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- 2014年10月14日 22:27
町内会でうまくやるために大事なこと
『週刊ポスト2014年10月17日号』に掲載されていた「元『デキる会社員』 退職後に過去の肩書きをひけらかし不評」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。
1 記事の紹介
「近隣との人間関係をいかに良好にしていくかは充実した老後のカギ。だが、現役時代の肩書きやプライドが男同士の対立を引き起こしてしまうことはよくある」という記事です。例として挙がっているのが、「大手メーカーで広報部長を務めたA氏(68)」で、Aさんは「定年退職後に妻の勧めで地域の町内会に参加し」ました。
「最初は大人しく周囲に従っていた」ものの、毎年恒例の餅つき大会のポスターを見るなり、「これじゃあダメだよ。何が特徴なのかわからない。誰も来たいと思わないだろう」。「私は大手メーカーで広報部長をしていた。経験もノウハウもある。私がポスターを作り直します」と言い出しました。
結果、「ポスター作成を長年担当していたBさんの怒り」をかい、取っ組み合いの喧嘩になりそうになりました。
ところが、「結局、A氏に賛同する者は現われ」ず、「居場所を失ったA氏は、次回から町内会の集まりに顔を出さなくなってしまった」そうです。
2 排他性
日本人なら、この事案でAさんが悪いという話になるかと思いますが、おそらくいろいろな国の人に話を聞くと、必ずしもそうはならないかと思います。実際、Aさんの主張していることは正論であった可能性があります。広報部長を勤めてこられた以上、それなりのノウハウもあったことは確かかと思いますので、確かに話を聞けば得るものがあったのは間違いないと考えます。
もちろん、町内会と大手メーカーではやり方が全く異なる可能性もあり、そうしたことを踏まえない全く頓珍漢な意見を出す人もいないわけでないのですが、今回そこいらまで考えると話が進まないので、その可能性は割愛します。
3 人間関係
そこで、前提として、今回Aさんが提示した意見はかなり建設的で、傾聴すべき点であった意見として話を進めます。では、そうした建設的な意見を出したAさんが何故、今回誰の賛同をも得ることができなかったのかという話になるわけですが、これはAさんが町内会という場の秩序(人間関係)を乱したからという話かと思います。
つまり、町内会レベルであれば、人材が豊富というわけではないので、得意分野というか、ある程度できる人がその仕事を常に担当する傾向があり、結果、特定の人が特定の仕事を毎年繰り返し行ってきているというのが結構あるかと思います。
そうであれば、最初は嫌々であったかもしれませんが、長年続けてくれば、プライドも出てくるというわけで、それを新参者に全否定されたのでは、腹も立つという話です。
その人が怒るのはそういう理由だとして、問題は他の方々です。どうしてAさんに賛同しなかったのかという話になるわけですが、他の方は意見の良し悪しではなく、新参のAさんより、これまでつきあってきた、町内会に貢献してきたBさんを選択したということかと考えます。
4 同質性
結果、和を乱したとして、Aさんが排除されてしまったわけですが、本人にしてみれば正論を述べているのに何故という話でしょうか。確かに、Aさんには悪気はなかったかもしれませんし、親切心からできることを手伝おうとしただけかもしれません。ただ、それが町内会の人間関係を乱してしまった以上、Aさんがその場から排除されてしまうということは日本の場合良く起こり得ます。
特にAさんが大企業の元部長という肩書を振りかざしてそういうことを言ったとなると、町内会という、近所の人同士という、皆が同じ立場で行う会合にはふさわしくない行為として、益々排除の対象になったことは想像に難くありません。
5 最後に
私自身こうした同質性は全く否定するつもりはありません。こうしたものがあるからこそ、皆同じ仲間なのだから、皆で助け合っていこうという気持ちが生まれやすいなど良い面もあることは確かです。ただ、物事には長所があれば短所があるという話で、こういう長所がある反面、悪平等に陥りやすく、正論より他人との人間関係を尊重しなくてはならないことが多いのが実情かと思います。
そのくせ、そうした人間関係を重んじて、理に合わないことをしてしまい、万が一後で問題化すると、今度は正論で攻撃されるという困った短所もあるのが日本の現実かと考えます。



