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ストーカー被害者に落ち度はない ストーカー対策の充実こそ求められる

 北海道新聞2014年10月7日付夕刊には、「ストーカー被害急増」という見出しで報じられています。道内でも過去最高を記録ということです。
 「再犯重ねる例も」と報じられているように、この被害は深刻です。

 ところで、ストーカー被害者になるようなタイプというものはあるのでしょうか。
 私は、ストーカー被害に遭うタイプというものがあるというように思っていました。その人の人柄から、どうにも対応が不十分で、ストーカー被害を招くようなイメージです。
 しかし、先日、エントリーした「交際中のトラブルで殺人? この「トラブル」って何? ストーカーは精神疾患として治療の対象とすべき」でお寄せ頂いたコメントなどを元に再考しました。
 実に色々な場面などが想定され、単純に被害に遭いやすいタイプというものが想定できないという結論に至りました。
 もともと、私の視点は、前のエントリーでも述べましたが、ストーカー加害者というのは精神疾患があるというものです。

 例えば、誰でも別れ話を持ち出されれば、納得しようとせず、あるいは受け入れられないという人はたくさんいると思います。
 メールやら電話が発達した時代ですから、簡単に相手にアクセスできます。
 また、自家用車の普及をはじめ、交通手段も発達していますから、容易に近づくことができます。
 ネットからも相手の個人情報も集めることができる時代です。
 別れ話に熱くなってしまった人が、しつこい行動に出てしまうことはありうる環境にあります。
 問題は、例えば警察などから警告を受けても、その行動を制御できない人です。
 警察から警告を受けて、はたと立ち止まり、冷静になって、それ以上にその異性に連絡をとることを止めるというのであれば、問題ありません。
 そうでなく、かえって執着を増幅させてしまう人たちこそ問題です。
 こういう人に狙われた場合、ストーカー被害者の落ち度というものが観念できなくなります。
 アイドルなど面識もない人から執拗に付け狙われているというような例は明らかにわかりやすい精神疾患の持ち主です。自分が恋人を思い込んでしまっている人に警告はある意味では無意味です。
 このような極端な例でなくても、面識があるという程度でつけ回すというのも同様といえます。
 要は、相手がそのような執拗な粘着質という人物だったということであり、それは被害者側の問題ではありません。

 他方で、ストーカー被害者を防ぐという観点からは、ストーカー被害者側に問題があることもあります。
 警察から、自宅に戻ってはいけないという警告を受けながら、なお敢えて自宅に戻るような場合です。
 もちろん、被害者側にこのような行動があったからといって、加害者の行動はいささかも正当化されることはありません。
 この場合の被害者側の問題というのは、あくまで被害を受けることを防ぐという意味でのものに過ぎず、決して加害者のための論理ではありません。
 窓を開けたままにしておけば、空き巣に入られますが、窃盗犯の住居侵入・窃盗行為を正当化することがないのと同じです。
 とはいえ、その人が自分の身を守るという観点からは、警察から警告を受けた以上、最悪の事態を招かないためにも、被害者側も警告には従ってもらいたいところです。
 ただし、これはあくまでストーカー被害を防ぐという観点であり、その人がストーカー被害(つけ狙われること)を招くというものとは異なります。

 他方で、ホステスはストーカー被害を招きやすいとも言われています。
 こういっては何ですが、女性に縁がない中で、ホステスという異性に入れ込むわけですから、最初から、そのような人を招きやすい環境ということはいえます。しかも、お金を貢がせるだけ貢がせ、あるいは店でお金を巻き上げられるだけ巻き上げた上での袖振りをすれば、逆上する人も出てくるでしょう。
 先般、起きた耳かき殺人事件もこの部類に含まれます。
耳かき殺人 審理の疑問点
 ストーカーを招くことに落ち度はあるとは思いますが、とはいえ警察からの警告を無視するようであれば、やはり加害者が治療を要することに代わりありません。


 もっとも、DV被害者の場合には、私は色々と思うところがあります。
 被害は継続的に受けていることが多いのですが、それでもその被害の場から離れようとはしない場合があります。
 精神的に従属させられてしまっているんだという言い方がなされることがありますが、もちろんのこと、仮に従属させられているか否かに関わらず暴力行為は犯罪ですから、それ自体で検挙していくことが重要です。
 もっとも被害者の協力が得られなければ立件としては現行犯を除けば難しくなります。

 他方で、被害者が素直に警察の警告を受け入れることができる体制が整っているのかが問題です。
 シェルターもまだまだ発展途上です。シェルターに逃げ込んだら生活に窮するようでは、おいそれと警告に従うこともできません。
 また、そもそも本来的に被害者が逃げなければならないということがおかしく、加害者の身柄を拘束すべきなのです。
 しかし、実際に捜査に協力しないということになると、現実に起訴が難しくなることも予想されますし、捜査機関も対応が困難になります。
 この点は、やはりストーカー被害者の場合とは決定的に異なる部分があるのではないかなと考えています。
 このストーカー被害とDV被害については、重なり合う部分もありますが、そうではなく特有の部分があると思われます。
 もとより、この被害者の特有の部分があるからといって加害行為が正当化されないことは当然のことです。
 むしろ、この被害者の特有部分に対する支援こそが必要になりますし、本来的に暴力行為を受け入れない(当然のことですが)、ということこそ社会で共有されなければなりません。

 昨今、性犯罪者が出所した場合には、GPSを取り付けるんだというような話がありますが、ストーカー加害者にこそ必要性があります。少なくとも治療の対象ですから、院外処遇をするのであればその居所を把握しておくことは必要なことです。
 この分野でこそ、憲法上の問題も含め、検討されるべきでしょう。

 なお上記は、私の思うところを述べてみたものであり、いまだ途上のものです。

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