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「世界の全共闘」となったイスラム国は、いったい何がしたいのか?

9月23日、ついにアメリカが 「イスラム国」への空爆を始めた。 今回の軍事作戦には、サウジアラビア、 アラブ首長国連邦、ヨルダン、 バーレーン、カタールの5カ国も参加したという。 だが、空爆によって すぐに何かが解決するとは、とても思えない。

このイスラム国だが、いったい何か。 どういう組織なのか。何を目指しているのか。 いま、僕は非常に興味を持っている。

イスラム国によってネット上に流された、フランス人やアメリカ人の人質を 「処刑」する残虐な映像をご覧になった方も多いだろう。 こうやって欧米諸国を「脅す」という、 ネット時代の新しい形のテロ組織だ、といっていいだろう。

イスラム国は、イスラム教スンニ派の過激派テロ組織だ。 組織の人数は正確にはわからない。 2万人とも5万人ともいわれる。 とにかく、かなり大規模な集団だ。なぜ、このような組織が生まれたのか。

かつてアメリカは、イラクに対して、 フセイン政権は独裁である、 さらに、大量破壊兵器を持っている として攻撃した。 イラク戦争である。 この戦争で、アメリカはイラク国民を「解放」したといっていた。

だが、アメリカの狙いは、 中東の分断支配だったといえよう。 フセイン政権が倒れたあと、アメリカは思惑通り親米の マリキ政権を立てたのだ。ところが、これがうまくいかなかった。 イラクは大混乱に陥ったのだ。

イスラム教は、大きくスンニ派と シーア派という2つの宗派に分かれる。フセインはスンニ派だ。だが、イラクはシーア派が国民の6割以上を占めている。 少数派だったフセイン政権は、実はシーア派やクルド族をうまく治めていたのだ。

シリア、エジプト、リビアなどもそうだが、 中東には中東の民族性があり、風土があり、そして宗教があるのだ。欧米流の民主主義をいくら押しつけても うまく行くはずがない。当然といえば当然のことだ。

だから、フセイン政権が倒れたあとの イラクは大混乱に陥ったのだ。 そして、そのようななかで現れたのが、 スンニ派過激派のイスラム国と いうわけだ。

ではイスラム国は、いったい 何をしたいのか。コーラン、つまりムハマドの教えをよりどころに、理想のイスラム国家を建国したいという。 その理想にあこがれて、なんとイギリスやドイツ、フランス、アメリカから、若者たちが次々と加わっているそうだ。

その若者の多くは、欧米で暮らすイスラム系移民の子孫だ。彼らは、いま住んでいる国で差別を受けている、と感じている。不満もあり、鬱屈している。彼らの目に映る「イスラム国」は、理想の国を目指す希望の存在なのだ。

僕には、イスラム国がかつての日本の全共闘に重なって見えて仕方がない。イスラム国は「世界の全共闘」だ、 と僕は思うのだ。全共闘も、理想を掲げて、新しい国づくりを目指した。当時は、その理想に惹かれ、日本中から多くの若者が集まったのだ。

そのようなイスラム国を、アメリカは空爆した。もちろん、空爆だけで片がつくはずはない。地上軍の派兵が必要なのは明らかだ。本当ならアメリカは国連軍として攻撃をしたかったのだが、ロシアの反対でそれは叶わない。せめて「有志連合」の多国籍軍にしたいと、考えているようだ。いまのところ、アメリカの有志連合に応じているのが、トルコ、オーストラリアだ。トルコはイスラム教国であるが、NATOに加盟している。

いずれにしても、多国籍軍が現実味を帯びてきた。さて、そのようななかで、日本はどうするのか。集団的自衛権行使が認められたいま、アメリカから求められたら、日本はどう答えるのだろうか。武力行使はしないだろう。だが、後方支援ならあり得るかもしれない。もはや、対岸の火事ではすまされない。 そんな時代になっている。

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