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我田引水な経団連の政策評価

 経団連が先日、主要政党の政策に関する評価を発表しました。与党の政策は「高く評価できる」とし、具体的に原発再稼働や法人税率の引き下げなどを評価対象に挙げています。評価を踏まえて会員企業に与党への政治献金を呼びかけ、自分たちに有利な政策を後押しする狙いが透けてみえます。

 経団連が発表した「主要政党の政策評価」は、自民党が主な対象。「震災復興の加速」や「成長戦略の実行」などの分野ごとに、経団連の2014年度事業方針に照らし合わせて「実績」と「課題」を指摘。実績欄では特に評価する個別の政策を太字で記載しています。

※資料はこちら

http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/084.pdf

 太字で書かれたのは「法人実効税率を20%台まで引き下げる」や「TPP交渉の早期妥結」、「官民一体となってインフラ輸出」、「原発の再稼働を明言」など10項目。農業への「企業参入の促進」や「訪日外国人旅行者1000万人目標の達成」なども盛り込みました。

 公明党や野党については主な政策をピックアップしただけですが、評価する項目については太字で、懸念する項目については下線を引いて強調しました。太字は景気対策として公共工事を積み増す公明党の「防災・減災ニューディール」や各党の法人税減税など6項目。下線を引いたのは民主党の「原発稼働ゼロ」や維新の党の「(消費)増税には反対」など8項目です。

 経団連が評価したのは、いずれも経団連に加盟する大企業、特に輸出で稼ぐ製造業や電力関連企業などにとって明らかに有利な政策。逆に懸念を示したのは原発ゼロやTPP交渉反対など加盟企業にとって不利な政策です。ただ評価するだけなら自由ですが、これにカネが絡んでくると話は変わってきます。

 経団連は榊原定征会長の就任を機に、会員企業による政治献金への関与を再開する方針を打ち出しました。今回の政策評価はその基準となるもので、会員企業には「自分たちに有利な政策を推進する自民党に献金しなさい」、自民党には「カネを出すからしっかりとこの政策を実現しなさい」とのメッセージにほかなりません。

 さらに、野党には「そんな政策を掲げるなら応援できませんよ」という脅しの意味合いも含みます。まさしく「政策をカネで買う行為」であり、かつての金権政治への逆戻りを予感させる行為です。

 経団連はかつて会員企業に割り当てて、毎年100億円程度を自民党に提供していましたが、政治不信の高まりを受けて1993年に当時の平岩外四会長が廃止した経緯があります。その時に経団連がまとめた「企業献金に関する考え方」の第一項にはこうあります。

 「民主政治は、国民全ての参加によって成り立つものである。それにかかる必要最小限の費用は、民主主義維持のコストとして、広く国民が負担すべきである。従って、政治資金は、公的助成と個人献金で賄うことが最も望ましい」

 つまり、企業・団体献金は民主政治を行う上で相応しくないということをはっきりと述べています。榊原氏をはじめとする今の経団連幹部はこの文書をもう一度読み返し、政治とカネのあり方について今一度、考えてほしいと思います。

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