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議会へのタブレット導入はコストダウンだけが効果ではない

リンク先を見る 議会にタブレットを導入する議会が少しずつ増えてきている。導入効果はペーパーレス化による経費削減に注目されているが、先進事例を聞くとその他の効果のほうが高いという。


■議員のワークスタイルを変える

 タブレットなどICT機器導入の効果については、10月10日に開催された勉強会、『【実践】タブレット議会 ~ICTで変わる議会改革~」(主催:ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟)で、すでにタブレット端末を全議員が使用している逗子市議会などの先例の具体例とともにレポートがあった。

 効果は紙で資料を配布することがなくなるので、紙の量を減らすことや配布の手間がなくなることでのコストダウン。資料の更新、差し替えが瞬時に行なえ、資料をクラウドに置くことで、いつでもどこからでも資料を閲覧し、調査できることがメリットになることは容易に想像できていた。

 だが、アプリによっては、行政や議員が説明をするさい(一般質問でも可能だろう)、説明者の話しの内容に合わせてタブレットの画面を説明者と同じものを表示させることができるので、理解度がより深まること。議員同士の連絡、議会事務局や行政からの連絡が簡単に効率的になることのほうがはるかに効果としては高い。議員のワークスタイルを変革できると君島雄一郎さん(元逗子市議)はレポートされていた。

リンク先を見る また、他に議会に導入を行なっているベンダーの方からも話しを伺ったが、民間でも行なわれているものなのでセキュリティ対策はしっかり行われていること。会議時間の縮小、職員の残業時間削減、資料の置き忘れや紛失リスクの低減につながる効果があるとのレポートもあった。


■情報という特権

 最新情報を共有できるということは、資料などをいつでも配布できることだ。導入していない議会では、議員に郵送したり議員に直接手渡したりするケースが多くあり、手間とスピードに課題が残されている。市政に大きな問題が起きた時には、これでは対応できない課題もある。
 また、聞いた、聞いていない。知らせていない、知らせる時間がなかったとなどが議員と行政の間でトラブルの原因になることがある。聞いていても、覚えている議員、覚えていない議員間での意思疎通が課題となる例もある。タブレットを導入し、データをクラウド化することでこのようなことも防げるのだそうだ。

 このことだけではなく、情報は議員全員で共有されることが、実は大きな議会改革にもなるのだという。

 それは、議員は行政情報をいち早く知る立場にいることで、市民に情報を伝えることが議員の仕事と思い、自分だけが知っている、いち早く知ることをひとつの特権と思うことが少なくない。情報はあくまでも情報。その情報を活かして何をするか、政策にするのか、課題解決するかが本来の議員の仕事ではないか。情報共有でこの議員の思い込いが変わるというのだ。
 確かに、このような意識を持つ議員が多ければ、本来の議会、議員の仕事は何かをICT導入で考え直さなければならなくなり、それが大きな改革につながることになりそうだ。


■あくまでも道具

 ICTは、道具であって目的ではない、との話もあった。まさにそのとおりだ。

 レポートを聞いていて思ったのは、タブレットを導入しなくても、実は現状の機器でもできることばかりということだ。しかし、現実にはなかなかできてないことを考えると、道具を変える、より簡単に操作できる機器を導入することで変わるきっかけになるのでは、との思いだった。
 タブレットは情報を見る、受け取るには適した機器であり、パソコンの操作が苦手な人でも対応できるという話を多く聞く。長文を書くことや動画編集など機器の性能が問われる作業を除けば、道具としてはかなり使えることは実感している。つまり、単なる機器ではなく、改革へつながる道具として考えるべきなのだ。

 ICTという道具で議会が変わるのなら、それは、結局は市民のためになる。情報を得る、得ないから、どうすれば課題解決になるのかを議論できる土俵へと議会や議員をステップアップすることになれば、それは、市民のためにどう良くすればいいかを議論しなくてはならないからだ。道具としてタブレットの導入は、議会改革として大きな効果を出す可能性が高いと思えた勉強会だった。

 武蔵野市議会での導入は、検討課題とはなっている段階だ。今後、さらに効果を検証し、何のために導入するのか。分かりやすい視点をさらに再考して、何のためにで考えていきたい。

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