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ソーシャルメディア活用のお手本。個人で立ち上げたレギンスのECサイト「Black Milk」

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今回ご紹介する、オーストラリア発の女性用レギンス・衣服メーカー「Black Milk」は、2014年9月時点で従業員数180人を抱え、世界中に商品を届ける女性用衣服メーカーへと成長を遂げている大企業だ。

このサイトを起ち上げたのは、数年前まではやりたいことが見つからず、ただフラフラしていただけの青年だったという。それが中古のミシンを使って1着のレギンスを作り上げたのをきっかけに裁縫に魅了され、やがて販売を手掛けるようになったそうだ。

また同サイトは、広告費にまったく予算を掛けずに大きな成功を掴んだサイトでもある。彼らはSNSで積極的な情報発信や交流を行い、ファンからの支持を得てきた。

現在Instgramで75万人のフォロワー、facebookでは60万人のlike、twitterで4万人のフォロワー、YouTubeでは15万再生を得ている同サイト。このようにファンを惹き付けるのにはどのような工夫があるのだろうか。1人の青年が自宅のミシンで作ることから始めたBlack Milkの軌跡を追ってみよう。

スーパーの店員から起業家へ

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Black Milkを起ち上げたのはJames Lillis(以下ジェームズ)という、自分の人生に悩んでいた一青年だ。彼は大学卒業後、スーパーの店員、工事現場などの肉体労働など様々な職業を渡り歩いていたが、なかなか自分に適している仕事を見つけることができないでいた。

それが2008年のある日に、1台のミシンを買ったことから人生の転機が訪れた。

ミシンの購入に特別な理由があったわけではない。他の人がスケートボードやスノーボードなどを買うような局面で、たまたま彼が選んだのがミシンだったようだ。そのミシンで何を縫うのかさえ決めていなかったという。第一、それまでミシンを使った経験もほとんどなかったのだ。

はじめはそんな調子だったが、せっかくミシンを買ったのだからと、何か作ってみようと布屋で6ドルの布を買い、自分でシャツを作ってみた。

このシャツはあまり出来の良いものではなかったが、裁縫に興味を持ちはじめたジェームズは、今度は店で見つけたなめらかな手触りをもった伸縮性ポリウレタン繊維で、レギンスを作ろうと考える。そして主婦やおばあさんたちに混じりながらミシン機販売店で行われている裁縫レッスンを受講した。

試行錯誤しながらも自作のレギンスを女友達に試着してもらい、着心地を確認して改良を重ねていると、友達がそのレギンスを買ってもよいか訊いてきた。

もちろん即答でOK。友達はジェームズ作のレギンスを履いて帰っていった。その日は笑みがとまらず、やっと自分のやりたいことが見つかった嬉しさでいっぱいだったという。

これを機に、ジェームズはより裁縫に本格的に取り組むようになる。アルバイトと掛け持ちしてレギンス作りに取り組む一方、完成したレギンスをショップに卸売販売に出かけるようになった。

しかし、何十件訪れてもまともに取り合ってくれる店が見つからない。やっと1店舗だけ展示してくれる店を見つけたものの、結局1着も売れずに突き返されてしまったそうだ。

ジェームズはその後も毎週土曜に行われる露天マーケットでテントを張って販売を試みたが、売れたのは数着程度で、何杯分かのコーヒー代にしかならなかった。

卸売はこのように散々な展開だったが、オンラインの方で予想外の事態が起きつつあった。ジェームズがレギンス製作の日常を綴っていたブログを見た読者が、「レギンス売ってもらえませんか?」と連絡してきたのだ。

ジェームズ氏はその声を受ける形で、レギンスのオンラインサイト「Black Milk」を設置。こうして彼のつくった製品が次第に売れるようになっていった。

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(画像は2014年9月現在のもの)

