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地方創生2法案が全然期待できない理由 ~ 国会提出前に揉めない法案は毒にも薬にもならない

報道各社で既報の通り、今日、地方創生2法案が国会で審議入りした。今臨時国会での目玉法案の一つとされている。そもそも、地方創生2法案とは、「まち・ひと・しごと創生法案」と「地域再生法の一部を改正する法律案」のことを指す。法律案の条文を全部読む時間のない人は、下の資料1・資料2を参照されたい。

 この2法案が国会に提出されるに当たっての政府内調整や与党プロセスを見ると、大きく揉めた形跡はない。そういう法案は、成立して施行されたとしても、毒にも薬にもならない。既得権益の移動によって新規利権が発生することが想定されていないからだ。

 もっとも、既得権益を破壊し、新規利権を創ることが、必ずしも善いとは限らない。当面守るべき既得権益も数多ある。むしろ、その方が多いとすら思える。しかし、この2法案は、あまりにも新規利権を創る具体策が無さ過ぎる。これでは、法律施行に向けてワクワク感は湧いてこない。

 敢えて言うならば、まち・ひと・しごと創生法案附則第2項(=施行後5年以内の見直し)と、地域再生法の一部を改正する法律案附則第2項(=施行後1年以内の見直し)は、実態のあるものとして必ず実施されるであろう。

 しかし、まち・ひと・しごと創生法案について施行後5年で見直しの検討をするとなれば、同法案を提出する理由である『我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していく』ことが、またもや先送りされることに他ならない。

 与党選挙区の全ての地域を再生させるかの如くの“ナショナルマキシマム”的な理念も措置も、もはや無理筋であることは誰しもわかっていることだろう。実際に道州制を実現させるかどうかは全く別として、道州制に移行した場合に想定される州都など各地域ごとに中核都市を指定し、そこへの人口集中を10〜20年計画で誘導するような施策が必要である。

 せめて、ポスト団塊世代への展望を示さないと、関心も興味も持たれない。日本は、少子高齢社会に入り始めているのだ。当面の人口減が確実に想定される中では、人口集中による施策の費用対効果向上をもっと重視していくべきだ。

 敢えて言うならば、8月29日付け毎日新聞ネット記事などで報じられているように、2015年度予算で地方自治体向けに新たな交付金を創設し、初年度2000億円、5年間で1兆円の規模との方針が伝わってきている。これは単純に地方交付税交付金の増額をすれば良いのだが、平成27年度要求額が16兆円であることを考えると、単純計算ベースでは各地方自治体に1.3%程度の増額効果しかないことになる。これでは、予算面でも期待しようがない。 


<資料1> 
画像を見る
(出所:内閣官房資料


<資料2>
リンク先を見る
(出所:内閣官房資料

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