ」について1冊かけて説明するのがこの本である。

痛快な本というものがある。そういう本には「よくぞ言ってくれた」とか「やられた」とか、そういう印象を抱くものである。「ゆるキャラのすすめ」というテーマについてまったくブレず、徹頭徹尾、これで書ききっていることが痛快だった。ただ、それは編集方針だけでなく、石井一久という人がそういう人なのだろう。

ゆるキャラ化することにより、「しょうがないな、◯◯さんは」と諦めてもらえたり、期待値を適切にすることが可能である。過度な期待をされずに、ひょうひょうと組織や世間を生き抜くことだってできる。

いわゆるセルフブランディングなのだが、これは別に自分を良く見せるというわけではなく、適度な自分、あるいはやや自虐的な自分にブランディングするという方向性だってあるわけだ。

例のノマド論争や、意識高い系論争、ソーシャルメディアの活用論争などにおいて、セルフブランディングを否定派のように思われてしまった私だけど、要するに虚飾、誇張、捏造のようなセルフブランディングはバレるし、痛いと感じるわけで、そういうのは否定派なのだが、自分をブランド化するということ自体はまったく否定しない。

その際に、自分のブレない像をつくること、それにより信頼感、安心感を醸成することについてはまったく肯定派である。

やや自分語りではあるが、自分も「ゆるキャラ」なのかなと思ってしまった。私はセルフブランディングというものについて、ほぼ考えず、自然体で生きている方ではあるのだけれども、ゆるキャラ化しているように思う。まぁ、文章と会った時の印象はかなり違うようで、このブレをどうしようかは時に悩みつつだけど。・・・編集者さん、記者さんによると、武闘派、過激派の怖い人がやってくると思ってビクビクしていたら、ゆるくてびっくりするんだって。

ゆるキャラ化すると愛されやすい、理解されやすい、あるいは過剰な期待を抱かれずにすむなど、効用はいっぱいある。

より現実的な職場の話をすると、ゆるキャラ化していると、「お先に失礼」することができたり、有給を取りやすくなったり、過剰に仕事を任されなくなる、かも。こういう話をすると「それで、職場で生き残れるのか!?」という話になりそうだけれど、別に誰もが偉くならなくても良いわけで。信頼され、期待される仕事をする。これこそ大事だと思った次第だ。

とはいえ、ゆるキャラは、ゆるいのだろうか。

ここで言う、「ゆるキャラ」とは地方各地に広がっているいわゆる「ゆるキャラ」ではなく、文字通りゆるいキャラのことなのだが、前者も後者もゆるくはない。前者は、キャラクターを確立、浸透させるのは容易ではないし、そのためには日々の地道な努力も、具体的な広告宣伝費の投入も必要である。後者の、ここで論じている「ゆるキャラ」も、単にダメな人、ゆるい人というわけではない。やはり認められるための仕事での実力、理解される努力は必要なわけだ。

ゆるキャラはゆるくないのである。

なんせ、石井一久である。実力はあったわけで。

とはいえ、この本の提案は傾聴に値する。凄いキャラでなくても、ゆるキャラでもいいじゃないか。私はこの主張に、快哉を叫ぶのである。

リンク先を見るゆるキャラのすすめ。 [単行本]
石井 一久
幻冬舎
2014-10-08


石井一久ファンではない、私でも楽しめたので、職場でどう生きるかというヒントとして読みたい。

さて、皆さんの職場のゆるキャラは、どんな人だろうか。あなたは、職場でどんなゆるキャラになれるだろうか。

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