少しずつ運が向いてきていたジェームズは、もっと多くの人々に自分の商品を認知してもらうため、ECサイトのマーケティングに取り組むようになる。

2009年には、マーケティングと宣伝を中心に仕事をしてきたCameron Parker氏と友達を通して出会い、同氏とともにソーシャルメディアの活用とWEBサイトの改良を行った。

その結果、多くのファンの獲得に成功。SNSではファン同士の活発な交流が見られるようになり、現在ではInstgramで75万人のフォロワー、facebookでは60万人のlike、twitterで4万人のフォロワーを得ている。以下では、Black Milkがどのようにソーシャルメディアを活用していったのかを見てみよう。

広告費ゼロで知名度を獲得したBlack Milkのソーシャルメディア活用法

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Black Milkでファン同士の交流がうまくいっている要因として、facebookを運用する目的をファン同士の交流、ファンとBlack Milkとの交流、Black Milkの宣伝の3点に絞り、方向性を明確にしている点と、その目的を達成するための体制をしっかりと整えている点が挙げられるだろう。

同サイトでは、土日も休むことなく、シフト制で5人の従業員にソーシャルメディアの運用を担当させているという。サイトからの投稿内容は基本的に彼らの商品写真付きのもので、1日平均6回ほど投稿されている。

ファン同士の交流も活発で、1つの投稿につきファンから数百のコメントがつくこともざらだ。また60以上のBlack Milkのコミュニティがオーストラリア、英国、米国、アジア各国で運営されている。facebook上だけではなく実際に会って交流しているコミュニティも数多くあるとのことだ。

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Black Milkのソーシャルメディア担当者たちも、積極的にファンとの交流をはかっている。

facebook上でファンからの質問があれば、Black Milkの担当者が確実に応える。デザインや会社の方針に関する質問であればCEOのジェームズやデザイナーが直接応じることもある。単なる顧客と販売者でなく、友達のような感覚で応えるのが重要だと考えているという。

ファンから欲しい製品の提案があればそれを実際に製作することも多い。現地に行ってファン同士が交流するイベントの企画を行うこともあるそうだ。

またBlack Milkでは、ファンに拡散されやすい商品展開にも力を入れている。同サイトの商品の中で、特に話題となったのは写真の筋肉レギンスだ。この筋肉レギンスによってBlack Milkは一気に名を知られるようになった。

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その他にも、スターウォーズのキャラクターをのせたジムウェアなども開発し、話題を呼ぶ商品を多く作っている。単にソーシャルメディアに投稿するのみでなく、ソーシャルメディア上で拡散されやすい商品を投稿していることも、広告費ゼロでも知名度を獲得できている要因のひとつだろう。

ソーシャルメディアを宣伝に利用するには運用の目的を明確にし仕組化することが重要

Black Milkが知名度を伸ばしていった背景にはソーシャルメディアの活用が挙げられるが、ECサイトを活用する上でこのソーシャルメディアの運用に関して参考にできる点は多いのではないだろうか。

ただ商品のモデル写真を投稿するのみならず、ソーシャルメディアで拡散されやすいような写真を投稿すること、そして好きな時にランダムに投稿するなどではなく定期的に投稿するように運用に人員を投入し仕組化すること。このBlack Milkの場合1日に6回ほど、定期的に投稿していることが見てとれる。

また、ファンがBlack Milkのfacebookのページの投稿にコメントすればBlack Milkのソーシャルメディア担当者がそれにlikeを押したりコメントを返すなど必ず反応する、それらの着実な姿勢がファンに認められた結果が現在のBlack Milkの成功につながったのではないだろうか。

facebookといっても人と人とのやりとりであるという点はオフラインと同じであり、それを弁えて真摯な姿勢で運用していることも大きなポイントだ。

またソーシャルメディアの運用に関して小手先のテクニックではなく、Black Milkの商品に対するこだわりの強さもBlack Milkの強みとなっており、それがあってこそはじめてソーシャルメディア上でもファンの共感を集めることに成功しているという点も見逃してはならないだろう。

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