- 2014年10月13日 14:39
自殺大国「日本」でマイノリティが生きていくためには。いじめ問題とLGBT(性的少数者)について考える(明智カイト) - 個人 - Yahoo!ニュース
1/2日本の自殺者数は年間3万人を下回るようになりましたが、まだまだ問題の深刻さは変わっていません。背景の一つには、自殺のハイリスク層に対する視点がまだ盛り込まれていないことが挙げられます。
自殺のハイリスク層としては、自死遺族やアルコール依存症者、複数回の自殺未遂経験者などが挙げられますが、セクシュアル・マイノリティ(※)も実は自殺リスクがかなり高いことが知られています。2012年に改正された自殺総合対策大綱では、自殺のハイリスク層として初めて「性的マイノリティ」という文言が入り、教育現場での支援等を掲げることになりました。私自身も「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」での活動を通じ、大綱改正に関わった一人ですが、ここに至るまでにはサバイバーとしての人生の大きな苦しみがありました。
※セクシュアル・マイノリティについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
SYNODOS JOURNAL
日本の自殺対策は道半ばですが、セクシュアル・マイノリティの視点からの自殺対策の必要性について本稿では取り上げます。
一人のサバイバーとして
[画像をブログで見る]中学生の頃、私はクラスメイトから「ホモ」「オカマ」「女っぽい」「気持ち悪い」……などと言われていました。自分では、自分のことを特別に「男らしくない」と考えたことはなかったので、当時はなんのことだか見当も付きませんでした。自分が同性愛者かもしれないと思ったのは、中学3年のときでした。
性的な部分を攻撃されるので、大人に相談することにはためらいがありました。また、いじめ被害の訴えをうまく大人たちに説明する自信もありませんでした。しばらく不登校になりましたが、親や教師に急かされるまま、二週間後に無理やり学校に戻りました。教師は「男らしくない君にも問題がある」と言い、親から「もう大丈夫だから」と聞いていた教室は、相変わらずの地獄でした。
このときに教師や親たちがきちんと対応してくれていたなら、だいぶ楽だったと思います。中学を出て高校に進学した頃には、いじめの影響による心身症で引きこもりへ。「このまま家にいたら本当におかしくなってしまう」と怖くなり、17才のとき必死の思いで家出した先は、寮つきのニューハーフパブでした。
自分がセクシュアル・マイノリティかもしれないと思ったときに、目の前にあった情報源はテレビだけでした。女性の格好がしたいわけでも、女性になりたいわけでもなかったのですが、当時はそれしか思い付きませんでした。その後、実家に戻りましたが、同性愛者であることも、希望した進学先も、両親は否定するばかり。親の決めた大学に落ちたとき、「自分のやりたいこともできず、親の希望どおりにもできず、自分にはもう自らの命を絶つ選択肢しか残されていない」と自殺を図りビルの上から飛び降りました。全治半年の重傷でしたが奇跡的に命は助かったので今の私がいるものの、ここまでしないと周囲の人が私の話を受け止めてくれることはありませんでした。
以上が、一個人としてのライフヒストリーです。このような子ども時代を送り、その本心を周囲に語ることなく、自ら命を絶つ若者たちは他にもいるのではないか――あるいは、子ども時代をなんとか「生き延びた」としても、その後も「いじめの後遺症」を抱えて生きている大人は少なくないのではないか、と考えています。
65%が自殺を考え、15%が自殺未遂を経験
[画像をブログで見る]宝塚大学の日高庸晴氏らによる調査では、同性愛/両性愛の男性の場合には、約半数が「ホモ」「オカマ」などといじめられた経験を持ち、65%が自殺を考えたことがあり、15%が実際に自殺未遂を経験していることが指摘されています。これは、かなりショッキングな数字だと言えます。
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セクシュアルマイノリティと自殺リスク (日高庸晴×荻上チキ)
同性に対して恋愛や性愛の感情を頂く人々は、人口の約3~5パーセントほど存在するといわれています。この統計からは、一教室にひとりは、セクシュアル・マイノリティの子どもが存在することになります。
当事者の子どもの多くは思春期にかけて同性が好きであることを自覚し、メンタルヘルス上の危機を抱えやすくなります。しかし子どもたちの声は、大人たちの知識不足や間違った思い込みから適切に受け止められないことが多いのです。教師や親も、適切な情報がないためにどう対応してよいかわからないし、叱責したり、かえって当事者を追い詰めるよう振る舞ったりする場合も多くあります。このように、どこにも相談できないことで不登校、抑うつ、自傷、家出、自殺念慮、自殺企図など、様々なリスクに高率に曝されていくことが考えられます。



