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エボラウイルスの拡大を防ぐ為に日本政府がとるべき対策

昨日、アメリカでエボラ熱による初の死者が出ました。先月30日に米疾病対策センター(CDC)が米国内で発生したエボラ感染患者1号と発表した方です。万全の医療体制で治療にあたったにも関わらず、ウイルスを克服することは出来ませんでした。今後は接触したとされる約100人のトラッキングを徹底することにより拡大を防げるかどうかが焦点になってきます。米国のケースの感染場所は西アフリカだったようですが、今月6日にはスペインでエボラ出血熱患者(牧師。既に死亡)の治療に当たった女性看護師も感染しており、アフリカ大陸以外の各国でのアウトブレイクが懸念され始めているのです。

世界保健機関(WHO)がエボラ出血熱について「国際的な公衆衛生上の緊急事態」と宣言してから約2カ月。最新の発表では、感染者は7470人、死者は3431人。猛威を振るい続けるエボラウイルスはいつ日本にやってきてもおかしくない状態です。

先月、先々月と私も羽田国際空港を使いましたが、今の日本の検疫・水際策では侵入を防ぐことは出来ないでしょう。よって、国内で感染者が出てもすぐに対応できるよう、二次感染を防ぐ為の対策を徹底的に講ずることが必要不可欠です。

当り前ですが、その一つが患者の受け入れ体制整備です。

エボラ出血熱は感染症法で1類感染症とされており、その患者を入院させることができるのは特定感染症指定医療機関(3医療機関、8床)と第一種感染症指定医療機関(44医療機関、84床)だけです。

しかも、これらの指定医療機関は各都道府県に分散しており、必ずしもウイルスの玄関口となる国際空港の近くになどに重点的に配置されているというわけではありません。例えば、千葉県には成田赤十字病院(3床)しかなく、仮に成田空港で感染者を発見することができたとしても、あまりにもキャパシティが小さすぎるのです。 感染者をたらいまわしにする姿を想像するとゾッとしてしまいます。国が主導して空港や大都市圏での各病院での分担のルールを決めて、可及的速やかに患者が入院できるように仕組みを整えるべきです。

また、エボラ出血熱との確定判断を行うための施設の整備も不可欠です。 重篤感染症が国内で発生したかどうかは、患者試料からウイルス分離をしなければ断定が困難です。しかし、それができるのはBSL-4施設だけです(BSLとは「バイオセーフティーレベル」の略です。BSL-1施設は病気を起こす可能性の低い微生物などを扱います。順に2,3と危険度が上がり、4は最高度安全実験施設として、エボラウイルスや天然痘ウイルスなどを扱います)。

現在、日本には国立感染症研究所と理化学研究所の2カ所があります。しかし、建設したまでは良かったのですが、地域住民の同意が得られず、BSL- 4病原体を取り扱う施設としては稼働していません。

そのため、現状では患者がエボラウイルスに感染したのかが国内で断定するのが困難ですし、病原体を使った研究もできない状況なのです。 エボラ熱に対しては、富士フイルムホールディングス傘下の富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラビル(商品名アビガン)」を投与されて治癒した患者が出るなど、希望に満ち溢れたニュースも出てきていますが、国内に稼働できるBSL-4施設がないままでは日本が感染症分野で国際貢献するのは困難です。

国内でエボラ出血熱などが発生した際の診断を行うため、また基礎研究やワクチン・治療薬の開発のため、そして人材育成のためにも、我が国独自のBSL- 4施設が不可欠なのです。

オバマ大統領はエボラ出血熱対策を「安全保障上の最優先事項」としていますが、日本政府も少なくとも世界標準の危機感をもってこの問題に臨まなくてはいけません。

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